前号(第24話)の最後で、コスラエアン(コスラエの人々)が
ローカル・フードを食べなくなってきているとお話ししました。
そう、社会問題とは食生活の変化です。
コスラエには前号で紹介したフルーツの他にも、
地元で獲れるローカル・フードがたくさんあります。
タロイモ、ヤムイモ、パンノキの実(ブレッドフルーツ)、タピオカ・・・。
どれもとてもおいしい食べ物で、コスラエ太郎は大好きです。
しかし、コスラエアンが日常食べている食品は、
缶詰のスパム、缶詰のコーンビーフン、冷凍チキン、冷凍ソーセージ、
インスタント・ラーメン、カップ・ラーメンなどに変化してきています。
コスラエ太郎が1年間ホームステイさせていただいた家の食事は、
● 朝食:インスタント・ラーメン or 缶詰のスパム + 白いご飯
● 昼食:スナック菓子 or 残り物をつまむ
● 夕飯:冷凍チキン or 冷凍ソーセージ + 白いご飯
これがほぼ毎日でした。
信じられないと思うかもしれませんが現実です。
コスラエでは日本のような「3食」という考えがないため、
朝晩は食べますが、その間はお腹がすいたら何かをつまむ程度です。
だからスナック菓子すらご飯のような感覚です。
私がお世話になっていた家では1歳の赤ん坊までがこのような食生活でした。
ちなみに飲み物は、水やココナッツよりもコーラです。
老若男女問わず、みんなコーラが大好きです。
では、なぜこのような食生活になったのか?
大きな理由は2つあると考えられています。
1つ目は、戦後アメリカが統治するようになり、
アメリカからの生活物資が入るようになると、
輸入食材を食べることが一つのステータスになったそうです。
「輸入品=ステータス」という概念が生まれました。
もう1つの理由が、輸入食材は調理が簡単だからです。
私は、今日ではこの理由の方が強いと思っています。
インスタント・ラーメンやカップ・ラーメンはお湯を入れれば調理終わり、
缶詰スパムや缶詰コーンビーフンはフタを開ければ調理終わり、
冷凍チキンや冷凍ソーセージは解凍すれば調理終わりです。
一方、ローカル・フードは調理が大変です。
第7話「コスラエ料理 パショク」でも紹介しましたが、
ローカル・フードは汗水たらして収穫し、
半日から1日かけて、一品の料理を調理します。
以上が、ローカル・フード離れが進み、
輸入食材ばかりを食べるようになってきている理由です。
正直に言うと、私はこのような食生活をしているコスラエアンを
「なんて無知なんだ」と思っていた時期がありました。
しかし、無知だったのは私です。
本当に無知だったのは、私たち先進国と言われる国々で育った人たちです。
コスラエの学校では、食生活や栄養について学ぶことがありません。
日本では小学校のときから家庭科や保健の授業などで、
知らず知らずの間に最低限の知識を身に着けています。
しかし、コスラエでは学ぶ機会がないため、知ることが出来ません。
その環境の中に、調理が簡単で味も濃い輸入食材が入ってくれば、
何も疑問に思わず、好き好んで食べるのが当然です。
「食事教育」の大切さを痛感しています。
色々な「支援」の方法があると思いますが「教育」は重要です。
最後に、もちろんローカル・フードを日常に食べている家庭もあります。
それに結婚式やパーティー、お祭りなど、イベントのときには、
ローカル・フードが「これでもか!」という程、たくさん出ます。
「全く食べない」のではなく、
ローカル・フード離れが進み、食生活が変わってきている、
と言うことをお伝えします。
この輸入品ばかりの生活から、また新たな社会問題が発生しています。
次号でそれを紹介しますので是非、皆さん、また考えてみてください。
それではみなさん、Kuht fah ohsun !!(またね!)
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