安全なダイビングのために必要不可欠なダイブコンピュータ(以下ダイコン)。
登山をするときに無計画で登ることがないように、ダイビングもダイコンを使用して事前に潜水計画やリアルタイムの情報を確認しながら潜るもの。
いまさら聞けない基本知識をチェックして、安全潜水を心がけよう!
近年はスマートウォッチにダイコンの機能が搭載されたものも(GARMIN/Descent TM Mk1)
いまさら聞けないダイブコンピュータの基本知識
ダイコンはなんのためにあるの?
安全なダイビングを行うために必要不可欠なアイテム!
水深や潜水時間、水温などダイビング中のデータをリアルタイムで表示し、潜水後にはダイビング記録(ログ)を確認することもできます。しかし、それだけではちょっと便利な腕時計止まり。
もっとも重要な用途は、無減圧潜水時間や残留窒素排出時間を知ることで、減圧症の予防に役立てること。
現在の水深にあと何分いられるか、ダイビングのあと体内の窒素はあとどれぐらいで抜けるのかをひと目で確認することができます。
ガイドやバディと共有は可能?
「ガイドが持っているから大丈夫」と思っているあなたは大間違い!
ダイコンは深度を10cm単位で測定しており、ガイドやバディとまったく同じ深度で潜ることはまず不可能。
ダイビングパターンは一人ひとり異なるため、自分専用のものを持つべきです。
また、海外では必携の国もあり、持っていないと潜れない場合もあります。
なお、グループやバディの間でコンピュータの指示が一致しない場合は、最も厳しいものに従うのが鉄則です。
ダイコンの主な機能とは?
機能は機種によってさまざまですが、必要最低限の基本機能は同じ。
水中では無減圧潜水時間、現在水深、潜水時間、水温などを表示。ほとんどの機種でナイトロックス(酸素濃度が21%より高い気体)にも対応しています。
また、浮上速度が速いとアラームが鳴ったり、振動で通知するほか、安全停止の際3分間のカウント機能を搭載しています。
陸上では時計、残留窒素排出時間(飛行機搭乗の可否)、潜水計画をたてるためのプラン機能、水面休息時間やログの確認などをすることが多いです。
ログ機能ってなに?
潜水時間や最大水深、水温、エントリー・エグジット時間などのデータを記録してくれる機能で、ログ付けに便利。
初めて利用するショップでログブックの提示が求められることがありますが、ログ機能を使えば簡単にログブックに潜水記録を記入することができます。
機種によって記録可能本数は異なり、パソコンやスマホと同期して、ログデータを転送・管理できる機種も多くなってきました。
ダイブテーブルではダメ?
ダイブテーブルは、ダイコンと同じく潜水計画を事前に立て、減圧症予防に役立つツールです。
しかし、一定水深にとどまるダイビング(「モノレベルダイビング」や「箱型潜水」と呼ばれています)をベースにしているので、レクレーショナルダイビングのように最大水深からじょじょに浅く深度をとるマルチレベルダイビングには不向き。
ダイコンの場合はリアルタイムで実際の深度を測定しているので、モノレベルの計画よりも無減圧潜水時間が長く、より長時間ダイビングを楽しむことができます。
赤の斜線部分がダイブテーブルの想定しているモノレベルのダイブプラン。斜線の部分も窒素を体内に入れている計算になるので、その分潜水時間が少なくなってしまう。
使い方は難しい?
ほとんどのダイコンは、初期設定のまま、難しい操作をする必要はありません。
水感知起動機能が付いているため、水中に入ると自動的に画面がダイブモードに切り替わります。
エグジット後は自動的に時計モードに戻る機種がほとんどです。ただし、ナイトロックスや高所潜水などは事前の設定が必要な場合も。
メーカーやモデルによって操作方法が違うため、取扱説明書はしっかりと読んでおくことが大切。水中で慌てることがないよう、事前に使い方を確認しておきましょう。
ダイコンの表示に従えば安全?
