マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
ありがたい? 図々しい?
海の世界の同居生活事情
マリン:最近ようやく自分でも魚が見つけられるになってきて、ダイビングがどんどん楽しくなってきたわ〜。
蝶々夫人:例えば、何を見つけられた?
マ:何もいないと思っていた砂地で、よ〜く見たら、ハゼがいて、同じ巣穴からエビも出てきたの。違う種で同棲しているなんて、もしや……道ならぬ恋?
ジョー:同棲じゃないだろ、共生だろう? お互いの相性もあるだろうけど、ハゼとエビで子孫を残すような関係にはならないだろうな。ヤツらは特性を活かした共生関係にあるんだ。
蝶:一見すると、エビだけが一生懸命巣穴を掘っている働き者で、ハゼがちゃっかり居候しているようでしょ。でも、エビはあんまり目がよくないから、目の利くハゼがそっと尾ビレだけを巣穴に入れて、危険が近付くと尾ビレを振ってエビに危険を知らせているのよ。
マ:へぇ〜そんな間柄だったんだ。エビとハゼ以外には、どんなパターンがあるの?
蝶:有名なのはホンソメワケベラね。
ジ:ホンソメワケベラが他の魚についた寄生虫などを食べてあげることで、その魚はスッキリするし、ホンソメワケベラは食事をしながら周囲の捕食者からも守られるって寸法だ。
蝶:そういうのを掃除共生と呼ぶこともあるのよ。
マ:皆、助け合って生きているのね〜。
ジ:でも、共生とはいっても、片方だけがおいしい思いをしている関係もあるんだぜ。片利共生ってヤツだな。
蝶:そうね、たとえばナマコとカクレウオみたいにね。ナマコのお腹にすむカクレウオは、夜におなるとナマコの肛門から出て食事に行くんだけど 昼間はナマコの家で外敵から守られるというわけね。
ジ:ナマコにとってはさしていいことはないけど、カクレウオにとってはおいしいな。
マ:あっ、もしかして魚の肌なんかにくっついている虫みたいなものも片利共生?
蝶:寄生虫の場合、宿主に害を及ぼすこともあるわ。ほとんどの魚には皮膚や内臓に寄生虫が付いているけど、寄生虫が多いと宿主が死に至ることもあって、こういう片方が一方的に害を受ける関係を寄生というのよ。
マ:共生にもいろんな関係があるのね〜。
蝶:まだまだ知らないことがいっぱいね。だから、ダイビングはおもしろいのよ。