マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
サンゴとサンゴ礁 違いのわかる男
マリン:サンゴがあるような暖かい南の島に行きたいな〜
ジョー:サンゴなら伊豆の海でも見られるよ。
マ:えっ!? ウソ〜? ビギナーだからって、また私をおちょくってるんでしょ。
ジ:本当だよ。ね、蝶々夫人。
蝶々夫人:そうね、サンゴなら伊豆の海でも見られるわよ。最近では紀伊半島にある串本のサンゴがラムサール条約に登録されて、話題よね。
マ:知らなかったわ〜。サンゴ礁ってそんな近くにあったのね。
ジ:お〜っと。サンゴとサンゴ礁を混同しちゃいけないぜ。「サンゴ」というと動物、「サンゴ礁」というと地形を意味するんだ。
蝶:よく勉強してるわね〜、感心感心。サンゴは、イソギンチャクやクラゲと同じ刺胞動物の仲間だけれど、石灰質の骨があるのが特徴ね。死んだサンゴの骨が、何千年もかけて積み重なってできた山がサンゴ礁というわけ。ダイバーが見ているのはその山の上に定着した、生きているサンゴで、サンゴ礁全体ではごく表面的な部分なのよ。
マ:あれ? でもちょっと待って。
伊豆辺りで見られるのはサンゴ礁じゃないとしたら、なんて呼べばいいの? ただのサンゴ?
ジ:サンゴ群落と呼ぶのさ。
マ:ふ〜ん。じゃあ、オーストラリアのグレートバリアリーフはサンゴ礁?
蝶:そうよ、しかも世界最大のサンゴ礁で、その長さは日本列島と同じ2000 。
マ:WOW! グレートと言うからにはスケールが半端じゃないわね。
じゃあ陸からでもよく見えるんでしょう?
蝶:それがね、陸からは200 も離れていて船でしかいけない距離なのよ。沖縄辺りだと陸から数百mのところにあるから、サンゴ礁をもっと身近に感じるのよね。
ジ:裾(きょ)礁と堡(ほ)礁の違いだろ。
蝶:あら、随分詳しいわね! そう、サンゴ礁には3つのタイプがあるの。裾礁、堡礁、そして環礁。海から突如として誕生した火山島の周りをサンゴ礁が縁取り、出来上がった裾礁。沖縄のイメージね。そして、その後プレート運動によって島が海溝へ向かって沈むいっぽうで、サンゴは水面&外へ向かって成長して、島から少し離れたところで発達するの。これがグレートバリアリーフのような堡礁ね。そして、ついに島は海に沈み、リーフだけがドーナツ状に取り残された状態になる。モルディブあたりで見られる環礁よ。
マ:それにしても、ジョーがサンゴについてそんなに詳しかったなんて意外だわ〜。
ジ:この間、俺も35歳になったから、ちなんでサンゴの勉強をしたってわけさ。サンゴに詳しい男35歳、かっこいいだろ!