マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
判断能力が鈍ってアブナイ!
酩酊者は周りがしっかりサポート
ジョー:ダイビング後のビールは、うまいなぁ〜。とくに最初の一口が最高だぜぃ。
マリン:最初の一口はもうとっくに過ぎてるじゃない。もう何杯目? いいかげん、飲みすぎなんじゃない?
蝶々夫人:まぁまぁ、そう硬いことばっかり言ってないで。今日は無礼講よ〜。
マ:蝶々夫人までそんなこと言って。あっ、いつの間にかもう泡盛3合瓶が空になってる! もう酔っ払ってるでしょー。
ジ:オレ、なんか、窒素酔いになったみたいだ〜。フワフワしてて、気持ちえーわー。
蝶:ご存知〜? 窒素酔いは、本当は窒素中毒って言うのよ。でも、お酒に酔った状態に似てるから、「窒素酔い」と言われてるのよ。
マ:中毒でも酔いでも、どっちにしても判断能力が鈍ってるから、アブナイことに変わりはないわね。窒素酔いを起こすと、どっちが上かわからなくなってどんどん深く潜って行っちゃったり、セカンドステージを口から離したりすることもあるんでしょ?
蝶:ダイジョーブ! ワタクシたちは水深にたとえるならば、まだ20mくらいよ。窒素酔いになる確率が高くなるのは、水深30mくらいからなんだから。
マ:んもう! 講習では確かにそう教えてくれたけど、30mより浅くても、その日の体調やダイビングの熟練度によっても違うから油断は禁物って厳しく言ってたのは、蝶々夫人ですよ。酔いは、本人に自覚がないから余計に厄介だわ。
ジ:あ〜蝶々夫人、そんなに塩かけちゃって。しょっぱすぎて食べられなくなるよ。
蝶:何かこのワタクシに文句でもあるのかしら? あなたたちのためを思って、このお魚に塩をかけて差し上げてよ。
ジ:はいはい、ありがとうございます。
マ:……ダメだ、こりゃ。もう、お会計お願いしまーす! では、蝶々夫人10万円です。
蝶:ジュ、ジュウマンエン? ワタクシにとっては、大した金額じゃないけど、相場より少しお高くなくって?
マ:ぐふふふ。やっと水深10mくらいにまで戻ってきたみたいね。
ジ:お水をガンガン飲めば、あと5mくらいまでは戻るんじゃないか?
蝶:あなたたち、いつの間にか、すっかり頼れるバディに成長してて、うれしいわ〜。
ジ:これも蝶々夫人の教えのおかげです!
蝶:調子いいこと言って〜。でも判断能力はもう戻ったから、その手には乗らなくてよ。伝票寄こしなさい。きっちり割り勘にさせていただくわ。