あなたはどこに行く?イルカ・クジラと泳げる世界の海

「イルカ、クジラといっしょに泳ぎたい」。そんな夢をかなえてくれる世界のデスティネーションを厳選してご紹介。旅の情報から、いっしょに泳ぐコツまで見逃せない情報盛りだくさんでお届けします。

INDEX

1.メキシコ・ソコロ島
2.タヒチ・ランギロア島
3.オーストラリア・ニンガルーリーフ
4.オーストラリア・リボンリーフ
5.アメリカ・ハワイ島
6.トンガ・トンガタプ島
関連記事

 

メキシコ・ソコロ島<Socorro island, Mexico>

アクセスはクルーズのみイルカが舞い、クジラが唄う海

メキシコ、バハ・カリフォルニア半島の南西約390kmの太平洋上に浮かぶ島、ソコロ島。この島が属するレビジャヒヘド諸島は世界自然遺産に登録され、豊かな生態系から「メキシコのガラパゴス」と呼ばれています。

唯一の移動手段はカボ・サン・ルーカスから出航するクルーズ船。港からまる1日かけてようやく到着するこの島ではハシナガイルカ、ザトウクジラともにほぼ確実に遭遇できるんです。夢のようなソコロ島クルーズを運航している〈Nautilus Dive Adventures〉のマイク・リーバーさんに話を伺いました。

「水中で初めてイルカを見かけたのは約9年前。群れのリーダーと思われるメスのイルカでした。何度も出くわすうちに群れはじょじょにダイバーと触れ合いを楽しむようになり、今ではクルーズ船が運航している11~7月の間、毎回出会えるようになりました」。

ザトウクジラは1~4月、ゴンドウクジラは5~6月に観察できる

 

イルカとクジラ両方楽しむならソコロ島一択

遭遇率の高いポイント「Cabo Pearse」はザトウクジラやゴンドウクジラも見られる大物ポイントで透明度は平均15~40m、最大水深は30mほど。ダイビングでクジラに出会うのはレアですが、スノーケリングならほぼ100%いっしょに泳ぐことができます。

ソコロ島クルーズと聞くと、ベテランダイバーでなければ参加できないというイメージが浮かぶかもしれませんが、じつはノンダイバーやスノーケラーも大歓迎!初めてでもできるだけ長く彼らといっしょに過ごすコツをマイクさんに教えてもらいました。

「いちばんは落ち着いて行動すること。次に彼らの目を見て、尊敬し大切に思っていると伝えることです。少しおかしく聞こえるかもしれませんが、目を見れば、彼らもそれを理解してくれていると感じるはずです」。

すり寄ってくるハシナガイルカ。おさわりNGなので気をつけよう

 

クルーズ中、スノーケリングは時間無制限で楽しむことができる

 

ソコロ島の旅ガイド

12日間のモデルプラン

【料金の目安:48.5万円〜】

1日目 成田:午後発

メキシコシティ:乗継

ロスカボス:深夜着

2日目 カボサンルーカス港:夜クルーズ乗船
3日目 ソコロ諸島:深夜着
4~8日目 3~5ダイブ (+スノーケル)
9日目 ソコロ諸島:朝発
10日目 カボサンルーカス港:朝着

ロスカボス:夕方発

メキシコシティ:夜着

11日目 メキシコシティ:早朝発
12日目 成田:朝着

 

タヒチ・ランギロア島<Rangiroa island, Tahiti>

 

夢の「イルカとダイビング」がかなう島

イルカと“泳げる場所”は国内外にいくつもありますが、イルカと“ダイビングができる場所”はじつはとても少ないんです。フレンドリーなことでも知られているハンドウイルカが暮らすタヒチ・ランギロア島は「イルカとダイビング」を可能にする数少ないデスティネーションです。

ランギロア島にあるダイビングサービス〈TOP DIVE〉の杉本ゆかりさんによると、「この島のイルカは通年、ほぼ毎日見ることができますが、とっても気分屋さん。出会いやすい時間帯を訊かれることもあるのですが規則性はほとんどなく、“気分しだい”なんです」。

イルカダイビングの舞台はランギロア島を代表する「ティプタ・パス」と「アバトル・パス」。島と島の間にあり、水路のような地形が特徴です。

ダイバーの泡に興味を持って遊ぶこともあるランギロア島のイルカ

 

ビギナー歓迎!人生初イルカダイブはこの島で

「遭遇率が高いエリアは外洋のリーフ周辺。内湾から外洋へ向かって流れるアウトゴーイングのときのほうが、イルカを探す時間をとりやすいです。近づいてきたときにくるくる回ったりすると興味を持ってくれます。運がいいといっしょになって周りを回って遊んでくれますよ」。と杉本さん。

ランギロア島周辺では一年中ハンドウイルカとダイビングができる

好奇心旺盛だけれど気分屋のイルカ。スキンシップも大好きで、遊びたいときは向こうから近寄って来てタッチしてくれることも。ただし、追いかけ回すのはNGなので注意しましょう。また、写真を撮るのに夢中になって急浮上、急潜降してしまうこともあるので、深度管理にはじゅうぶん気をつけてくださいね。

