沈船(レック)が見たい! 国内のおすすめダイビングエリアと解説

海底に沈んだ船や飛行機などを目当てに潜るのがレックダイビング。漁礁として、探検として、歴史発掘として……レックの数だけ楽しみかたもさまざま。世界の海にはたくさんの船が沈んでいますが、日本にも有数のレックポイントがあります。レックポイントの楽しみかたを知れば、きっと誰もが新しいダイビングの奥深さに出会えるはずです。

レックダイビングに行こう!

古宇利島

「エモンズ(USS Emmons)」(沖縄県国頭郡今帰仁村)

’45年4月6日、沖縄県の伊江島沖で、日本軍の神風特攻隊の攻撃を受け大破、漂流したアメリカ軍の高速掃海艇『USSEmmons』。情報漏れを恐れたアメリカ軍によって、翌7日に撃沈処分されたと言われています。時々流れ出す油から、地元漁師の間ではその存在が知られていましたが、実際にダイバーが潜って調査・発見したのは’01年2月のこと。水深が32 ~ 43mと深く、相応のダイビング経験が必要です。船首から船尾まで106mある巨体は破壊されつつも荘厳で、127mmの主砲やスクリュー、機銃、ヘルメット等は見るものを圧倒します。

熱海

「沈船」静岡県熱海市

全長81mと国内最大級の沈船ダイブが楽しめます。砂を運んできた砂利運搬船『旭16号』が水面で折れ曲がってしまい、そのまま二つに分かれて沈んだもので、甲板などにはウミトサカやソフトコーラルが付いてとってもカラフル。また、沈船の周囲に群れるワイドな魚影も見どころとなっています。水深が25 〜 30mとやや深いので、ガイドの指示にはきちんと従いましょう。

与論島

「沈船あまみ」(鹿児島県大島郡与論町)

全長57mの元海上保安庁巡視船『あまみ』が真っ白な砂地に眠っています。ツバメウオ、ヨスジフエダイなどたくさんの魚が住み、カメとの遭遇率も高いです。なお、船はその役目を終えて、レックポイントとして沈められたものです。

南紀白浜

「沈船」(和歌山県西牟婁郡白浜町)

水深18mのところに全長31mの沈船が横たわっています。レックポイントとして沈められたもので、船の周りにはアジやイサキなどが群れ、内部にはキンメモドキやネンブツダイなどが群れています。水深が浅く、初心者からOK。少々狭いが、船内探索も楽しめます。なお、潜るには沈船利用券(315円)が必要です。

土肥

「沈船」(静岡県伊豆市土肥)

漁協協力のもと、1889年1月に「弁天丸<沈船I>」、1990年4月に「水天丸<沈船II>」、現在までに大小10隻の船が沈められ、レックポイントとして楽しめます。<沈船I>から<沈船II>まで流して潜る沈船巡りができるのもこのポイントの特徴です。

小笠原諸島

小笠原には、第二次世界大戦の時に沈んだ船が点在しており、本格的なレックダイビングが楽しめます。海底でバラバラになったものもあれば、原型をとどめて横たわっているものも。悲しい戦跡が今では魚たちの隠れ家になっています。

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もっと知りたい!沈船(レック)ダイビングのこと

レックダイビングって?

レック(wreck)とは、英語で難破や破壊、難破船を意味しています。日本では、一般に「沈船ダイビング」を指すことが多いですが、船だけでなく飛行機などが含まれることもあります。いずれにしても、海に沈んだ船や飛行機などの人工物を目当てに、その周辺や内部を潜るのがレックダイビング。戦争や海難事故などで沈んだものもあれば、意図的に沈められたもの、原形を留めているもの、魚たちの漁礁となっているものまでさまざま。船内に入ることができるものもあります。

必要な器材やテクニックは?

ポイントにもよりますが、レックダイビングのポイントは比較的水深が深く、ディープダイビングになること、また、潮流が複雑な場合もあります。そのため、潜降・浮上がスムーズにできる、中性浮力がしっかり取れるなど、ある程度のスキルがあることが望ましいです。船内を潜る場合は、構造物がもろく壊れやすいのでフィンで蹴り上げたりゲージ類を引っかけたりしないように注意しましょう。水中ライトもあるとさらにいいでしょう。もちろん、初心者から潜れるレックポイントもあります。

レックダイビングのお楽しみ

なんといっても、冒険心をかき立てられるダイビングが味わえることではないでしょうか。水中ライト片手に、ふだん見ることのできない計器類や大きなスクリューを探索したり、かつての人々の痕跡を見つけたり。迫力あるワイド写真や、映画のようなビデオ撮影を楽しむダイバーも少なくありません。また、船体は生き物たちのかっこうの住みかにもなっています。色鮮やかなソフトコーラルや小魚がびっしりと付き、沈船という人工物とのアンバランスさが不思議な感覚を呼んでいます。

欧米人の間では高い人気を誇るレックダイビング。海外に行けば、かつての戦争で沈んだ日本の船が魚たちの漁礁としていまもなおそこに眠っている。アドベンチャー、歴史、フィッシュウォッチング、さまざまな側面を持つレックダイビング、その魅力は尽きません。

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Suga

DIVER ONLINE 編集部

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