マンボウに会いに行こう!
どんな生き物?
マンボウは他の魚に比べてかなり特徴的だ。のっぺりとした体形に、体の上下に長く突き出ているのは背ビレと臀ビレ。尾ビレはなく、体の後端には舵ビレがある。こんな形でどうやって泳ぐのだろうと心配になってしまうが、背ビレと臀ビレを上手に使って泳ぎ、舵ビレで方向転換する。生態は詳しくわかっていないが、外洋を回遊し海面近くからかなりの深海まで移動し、採餌やクリーニングを受けるために沿岸部へ寄ってくるようだ。食物は主にクラゲやプランクトン、イカなどを食べている。
いつ、どこで会える?
ダイビングではめったに会うことができない幻の魚。けれども近ごろ、そのマンボウを狙ったダイビングが行われるポイントが現れた。それはなんと、ダイバーのメッカ・大瀬崎。5~6月にかけてと秋の一時期、大瀬崎の外海でシラコダイのクリーニングを受けるマンボウが見られるとのこと。また東伊豆の伊東でも、1〜4月に見られることがあるという。お手軽なところでは千葉・館山市の波佐間で、定置網に入ったマンボウをダイビングで見ることができるからチェックしてみよう。
もっと知りたいマンボウのこと
日本には2種類のマンボウがいた!
いわゆるマンボウとはフグ目マンボウ科マンボウ属の魚のことで、マンボウと南半球に分布するゴウシュウマンボウの2種とされていた。しかし近年、日本近海には別のマンボウが存在しているとがわかった。従来のマンボウが小型で舵ビレが花びらのように波打っているのに対し、もう一方は2m以上と大型で舵ビレが波打っておらず、おでこにデッパリがある。東北の漁師が以前からマンボウと区別して呼んでいたウシマンボウが新和名として採用され、これで日本のマンボウは2種類となった。
マンボウの飼育
国内の水族館などで観賞できるが、その飼育は大変難しいとされている。主な理由は、泳ぎが下手なため自ら水槽の壁に体をぶつけて弱ってしまうこと、寄生虫が多く皮膚が弱いことなどが挙げられる。そのため、水槽内にビニールやネットの壁をめぐらせてマンボウを守るなどの対策が取られているそうだ。
マンボウを食す
宮城県から千葉県にかけてと東伊豆、三重県などではマンボウを食す文化が残されている。肉は白身であっさりとしていて、刺身(肝和え)や煮つけ、天ぷら、フライなどで食べられる。鮮度が落ちると臭みが出てしまうため、ほとんど現地で消費され、市場に流通することは少ない。
大瀬崎でのマンボウダイビングと、ウシマンボウの登録という2つのニュースによって、にわかに沸き立つマンボウブーム。大瀬崎のマンボウは水温16度前後の頃やや深めの水深で見られ、遭遇率は2割程度という。決して容易ではないが、ぜひ会いに行ってみよう!