海況にもよりますが、ビギナーダイバーでも参加可能!そして、驚きなのは体験ダイビングでもイルカに出会えるチャンスがあるということです。合計3ダイブ潜る体験ダイビングのプログラムに参加すれば、3本目でイルカが狙える外洋ポイントに連れて行ってもらうことができますよ。

どちらのポイントも桟橋からボートで5~20分ほどで到着する

 

ボラボラ島など、他の島では8月中旬~10月頃ザトウクジラが見られる

 

ランギロア島の旅ガイド

8日間のモデルプラン

【料金の目安:35.8万円〜】

1日目 成田:夕方発

パペーテ:乗継

ランギロア着

2~5日目 2ダイブ
6日目 ランギロア発

パペーテ着

自由行動

7日目 パペーテ:朝発
8日目 成田:午後着

 

 

オーストラリア・ニンガルーリーフ<Ningaloo reef, Australia>

数千のクジラが集まる世界遺産の海でクジラスイム

オーストラリアの都市・パースから北へ1270km。ノースウエストケープの北端に位置する街、エクスマウス。2011年に世界自然遺産に登録された、260kmにわたる広大なサンゴ礁「ニンガルーリーフ」の玄関口です。初めて聞く人も多いかもしれませんが、ザトウクジラが集まる海域として今注目のエリア。

エクスマウスのダイビングサービス〈Exmouth Dive & Whalesharks Ningaloo〉のデビー・ファーガソンさんによると、「例年6~10月末まで、エクスマウス周辺海域で多くのザトウクジラを観察することができます。彼らは南極から交尾と出産のため温かい海域に向かって北上し、夏は捕食を目的に南極に戻るため移動しています。そのルート上に『ニンガルーリーフ』があります。彼らはこの海域を安全に休息できる場所として使用していると考えられています」。

ウォッチングとスイムを両方楽しむなら8~10月がベストシーズン

 

クジラスイムで使用するボート。用途別に計5隻を使い分ける

 

クジラたちの休息の場 ニンガルーリーフ

エクスマウスでのクジラスイムの特徴は、独自のサーチ方法にあります。上空の偵察機と連携をとり、海と空の両方からクジラを捜索するという超ハイテクサーチ!「空の目」が正確な位置を捉え、効率的に居場所を特定すると、海上にいる経験豊富なチームが海況を読み、ゲストを安全にクジラの元まで連れて行ってくれます。こうした連携により、80%という高い遭遇率をキープしているんのだそう。

クジラスイムツアーは8~10月までの開催しています。ダイビング禁止のエリアなので、13歳以上ならノンダイバーでも参加可能ですが、1人で泳げる程度の泳力が必要になります。水温は23~25℃ほど。保温と浮力キープのためにも、3~5mmのフルスーツ着用がオススメです。

運がいいと体長8mに満たない子クジラを観察できる

 

ショップ外観。エクスマウスではジンベエザメが見られることでも有名だ

 

エクスマウスの旅ガイド

6日間のモデルプラン

【料金の目安:27万円~】

1日目 成田:昼発

パース:夜着

2日目 パース:昼発

エクスマウス:午後着

自由行動

3日目 2ダイブ
4日目 ホエールスイム
5日目 エクスマウス:午後発

パース:乗継

6日目 成田:朝着

 

オーストラリア・リボンリーフ<Ribbon reef, Australia>

 

ドワーフミンククジラが暮らすサンゴの楽園

美しいサンゴ礁が広がる海として知られているグレートバリアリーフ。毎年6~7月にかけて、ほぼ100%の確率でドワーフミンククジラ、「通称・ミンキー」に出会えるということはご存知でしたか?

ケアンズからクルーズ船に乗り、ダイビングをしながら一晩かけて移動。到着するのは「リボンリーフ」と呼ばれるエリアです。流れはほぼなく穏やかそのもの。30m先まで見渡せる透明度の高い海が広がっています。遭遇率がとくに高いのはサンゴ礁で出来た根がある「スティーブンスボミー」と「ライトハウスボミー」というポイント。

フレンドリーなミンキー。向こうから近寄ってきてくれることも

 

カタマランのダイビングクルーズ船「オーシャンクエスト号」

 

世界一人懐っこいクジラ ミンキーと泳ぐ

ケアンズから出航するダイビングクルーズ船『オーシャンクエスト号』『スピリットオブフリーダム号』などを有する〈Entrada Travel Group〉の秋吉聖二さんによると、「ミンキーに遭遇すると、ダイビングスケジュールが変更になり、ゲストが待ち望んでいるクジラスイムへと切り替わります。遭遇するのは水面から5mほどの範囲。船から放たれるロープをガイドラインにして、スノーケリングするのがここでのルールです」とのこと。

ミンキーのご機嫌にもよりますが、2時間以上いっしょに泳ぐことができるラッキーなときもあるといいます。 海が穏やかで、水面が凪いでいるときのほうが見つけやすいため、「リボンリーフ」の穏やかな海況はクジラサーチにうってつけ!

