深海魚が見たい! おすすめダイビングエリアと解説

ふだんはダイバーが到達できない、漆黒の世界で暮らす深海魚たち。でも、一定の条件が揃ったときだけ、ふらりと浅瀬に訪れて、その艶姿を楽しませてくれる。深海へのロマンをかき立てる、不可思議でキモカワイイその姿は、かくも魅惑的!ぜひ、深海魚に会いにいこう。

深海魚を見に行こう!

伊豆半島周辺でよく見られるのはなぜ?

伊豆半島は西を駿河湾、東を相模湾に囲まれているが、この2つの湾は日本有数の深い海として知られ、しかも急深になっている。駿河湾では冬場に北寄りの季節風が強く吹き続き、それが「コリオリ力」という地球の回転による慣性力と相まって、海面近くの海水を西へと動かす。すると、それを補うように深場から湧昇流が起こって深海魚を連れてくると考えられている。また、深海魚の中には浅場と深場を行き来して暮らしているものも多い。周りに深海があれば、それらに出会う機会も多いというわけなのだ。

もっと知りたい!深海魚のこと

深海魚とは?

深海魚とは、深海に生息する魚類の総称。深海の定義は学問分野によって少し違ってくるが、海洋動物学では水深200m以下の海域が深海で、そこにすむ魚が深海魚ということになる。なぜ区切りが水深200mかと言えば、それが大陸棚の平均水深になっているからである。高い水圧、光の届かない漆黒の世界、低水温、さらに浅瀬に比べてエネルギー源となるものが少ない過酷な環境に適応するため、特殊な身体構造や生活様式を持っているのが大きな特徴だ。

ダイビングで見られる条件とは?

深海魚は、冬から早春の頃に見られることが多い。その理由には、浅場の水温が下がって深場との水温差が小さくなること、この季節に繁殖期を迎える深海魚が多いこと、強い季節風の影響などで潮の変化が起きやすいことなどが考えられる。水深2500mにも達する駿河湾に面した伊豆半島では、とくに、陸から海に向けて強い風が吹き続けた後、それまでの潮に替わって冷たい潮や浮遊物の多い潮が入ったときに深海魚が見られることが多いようだ。

どんな深海魚が見られる?

たとえば、西伊豆・大瀬崎では例年12〜4月頃まで深海魚の目撃談が相次いでいる。中でも鍋の食材としても人気の高いアンコウは、いまや冬の大瀬の風物詩となっているほどで、多い日には1日に3個体も出たことがあるそうだ。その他にも、ストローのような吻が特徴のサギフエは夜になると浅瀬に上がってきて、「サギフエ玉」が見られることも。さらに運がよければ、チョウチンアンコウやリュウグウノツカイといった幻の深海魚まで登場し、真冬のダイバーたちを熱くさせている。

深海魚の浮き袋に多い特徴は?

深海では水圧がとても強いため、そこにすむ魚には浮力を得るためのさまざまな特徴が備わっている。脂肪が詰まった浮き袋もその1つだ。通常、魚は浮き袋に気体(外気や体内ガス)を出し入れして浮力を調整している。しかし、深海では水圧が強すぎて、気体を入れた浮き袋では潰されてしまう。そこで浮き袋を比重の軽い脂肪で満たすことで、浮き袋を潰されることなく浮力を得ているのである。

近ごろ何かと話題の深海魚。会おうと思っても、そう簡単に会えるわけではないが、ダイバーであれば、思わぬところでその願いをかなえることも決して夢ではない。深海からの使者は、まるで未知との遭遇。ぜひ、その感動と興奮を味わいに行こう!

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Suga

DIVER ONLINE 編集部

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