INDEX
1月 写真=むらいさち
2月 写真=古見きゅう
3月 写真=佐野誠一郎
4月 写真=茂野優太
5月 写真=鍵井靖章
6月 写真=古見きゅう
7月 写真=越智隆治
8月 写真=鍵井靖章
9月 写真=越智隆治
10月 写真=上出俊作
11月 写真=越智隆治
12月 写真=堀口和重
表紙 写真=越智隆治
まとめ
パプアニューギニアで見つけた花吹雪
1月 写真=むらいさち
新しい1年の始まりは、明るいサンゴ礁の海から元気をもらってスタートしましょう。撮影者は、ほんわりとした作風のゆるフォトカメラマン・むらいさちさん。撮影地はパプアニューギニア・タワリです。
「沖にあるリーフに潜ったのですが、入った瞬間に美しいサンゴ礁と、びっくりするほどの魚の量に圧倒されました。水深は5mほど、サンゴの上に群れる魚の量は今まで見たことないほどの密度でした。こんな光景を逃したくないと、撮影しましたが、前に進めないほどの激流でした。今度は流れのないときにゆっくり潜りたいです」
左手で必死に岩をつかみながら撮影した思い出深い作品だそうです。サンゴの美しさに加えて、小魚が吹雪のように舞う様子は見とれますね。
むらいさち さん
壮大な異空間、流氷下を潜る
2月 写真=古見きゅう
1月末から3月にかけて、オホーツク海のはるか北から流氷は北海道に流れ着きます。近年の暖冬で着岸しない年もあったり、すぐに消えてしまうこともあります。日本全国でさまざまな海を撮り続けていた古見さんは、そんな状況下、流氷を狙い続けたといいます。
「数年に渡り良い状態の流氷帯を撮影するべく冬の知床に通っていましたが、なかなかイメージ通りにはいかないだけではなく、流氷が接岸しない年もあるほど苦戦した撮影でした。2018年、念願叶って水中から見上げた流氷は、異空間を思わせるほど幻想的でした」
水温は、マイナス1.5度、分厚いインナーウエアを着込み極寒仕様のドライスーツを着用しても、20分ほどで刺すような寒さが襲ってきたそうです。
古見きゅう さん
海底のお花畑で舞うカラフル・ハナダイ
3月 写真=佐野誠一郎
春の訪れは、ハナダイの舞とともに。
撮影者の佐野誠一郎さんはハナダイの魅力にとりつかれて、国内外でさまざまなハナダイ、ハナゴイがいるシーンを追っているカメラマンです。
「フィリピン・モアルボアルのペスカドール島は魚影の濃いポイントで、ハナダイの仲間ではメラネシアンアンティアスとパープルビューティが優勢種になります。色鮮やかなソフトコーラルとハナダイ乱舞する光景を狙っていましたが、ソフトコーラルはいつも咲いているわけではなく、潮当たりなどの条件があるようです。このときは運よくソフトコーラルが咲いており、メラネシアンアンティアスを絡めて撮影することができました」
ハナダイの仲間は、世界で約170種。体色の美しさ、メスからオスへ性転換する生態など、奥深い世界ですね。
佐野誠一郎 さん
心踊る! 魚群パフォーマンス
4月 写真=茂野優太
青い海で、力強く泳ぐ魚群は、ダイバーあこがれのシーンの1つですね。アドレナリン大放出、わくわくどきどき、大興奮のダイビングになります。日頃はふんわりした作風の写真が多い茂野優太さんもこのときばかりは、キメてやるという心意気で挑んだようです。
「撮影前夜、あまりにも楽しみでトルネードやダイバーを入れるなど、さまざまな構図を考えに考え抜きました。 しかし海に入ると全て忘れて感性のままに1番最初に撮ったのがこの写真です。頭で考えるだけじゃわからない、やってみることの大切さに気付いた1枚です」
その「感性」が、まさに自分が魚群に巻かれて大興奮、その場にいて「うぉ〜」っと叫んでいる、、そんな気持ちにさせてくれました。元気をありがとう!
