コラムニスト:堀口和重
vol.17 ちびっこアオリイカのナイトライフ
秋に向けて、大瀬崎で見られる浮遊系生物たちも着々と変化し始めています。普通なら、今月は秋の出物の紹介となるところですが、あえて、夏の終わりに見られた「アオリイカ」の話を紹介します。
「なんだぁ、アオリイカなら何度も見て知ってるよ」っという方もいるかもしれませんが、ライトトラップで寄ってくるアオリイカは、産卵シーンで知られるあの姿とはまた異なるのです。
どこが違うかーー、まずはサイズ! 初夏に生まれたアオリイカの子供たちはどんどんと成長を遂げ、夏の終わりごろには10cm前後になります。夏には、水面付近でそんなちびっこアオリイカたちを観察できます。特に皆さんに見てもらいたいのは色彩! 夜の姿は、昼間に見るアオリイカよりももっときれいになるのです。
こちらはライトの様子が気になって現れた好奇心おう盛な子のシルエット
さらに寄ってみてみるとこんな感じ。色素細胞とライトの光で、ボディが黄金色っぽく輝いて、これがアオリイカ? というほどきれいなのです!
そして最後は捕食シーン! 夜の海では、水面に集まる稚魚たちを狙って捕まえる瞬間も見られるのです!
巨大サイズのアオリイカが、ペアが産卵にやってくる様子は感動的ですが、夜のちびっこたちの姿も写真に残してみませんか? 「アオリイカの1年」、なんていう作品ができちゃうかもしれないですよ。
コラムニスト
堀口 和重(ほりぐち・かずしげ)さん
西伊豆大瀬崎の<大瀬館マリンサービス>でガイドとして勤務。好きな生物は、クラゲ類・幼生類・ホタルイカモドキの仲間などの浮遊系。水中写真家・阿部秀樹氏のライトトラップに影響を受け、3年前よりナイトダイビングが可能な日は撮影&ガイドを行っている。1986年生まれ。