ドルフィンスイムを楽しむ!
場所とシーズン
日本で野生のイルカと泳げるスポットは4つ。東京から船で行ける御蔵島の周りには150頭ものイルカが生息している。他にも同じ伊豆七島の利島や世界遺産登録の小笠原諸島、石川県の能登島でドルフィンスイムを楽しむことができる。
御蔵島と利島では、4月から11月、小笠原では通年、能登島では4月〜10月くらいがドルフィンスイムのシーズン。御蔵島の場合は、その中でも人が比較的少なく、イルカの好奇心が膨らむ4、5月がベストシーズンだ。
ドルフィンスイムのルール
野生のイルカの場合、どんなに向こうから近づいてきたとしても、体に触れるのは厳禁。
ごく一部の例外を除いて、野生イルカは体に触られることを嫌がる。 イルカの機嫌を損ねて、ドルフィン・スイムそのものができなくなる可能性もあるし、場合によってはイルカに攻撃的な行動を起こさせる可能性もある。 どんなにフレンドリーに感じても、彼らが野生動物であることを忘れてはいけない。 また、他にも餌付けをしない、イルカたちの補食・交尾・出産など自然な行為を妨げない、スクーバダイビングを行わない、フラッシュを使用した撮影をしないなど、場所によって様々なルールがあるので、 しっかり守って、楽しく遊ぼう!
ドルフィンスイムを楽しむコツ
イルカと楽しく泳ぐには、水中で待つという姿勢が大切。興奮してイルカを追いかけてしまうことだけは避けよう。海へ潜って、変な動きをしてみたり、くるりと回転してみたり……イルカの興味を誘うことでイルカの方から寄ってきてくれるはず!
となると必要なのは、素潜りの技術。スキンダイビングのジャックナイフという基本動作をマスターしよう!水面で浮いた状態から、体を90度に曲げて、おじぎをするように頭を海底に向ける。足を伸ばして逆立ち状態になったら、耳抜きをしながら全身を海面下に。軽くフィンをかけば、横へと進める。コツさえ掴めば誰でもできる技なので、ぜひ習得を!事前に練習するのが難しい人でも、ツアー内に練習時間が設けられていることもあるので、不安がある人は相談してみよう。
もっと知りたい!イルカのこと
イルカは人間と同じ哺乳類
哺乳類ということはもちろん卵ではなく胎児を産み、生まれた赤ちゃんを私たち人間と同じように母乳で育てる。体が魚に似ているのは、水中での生活に適応するために長い時間をかけて進化したから。体温は36.0~37.0℃程度の恒温動物で肺で呼吸しているので、息継ぎのため水面に上がってくる。
クジラとイルカは実は同じ
分類的には、クジラもイルカも同じ。意外と知られていないのがクジラの中で、体長が3~4mより小さいものをイルカと呼び分けているだけということ。最近の研究では、クジラとイルカの祖先は、偶蹄目のカバに近いという説が有力とされている。
寿命
ハンドウイルカの寿命で約40年といわれている。
アメリカのフロリダで行われた野生の群れの追跡調査によれば、最長寿命で50年、平均寿命は7.5年だったという。平均寿命が低いのは、野生動物では幼体の死亡率が高いため。また、性的に成熟するには約10年かかると考えられている。
食べもの
完全肉食のイルカは、アジやサバ、イワシなどの小魚、イカ&タコの軟体動物、エビ&カニなどの甲殻類を食べている。イルカの鋭い歯はあくまで獲物を捕らえ、押さえつけるためのもの。かみ切ったり、噛み砕いたりはできないので、基本的に丸飲みするのがイルカの食事法。
睡眠方法
イルカは四六時中泳ぎ回っていて、私たちが言うような睡眠はとらないと言っていい。ただ、決して眠らないわけではなく、イルカには右脳と左脳を交互に眠らせること(半球睡眠)ができる特殊な能力があるのだ。ちなみに、右脳が眠っている時は反対の左目を、逆に左脳が眠っているときは右目をつむりながら泳ぐのだそう。
視力
人間の視力にすると0.1ぐらいと言われている。海の中で見通しが利くのは半径数十m四方といったところなので、それくらいで十分なのだろう。海中は空気中よりも音が通りやすいので、音響を利用して、自分の周りを認識するための能力が優れているのだ。
イルカ同士のコミュニケーション
イルカのコミュニケーションは鳴き声。といっても、イルカには声帯があるわけではない。頭上の呼吸孔を伝わる空気によって発せられる「音」が声になっている。声以外にも、吻や胸びれで身体に触れ合うことでコミュニケーションを取っている
オス同士のラブ?
おもに若い雄同士の間で見られる行動で、交尾のようにお互いの下腹部を付け合う。これは将来の交尾に備えた練習や仲間の絆を深める行動らしい。イルカの世界ではオス同士で交尾してもゲイにはならない?
イルカのボディタッチ?
「ラピリング」という体をこすりつける行動。仲間同士で行う場合は、仲間の絆を深めるスキンシップの意味がある。また、海底の砂や海藻にこすりつけるのは、古い皮膚や寄生虫などを取るためだと考えられている。
ジャンプ
野生のイルカもときにはかなりアクロバティックなジャンプをする。クジラのブリーチと同じように、古い皮膚や寄生虫を落としたり、仲間への何かしらの合図の意味があるのかも。遊びの一つとして行っているとも考えられる。
遊ぶことが大好きなイルカ
海藻などをヒレに引っ掛けたり巻き付けたり、口にくわえて泳いだり、仲間同士でパスしてみたり、食べるわけでもないのに魚を追いかけ回したり、タコを遊び道具に仲間同士でキャッチボールをするのも好き。バブルリングを意識して作る、波に乗ることを繰り返すなど、遊びとしか思えない行動をよくしている。これが本当に「遊び」かは定かではないが、イルカが好奇心や学習能力を持っているからこそ行う行動であると言える。
このイルカの世界を実際に体験できるのがドルフィンスイム。鳴き声によるイルカ同士のコミュニケーション、好奇心旺盛で遊ぶことが大好きなイルカの姿、母イルカの優しいまなざし……出会った時の喜び、驚きや興奮は、実際に体験することでしか分かり得ません。この素晴らしい出会いと感動を早速味わってみませんか?