マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
水中で浮きも沈みもしない
ビューティーマーメイド
ジョー:あ〜、もう! 真っ白だったじゃないか!
マリン:す、すみません……。
蝶々夫人:まぁまぁ、砂地のポイントでまさかイルカが出るなんて思わないからね。慌ててフィンで砂をかき上げちゃったのも仕方ないわよ。
マ:肩身、狭いっス。ただでさえ、砂地って聞いただけでも緊張して、中性浮力を取ることに必死なのに……。
蝶:砂地では、ちょっとフィンをばたつかせただけで、砂がフワ〜って巻き上がるからね。
マ:「他のダイバーに迷惑かけないように」って考えると、余計に慌てちゃうのよ。
ジ:ま、確かに、ちょっと写真が思うように撮れなかったからって、怒るオレも大人げないんだけどさ。
蝶:それに今日は私も悪かったわ! スチールタンクだったのに、マリンに伝えるのを忘れていたの。
マ:スチールというと?
蝶:普段使っているアルミタンクより、スチールは金属の特性上沈みやすいの。だから、ウエイトを2kg減らす必要があったのよ。
ジ:そっか、悪いことが重なったな。マリンはまだアルミとスチールのウエイト量の違いを知らなかったのか。
マ:どおりで、BCにエアを入れても沈んじゃうわけだ。
ジ:中性浮力の基本は、なんてたって、適正ウエイトだからな。
マ:でも、適正ウエイトで潜っていても、海底が砂地とかサンゴだったりすると、「触っちゃいけない!」と思ってついBCにエアを入れすぎて、浮きぎみになっちゃうのよね〜。
蝶:BCにエアを入れなくても、適正ウエイトなら肺の空気の出し入れだけで、浮力は調整できるはずよ。
ジ:講習でも習ったよな。海底で腹ばいになって、息を吸ったり吐いたりして身体の浮き沈みを体感するフィンピボットって技法。
マ:わかっているけど、慌てるとつい……。
ジ:そういえば、中層にいるときのマリンって、手をユラユラさせてバランス取ろうとしてるもんな。まるで幽霊みたいだぜ。
マ:ゆ、幽霊とは何よ!?
蝶:はいはい、真夏の怪談はこれくらいでおしまい。さ、マリン。セカンドダイブは適正ウエイトで、マーメイドのように華麗に水と一体化したところを見せてあげなさいよ。
ジ:ぜひ、イルカとマーメイドのショットを撮らせてもらいたいもんだなぁ。ヒヒヒ!
マ:今に見てなさいよ!!