●お詫びと訂正● 撮影地=小笠原と紹介していましたが、沖縄県粟国島の間違いでした。お詫びして訂正させていただきます。
茂野優太 さん
癒しの光景、ケラマの海
5月 写真=鍵井靖章
5月の写真、明るい海中風景の撮影者は鍵井靖章さんです。撮影地は沖縄・ケラマ!
「光が燦々と届く真っ白い砂地の海底がどこまでも続く。テーブルサンゴが点在し、青いデバスズメダイが幸せそうに泳いでいる。慶良間諸島で出会える究極の癒し空間。日本には、こんな美しい海中世界がある」
こう綴ってくれた鍵井さんですが、本当にその通り。ちょっと近づくとすーっとサンゴの間に隠れるけれど、しばらくすると、ふわ〜っと湧き上がるように姿を見せるデバスズメの群れはいつまで見ていても飽きることがありません。癒しという言葉が本当にぴったりの海です。
鍵井靖章 さん
モンツキカエルオウオが産卵行動
6月 写真=古見きゅう
ひょうきん顔のモンツキカエルウオは人気の被写体ですね。沖縄久米島の海底で、古見きゅうさんが撮影したのは、1つの穴に身を寄せ合う2匹です。
「モンツキカエルウオがペアでひとつの巣穴に入っているところは、以前撮影したことがあるのですが、実際に産卵行動を行う彼らの姿を目撃できたのは初めて。小さなところで起こっている大きなドラマに震えるような感動を覚えました」
そうなんです、この2匹、ただ仲よしなだけではありません。産卵行動の最中だったのです。初夏から夏にかけて、海の中は生き物たちの命の営みに溢れます。
イルカと出会える、東京の島
7月 写真=越智隆治
東京の南約190kmに浮かぶ周囲16kmほどの御蔵島には、約150頭のミナミハンドウイルカが定住しています。非常に高い確率でイルカと泳げるこの海に、年に何回も通っている越智隆治さん。
「浅いゴロタの海域に入り込んだイルカたちにアプローチ。浅すぎて、潜ることもままならないくらいで、イルカたちも前で待ち受ける私たちに、驚いたのか、急にスピードを上げて、深い方へと、泳いでいきました」
御蔵島では、イルカに触らない、餌をあげない、フラッシュ撮影禁止、などドルフィンスイムのルールが決められています。ルールを守って、イルカたちの世界へお邪魔する、、そんな気持ちで楽しみたいですね。
越智隆治 さん
モルディブ・ダイブクルーズの醍醐味
8月 写真=鍵井靖章
インド洋に浮かぶ環礁の国・モルディブは、あこがれのビーチリゾート地ですが、ダイビングが目的ならリゾート滞在ではなく、ダイブクルーズがおすすめなんです。
「モルディブのダイブクルーズに参加した場合、最初に行くポイントは、マーギリティラが多い。ファーストダイブから、こんなに素敵な景色に包まれます。水面下からムレハタタテダイが、シャンデリアのように揺らめいていました」
これまでに、何度もダイブクルーズを利用してモルディブの水中撮影を続けてきた鍵井靖章さんですが、撮りたい光景はまだまだあるそうです。
トンガに集うザトウクジラたち
9月 写真=越智隆治
圧倒的な存在感を放つザトウクジラと、ほぼ確実に水中で出会える特別な場所がトンガ・ババア諸島です。越智隆治さんは、2004年から毎年この海に通い、親子の微笑ましい光景や貴重な繁殖行動に遭遇してきました。
「中央にいるのが、ひときわ大きなメスのザトウクジラ。そのメスを巡って30頭ものオスが奪い合う、ヒートランと呼ばれる生態行動が繰り広げられていました」
巨大なクジラの恋の駆け引きは、想像を絶する壮大さでしょう。近年、ホエールスイムで有名になり世界各地から観光客が集まって問題が起きている場所もあったと聞きます。こんな今だからこそ、ヒトとクジラの関係に思いを巡らすいい機会なのかもしれません。
色鮮やかなイソバナが蒼い海に映える!
