撮りたいシーンが目白押し!PNGフォトリポート

DIVER9月号のPNG特集で紹介したアロタウ&カビエンの注目度が今高まっています。「もっとダイビングの情報も知りたい」というかたのために、実際にアロタウ&カビエンを訪れた水中写真愛好家の畑中玲さんに現地を訪れた様子を伺いました。

Q1.畑中さんのプロフィールを教えてください。

ダイビング歴は15年、レスキューダイバーです。1,300本ぐらい潜っています。セブでCカードを取ったこともあり、主に暖かい海を中心に潜ってきました。パプアニューギニア、タイ、フィリピン、インドネシア、モルディブ、ミャンマー、パラオ、サイパン、グアム、メキシコのラパスやセノーテも潜りました。国内では離島を含む沖縄がメインですが、伊豆、葉山、三陸、函館も潜ったことがあります。よく行くのはタイ、インドネシア、フィリピンです。メキシコも好きです。ここ1,2年はPNGにもハマり出しました。今の撮影機材はCanonのEOS 5D mark IIIです。Sea & Seaのハウジングを使っています。

【アロタウ&カビエンについて聞きました!】

【アロタウ編】
Q2.アロタウに行ったのはいつですか?選んだ理由は?

2018年8月です。8日間の日程で行きました。決め手は森と海が一体となった景観や、面白そうな生物、海の中のカラフルさが好みに合っていたので。特に海から森が見える景色が撮りたかったんです。

Q3.アロタウでのお気に入りショットは?

木漏れ日ポイント「Deacon’s Reef」です。やはり、海と森が一体となった景色が一番撮りたい作品でした。カラフルな海に森の緑を混ぜることができた作品が一番のお気に入りです。ただ、「Deacon’s Reef」でステキだったのは木漏れ日だけではなく、元気なサンゴ、とてもカラフルなハナダイの仲間たちが乱舞している姿も印象的でした。そちらもいい感じに撮れたので気に入っています。

こちらの元気なサンゴも「Deacon’s Reef」での撮影

Q4.アロタウならではの生物写真も見せてください。

ボロカサゴのPNGとグレートバリアリーフの固有種、レイシースコーピオンフィッシュです。激レアキャラと聞いていましたが、いるポイントにはかなりの確率でいました(笑)。

ミルンベイの固有種のミルンベイピグミーシーホースに出会えたのもよかったです。

 

Q5.もう一度アロタウに行けるとしたら叶えたいことは?

外海ポイントにもっとたくさん潜ってみたいです。外洋には大物狙いのポイントや、たくさんの種類のピグミーシーホースが見られるポイントなど、さらにバラエティに富んだたくさんのダイブサイトがたくさんあると聞いています。

じつは私が行った8月はアロタウの一般的なシーズンではなくて、南風が強く、外洋のポイントには行きにくいシーズンなのです。逆にその南風が南から透明度のいい海水を運んでくるので「Deacon’s Reef」などの半島北側の風を避けられるポイントで撮影するにはいい時期だと思い、8月のアロタウ行きを決め、狙い通りとなりました。次回はミルンベイ外洋を楽しんでみたいと思います。

アロタウの外洋ポイント「Crinoid city」で

【カビエン編】
Q6.カビエンに行ったのはいつですか?選んだ理由は?

2019年8月です。8日間の日程でした。行くことを決めたのはPNGの海にハマりつつあって、PNGの様々な海を経験したいなと思っていたのと、リセナン島というダイビングリゾートの本当に小さな島での滞在が魅力的に見えたからです。

Q7.カビエンでのお気に入りショットは?

「Helmut’s Reef」のハナダイとタカサゴのコラボ写真、そして、リセナン島の半水面写真です。

「Helmut’s Reef」での作品

 

宿泊していたコテージの先にあるビーチから海に入って砂地を探し、あぐらをかいて少し背中を丸めスノーケルで呼吸しながらの撮影(ちょっとした苦行)。マジックアワーの時間帯になるまで設定を変えながら撮影した

Q8.カビエン代表ポイントの1つ「Deep pete」は畑中さんからご覧になっていかがでしたか?

水深約40mに沈む零式観測機。2004年に“発見”されたそうだ

美しさと静けさ、時の流れを感じるポイントだと思います。透明度のいい海の砂地、ぽつんと佇む、ソフトコーラルと魚で装飾された、朽ちていく飛行機。そこに上から光が注ぐ景観がいろんな感情を呼び起こします。

Q9.カビエンで、とくに心奪われたシーンは?