答えはNO! 無減圧潜水時間は、減圧理論(アルゴリズム)によって導き出されています。
近年はより安全性の高い(より厳しい)アルゴリズムが主流で、ダイコンの信頼性は高くなっているものの、人によって体型や体質も違えば、日によって体調も異なり、無減圧潜水時間の範囲内であっても減圧症になるケースはゼロではありません。
表示されている数値を過信せず、余裕のあるダイビングを心がけましょう。
また、できる限り長い水面休息時間をとり、水分を多めに摂ることも心がけましょう。
どんな種類があるの?
主流のコンパクトなウォッチ型の他に、リスト型、コンソール型とタイプはさまざま。
価格帯も5万円以下から15万円以上するものもあります。レクリエーショナルダイビングで使用するための必要最低限の機能はほとんどのダイコンに備わっているので安心です。
タンクにトランスミッターをつけて、ダイコンに残圧を表示したり、テクニカルダイビングで使用できるように、何種類ものガスに対応したものまであります。
従来は電池交換が必要なものが多かったですが、最近ではソーラー充電やUSB充電式のものも多く普及してきました。
近年は高機能のスマートウォッチにダイコンの機能を搭載したものまで登場し、注目を集めています。
カラー表示のダイコンも増えてきました(SHEARWATER/TERIC)
ダイバーなら知っておくべき用語をチェック!
無減圧潜水時間(NDL)
減圧停止を必要とぜずにその水深にいることができる時間。水深が深くなると短く、浅くなると長くなります。ダイコンには、NO Decompression Limitの略で「NDL」と表示されます。
安全停止
減圧症予防のためのルール。エグジット前に水深5m付近で3分間停止することで、体内に溜まった窒素を呼吸とともに体外へ排出します。ダイコンには安全停止の3分間のカウント機能がついているものが多いです。
浮上速度
水面に向かって浮上する速度。体内に溜まった窒素が気泡化しないよう、また、肺の過膨張による障害予防に役立てるため、9~10m/分、どんなに速くても18m/分を越さない速度での浮上が推奨されています。ほとんどの機種で、浮上速度が速いとアラームや振動などで警告してくれます。
減圧理論(アルゴリズム)
身体に溜まった窒素の量を算出する計算方式のこと。ダイコンに表示される無減圧潜水時間などは、使用中のダイバーの体内に吸収された窒素をもとに出しているわけではなく、研究による理論をもとに計算されたもので、機種により採用しているアルゴリズムは異なります。
水面休息時間
水面に浮上してから、次のダイビングで潜降するまで、陸上で過ごしている時間のこと。水面休息時間を長くとるほど、体内から窒素は排出されていきます。サーフェスタイム、インターバルとも言い、ダイコンには「SURF.T」などと表示されるものもあります。
反復潜水
1回のダイビングをした後、10分から12時間の水面休息後に行われる潜水。体内に溜まった窒素が完全に排出される前に行われるダイビングであり、安全のために前回より浅い水深で潜るのがルールです。
ダイバーなら知っておくべき、ダイブモードの表示もチェック!
注目のダイブコンピュータをクローズアップ!
ひとくちにダイブコンピュータといっても、シンプルなものから、多機能、スマートウォッチタイプまでさまざま。
そこで、DIVER編集部が気になるダイコンをクローズアップしました!
GARMINのスマートウォッチ型ダイビングコンピュータを使ってみた!
2019年2月に日本での発売が始まったGARMIN「Descent TM Mk1」は、ダイビングも日常もあらゆるシーンを高い頭脳でサポートしてくれるスマートウォッチ型ダイビングコンピュータ。水面でのGPSポイント記録やナビゲーション、心拍計測など、水陸ともに最先端な多機能が大注目。水中写真家・古見きゅうさんもオン・オフで愛用中。
大画面カラーダイブコンピュータ「COSMIQ+」使用レポ!
GARMIN「Descent TM MK1」やSHEARWATER「TERIC」をはじめ、主流になりつつあるカラー表示のダイブコンピュータ。 高価な印象がありますが、リーズナブルなものも登場しています。 そこで、コスパ最高なカラー表示ダイブコンピュータ、Deepblu「COSMIQ+」の使用感レポートです!