また、他のボートが集まり情報交換できる午後ならより遭遇しやすいと言われています。クジラの中でも小型でフレンドリーなミンキーはダイビング中に姿を現し、興味を持って近づいて来ることもしばしばあるのだそう。その場合でも、ガイドの指示に従い驚かせないよう心がけてくださいね。

クルーズ船から放たれるロープにつかまって観察する

 

「リボンリーフ」なら美しいサンゴ礁でのダイビングも楽しめる

 

ケアンズの南東沖フランクランド島ではザトウクジラを観察できる。写真はとても珍しいアルビノ・通称ミガル―

 

ケアンズの旅ガイド

6日間のモデルプラン

【料金の目安:21.2万円〜】

エクスマウスの旅ガイド

6日間のモデルプラン

【料金の目安:27万円~】

1日目 成田:夜発
2日目 ケアンズ:早朝発

港:クルーズ船乗船

2ダイブ

3日目 4~5ダイブ
4日目 4~5ダイブ

ダイビング後リザード島へ移動

5日目 リザード島:午前発

ケアンズ:昼着

6日目 ケアンズ:昼発

成田:夜着

 

アメリカ・ハワイ島<Hawaii island, America>

 

毎日がベストシーズンイルカと泳げる常夏の島

ハワイ諸島最大の島、ハワイ島。島の西側、コナコースト沿いはイルカの生息地で、水深10mくらいまでの浅場ではハワイアンスピナードルフィン、深場ではハンドウイルカが観察できる、まさにイルカの島。
ハワイ島ではイルカ保護のためいくつかのルールが定められているといいます。

ハワイ島では通年観察することができ、遭遇率は80~85%ほど

 

コナブルー広がるハワイ島西海岸一帯が彼らの住みか

カイルア・コナの老舗ダイビングサービス〈Jack’sDiving Locker〉のアンジェラ・ワーナーさんによると、「彼らの行動を制限しない、追いかけない、触らないが基本ルール。長くいっしょに過ごす秘訣は驚かさないこと。近づいてきたら、体の動きをスローペースにして、腕は使わずフィンキックだけで泳ぐことを意識してみてくださいね」。

スイム前に最新ルールをしっかりレクチャーしてくれるので、アップデートして楽しく安全なスイムを満喫しましょう。

港を出てすぐ~ボートで30分ほどの近場で観察できる

 

ツアーは午前開催。午後はリゾートでのんびりしたり観光も可能だ

 

ハワイ島の旅ガイド

6日間のモデルプラン

【料金の目安:17万円〜】

1日目 成田:夜発

ハワイ島:昼着

2日目 2ダイブ
3~4日目 終日自由行動(ドルフィンスイム)
5日目 ハワイ島:昼発
6日目 成田:夕方着

 

トンガ・トンガタプ島<Tongatapu island, Tonga>

 

首都の島でクジラに出会える自然王国

トンガのクジラと聞くとババウ諸島をイメージする人が多いのではないでしょうか。じつは首都があるトンガタプ島周辺でも例年7~10月の間、デイトリップでザトウクジラスイムを楽しむことができます。ポイントまではボートで約1時間。2チームに分かれて母船と小型ボートに乗船し、少人数でスノーケリングを行います。

 

子クジラをかばうように遊泳する親のザトウクジラ

 

満足度◎じっくり、のんびり楽しむランデブー

「出航できれば、ほぼ100%の遭遇率を誇ります。参加者の多くはオーストラリアなど周辺地域からの観光客。船上、水中が混雑するということもなく、1人1人がじっくり観察できるのが魅力です」 と話してくれたのはトンガタプ島のクジラスイムツアーを取り扱う〈PNGジャパン〉の山辺登さん。

チームごとにクジラスイムを行うため、クジラの姿をしっかり動画や写真におさめることができるのもうれしいポイントですね。

クジラスイムの説明を聞きながらのんびり約1時間のボート移動

 

ゲストをケアするのはクジラを熟知した気さくなスタッフたち

 

トンガタプ島の旅ガイド

6日間のモデルプラン

【料金の目安:35万円〜】

1日目 成田:夜発
2日目 オークランド:朝着

オークランド:夕方発

トンガ島:夜着

3~4日目 ホエールスイム
5日目 観光ツアー参加

トンガ島:深夜発

オークランド:深夜着

6日目 オークランド:朝発

成田:夕方着

 

いかがでしたか?
イルカ・クジラに出会える世界の海を6か所ご紹介しました。
DIVER ONLINEでは、他にもイルカやクジラの記事がアップされています。
合わせて読みたい記事のリンクを貼ってありますので、ぜひぜひチェックしてみてくださいね。

 

関連記事はこちら

DIVER2020年5月号

イルカと泳ぎたい! おすすめダイビングエリアと解説

クジラに会いたい! おすすめダイビングエリアと解説

 

協力=DIVE NAVI
文=古閑沙希子
雑誌DIVER5月号No.461より

AUTHOR

Koga

DIVER ONLINE 編集部

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