ダイナミックなポイントが多いので僕はワイドが好みでした。マクロが楽しめるポイントもたくさんありますが、流れのタイミングが合ったときのポテンシャルがすごく高いと思うので、どちらかを選べと言われたらワイドを選びます。

「Helmut’s Reef」の活性化したタカサゴたちが縦横無尽に駆け巡るシーンがすごかったです。「Echuca Patch」の枝サンゴの上に無数の魚が絨毯のように広がっていたシーンも良かったです。

「Helmut’s Reef」で活性化したタカサゴ

「Echuca Patch」

あと、ワイドではないですが、わりとレアキャラのアケボノハゼがあちこちで見られます。時には団地と言っていいほど群れているのに驚きました。

 

Q10.もう一度カビエンに行けるとしたら叶えたいことは?

たくさんあります(笑)。ワイドだと、「Echuca Patch」のマダラトビエイの編隊、どんぴしゃで潮の流れが当たったときの「Albatross Passage」に潜る、「Peter’s Patch」のシャイなギンガメアジの群れを美しいリーフとともに迫力ある絵でとらえること。マクロならアケボノハゼ団地のアケボノハゼを美しく撮ることなどなど。普通に潜っても十分楽しいのですが、当たったときのポテンシャルをすごく感じる海なので、潜るほどもっといい絵が撮れるはずだって欲張りになってしまいました。

「Albatross Passage」

Q11.PNGへのダイビング旅行の際のアドバイス、教えてください!

PNGに限ったことではないですが、海外の空港での荷物の取り扱いは、割と雑な場合があるので、カメラ本体、レンズ、ハウジングなど精密な物はなるべく手持ちの荷物にすると安心です。機内に持ち込める大きさのスーツケースやリュックサックタイプのカメラバッグを使うといいかもしれません。

PNGの税関では、食べ物の持ち込みの無申告で、わりと引っかかってしまうようです。きちんと申告して、簡単に取り出せる場所にスナック菓子など、見せても全く問題ない物を用意しておくとスムーズと聞いたことがあります。

国内線は出発時刻が頻繁に変更になり、他の便と前後します。さらに現在搭乗中の便の表示もありませんのでアナウンスをきちんと聞いている必要があります。聞き取りに自信のない人は待合室の前の方に陣取って、列ができたらすかさず自分の便ではないか確認しておくと安心です。

ごくたまにですが、急な機材変更などで、オーバーブッキングになったりするので、特に帰りの便で、国内線のオンラインチェックインが可能ならやっておいて座席を確保しておくと確実です。

現地のリゾートの部屋にはたいてい虫除けスプレーがありますが、ダイニング、ラウンジなどでさっと使えるように小さい物を持って行くと便利です。

すぐに病院にかかれる環境ではないので、市販の風邪薬、胃薬、整腸剤を持って行くと安心です。

レンズは、ワイド系、マクロ系どちらも必要です!豪快で素晴らしい景観の海、おもしろ生物の宝庫、両方のレンズを持って行かないと後悔します。僕はワイドズームの17-40mmとマクロの100mをメインにしていて、ときどきフィッシュアイズームの8-15mm、単焦点28mmを使いました。

Q12.「永田町オーシャン」で、写真展をされると聞きました。どんな写真展ですか?

9/14(月)から11/27(金)まで永田町オーシャンさんで写真展「碧窓」を開催します。今年の1月に富士フォトギャラリー銀座で開催した写真展の巡回展です。僕たちの住む場所と、海と水とそこに生きる生き物たちの紡ぎ出す風景をつなぐ窓を壁いっぱいに作ってみたい。そんな思いのこもった写真展です。世界中の海の下に広がる色鮮やかな世界の作品を揃えました。今、海外の海を訪れることができなくなっていますので、美味しい料理とともに、世界の海を楽しんでもらえたらと思います。PNGの海の作品もあります!

畑中玲写真展「碧窓」
会期:2020年9月14日~11月27日
会場:洋風居酒屋「永田町オーシャン」
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-6-4海運ビル地下1階
電話:03-6261-6234
営業時間: 11:30~14:00(L.O 13:40)/ 17:30~22:00(L.O 21:00)
定休日:土日祝日

 

畑中玲さんのフォトギャラリーブログ
https://surgeonphoto.com/

【関連記事】
Vol.01 PNGの魅力とは?うみカメラマンむらいさちさんに聞きました!
Vol.02 PNGの魅力とは?海ガールMoenaさんに聞きました!
Vol.03 PNGのベテランガイド野崎さんに聞きました!

 

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Kishimoto

DIVER ONLINE 編集部

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