外洋のいい潮が入るとライトには透明な長い帯のようなものが集まる時があります。ウミヘビ?クラゲ??いやいや、どっちも違います!!
ウミヘビでもクラゲでもない不思議な生態を持つ生き物の正体は『サルパ』。
今回はその『サルパ』をご紹介していきます。
サルパの仲間
外見だけみるとクラゲと似ているような感じがするのですが、まったくの別の生き物であり、分類するとクラゲは刺胞動物でイソギンチャクやサンゴの仲間。サルパは尾索動物の仲間でホヤなどに近く分類上は脊索動物門に含まれ私たち人間と同グループになります。
クラゲとは似て非なるものなのです。
そんなサルパのおもしろ生態の一つ目、それは食べながら移動すること。
先端に開いている口のような部分で海水を吸い込み、プランクトンを一緒に食べ、さらにその力を利用して移動してしまう凄い奴なのです。
おもしろ生態の二つ目、それは増え方。
有性生殖と無性生殖を繰り返すのです。どういうことかというと、単体のサルパは無性生殖で連鎖個体を排出。そこから連鎖個体が有性生殖して、体内で卵が成長し単独個体を作って体外へと放出し、また無性生殖→有性生殖…とループしていきます。
繁殖行動が変わりすぎで驚く奴なのです。
放出前のトガリサルパ
連鎖個体のセンジュサルパ
逆にこの生態を利用されてしまうこともあり、生き物たちはサルパを利用して生活しているものもいて、以前にお見せしたタルマワシはサルパなどをくり抜いて家を作ったりします。
>> vol.12海のエイリアン登場!その生態は・・・。
サルパを家に使う生き物は別にもいて、アミダコなどが住処にしていたことも話題になっています。
ちなみに、私が見た中で一番のヒットだったのは、2013年の冬に大瀬崎で話題になった、オオサルパにサンマが卵を産みつけたこと!
もともとサンマは水面に浮いている海藻などにに卵を産みつけるのですが、サルパにも産みつけるとは!誰もが驚いた出来事でした。
オオサルパに付いているサンマの卵1
ハッチアウト寸前の卵も見つけました、成長するとこんな感じで仔魚が青いのです。オオサルパはもうすぐ力尽きようとしていて、だいぶ弱っていました。
オオサルパに付いているサンマの卵2
みなさんもサルパを見つけたら、よぉーく観察してみてください! おもしろい生態の観察に加えて、サンマの卵があったり、そこを家として生活をしている生き物たちに遭遇するかもしれません!
参考書籍 (順不同)
コラムニスト
堀口 和重(ほりぐち・かずしげ)さん
西伊豆大瀬崎の<大瀬館マリンサービス>でガイドとして勤務。好きな生物は、クラゲ類・幼生類・ホタルイカモドキの仲間などの浮遊系。水中写真家・阿部秀樹氏のライトトラップに影響を受け、3年前よりナイトダイビングが可能な日は撮影&ガイドを行っている。1986年生まれ。
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