TRAINING 01~ベイルアウト
SNSIのインストラクター試験に必須となるのが、このベイルアウト。かつては他に実施する指導団体も存在していたが、現在はSNSI だけが必須としているスキルだ。BC とレギュレーター、フィン、マスク、ウエイト、すべての器材を脱着した状態で、手に抱えて5mプールへエントリー。適正ウエイトなので息を思い切り吸った状態では潜降できないため、少し息を吐いた状態で、エントリーをするのがコツだ。着底したらバルブを開け、レギュレーターをくわえてエアの確保。続いて、フィン、ウエイト、BC、マスクの順に装着をしていく。しっかりと経験を積み、スキルを身につけたダイバーが手順を理解して練習をすれば達成できるようになるが、トレーニングには安全管理と確かなスキルが必要。SNSIのインストラクターの指導のもと、安全に実施するようにしよう。
TRAINING 02~4点回収
スキンダイビングのトレーニングで実施されることの多い「3点(マスク、フィン、ウエイト)回収」のスクーババージョン。SNSIでは、ダイブマスターの推奨トレーニングとして実施されている。スクーバ器材、フィン、マスク、ウエイトをプールの底で外してそこに置き、浮上して2呼吸してすべて回収して装着するというもの。ウエイトもフィンも付けず、ウエットスーツを着用したプラス浮力状態で潜降するため、息ごらえと、正しいヘッドファーストと高度なスキルが必要になる。着底後はウエイトをまず装着してからエアを確保。フィン、BC、マスクを付けて完了となる。
TRAINING 03~水中での器材交換
バディと2 人で行うトレーニング。器材にトラブルが生じた場合など、自分の器材とバディの器材を交換することで、トラブルや不安を解消することを目的としたスキルだ。SNSI のプログラムではレスキューダイバーコースから行うスキルのため、インストラクターは人に教えられるところまで技術を高めることが求められる。ホバリングをした状態で、バディと向き合い、バディブリージングを行いながら器材交換を行うが、同じ位置、水深で中性浮力をとりながらすべての手順をこなすのには、確かな技術が必要となる。
真のプロフェッショナルの育成は、広く開かれている
厳格なプロ基準を設ける理由について、SNSIジャパンの栗山さんはこう話す。「ベイルアウトや4点回収などSNSIで習得するスキルは、自身のリーダーシップの資質を見定めるためにも重要と考えています。これは、日本国内だけの話ではなく、イタリアをはじめとしたインターナショナル全体で実施しているSNSI基準。国際的な指導団体だからこそ、できることなのです」。
目指すのは、真のプロフェッショナルを育成すること。たとえば、インストラクター試験で行うベイルアウトは、自分自身の器材の扱い方をマスターすること、そして呼吸コントロールをしなければならない状況下で、落ち着いて行動ができることをスキルの目的としている。日本でもこのような充実した内容が支持され、プロとして活躍したい人だけでなく、自分のスキルを高めたいというダイバーの受講も急増しているという。
「SNSIのインストラクターは全員がダイビング事業者の運営するダイブセンターに所属しており、フリーのインストラクターは存在しません。そのため、活動を始めたてのダイブマスターやインストラクターは、ベテランインストラクターのアドバイスを受けながら経験を積むことができます。セカンドジョブとしての指導者資格を目指す人など、専業者のみならず、あらゆる立場の人が知識のブラッシュアップや情報のアップデートも望める環境が整っているのです」
SNSI のグローバルなつながりは急速に拡大中
CEOのFulvia Lami氏(右上写真右)率いるSNSIは、欧米はもとより世界中で急速に広がっている。SNSI ジャパン代表の栗山禎尚氏(右上写真左)は海外での展示会にも足を運ぶなど、グローバルなネットワーク形成に積極的だ。