10月 写真=上出俊作
沖縄本島に拠点を構え、活動を続けている上出俊作さんにとって、ケラマはおなじみの場所の1つです。このときは座間味島近くのウフタマイにエントリー。
「2〜3分泳ぐと、イソバナの前で黒い塊が動いているのが目に入りました。キンメモドキの群れでした。ユカタハタが小魚たちに突っ込む瞬間を狙って、何度もシャッターを切った中の1枚です」
赤いイソバナから紅葉を連想して、10月の写真とさせてもらいましたが、実際に撮影したのは梅雨真っ只中の貴重な晴れ間の日だったそうです。
誰もが胸きゅん、心をわしづかみみ
11月 写真=越智隆治
イルカ・クジラをはじめとする海の哺乳類や、サメ、巨大魚などの撮影を得意をする越智隆治さん。西オーストラリアに住むアシカも長年撮影を続けている被写体の1つです。
「オーストラリアアシカのコロニーがある無人島周辺では、好奇心旺盛なアシカの子供たちが元気に泳ぎ回り、私たちの方へ、興味津々近寄ってきます。ハウジングのポートを覗き込んでくるだけでなく、鼻先をポートに押しつけてきたりします」
野性とは思えぬ人なつこさ、好奇心いっぱいの振る舞いには、誰もが胸キュンキュンですね。
妖しくも美しい夜の海
12月 写真=堀口和重
夜の海に水中ライトを仕掛けて集まる生物を狙うライトトラップ・ダイビング。堀口和重さんがホームグランドの伊豆・大瀬崎で出会ったのがこのイカです。
「写っているのはライトにおびき寄せれたホタルイカモドキ科の1種です。このイカは色とりどりの色素胞や輝く発光器を持っていて、そんな美しい姿のイカが停止しているところへ回り込み、背景にライトの光が写るように撮影しました」
夜の海では、昼とはまったく違う生き物との出会いがあります。ときには、深海魚や摩訶不思議な形態の魚の稚魚なども登場するそうです。海の魅力・生き物の不思議は尽きません。
堀口和重さん
表紙 写真=越智隆治さん
一瞬の出来事
最後に表紙写真をご紹介します。撮影者は越智隆治さん。撮影地はグレートバリアリーフ最南端に位置するレディエリオット島です。
「この周辺海域には、たくさんの大物海洋生物を見ることができます。ギンガメアジの群れを撮影していたら、突然ミナミハンドウイルカが、群れに突っ込んできました」
ギンガメアジのトルネードの中央にポツンと入り込んだイルカの姿はまるでそこにはめ込んだようですが、実際には、魚群に突っ込んだ瞬間とのことでした。ダイナミックな生き物同士の関わりは絵のような美しさです。海では、こんな奇跡のようなシーンが日常のように繰り返されているのです。1日も早く、私たちヒトも、かつての日常のように国をまたいで海へ出かけ、自由に海が楽しめる、そんな日が来ることを心から祈っています。
まとめ
いかがでしたか? 撮影エピソードを知ると写真の見方感じ方もまた少し変わるのではないでしょうか。DIVERオリジナルカレンダーで、1年間、お部屋に水中写真のある暮らしを楽しんでいただければ幸いです。
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法改正に伴う一部祝日・休日変更のお知らせ
2020 年 11 月 27 日(金)に国会内で可決・成立されました「令和三年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法改正案」により、下記のとおり一部祝日・休日に変更がありましたのでお知らせいたします。
こちらの商品は、法案改正前のものとなっておりますので、お手数ですがお客様ご自身で修正等ご対応いただきますようお願いいたします。
変更になった国民の祝日
●海の日
変更前:7月19日(月)→変更後:7月22日(木)
●山の日
変更前:8月11日(水)→変更後:8月8日(日)
※したがって8月9日(月)は振替休日
●スポーツの日
変更前:10月11日(月)→変更後:7月23日(金)
●関連記事
●雑誌DIVER むらいさちさんインタビュー記事
●雑誌DIVER 古見きゅうさんインタビュー記事
●雑誌DIVER 鍵井靖章さんインタビュー記事
●雑誌DIVER 越智隆治さんインタビュー記事
(文=渡井久美)