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パラオを見習おう!世界でいち早く環境問題に取り組んだ国
ダイバーが選ぶべき日焼け止めとは?
基準をクリアした海にやさしい日焼け止めリスト
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パラオを見習おう!世界でいち早く環境問題に取り組んだ国
有害成分を含む日焼け止めの使用を禁止したパラオ
日焼け止めに含まれる成分がサンゴの白化を促進したり、幼生の成長を阻害するというショッキングな研究結果が次々発表されています。サンゴ以外の海洋生物にも悪影響があると、アメリカ国立海洋局(NOAA)が報告するなど、有害とされる日焼け止めの成分に注目が集まっています。ハワイでは2021年よりそうした成分を含む日焼け止めの販売が禁止されることになりました。
それより1年早く、今年の1月から禁止措置に踏み切ったのがパラオです。禁止成分はハワイの2種に対して10種。輸入・販売のみならず、持ち込みもNG。違反した場合は罰金という厳しい措置になっています。
有害成分として禁止されているのは、「紫外線吸収剤」として知られる4種と「防腐剤」として添加される6種(表1)。とくに「紫外線吸収剤」のオキシベンゾンとオクチノキサートは有害性が強く疑われるためハワイでも禁止成分に指定されています。オキシベンゾンは人体にも有害である可能性が指摘されている成分です※。
※
血液中に入り込み、環境ホルモンのような作用を及ぼすといった研究結果のほか、昨年米国食品医薬品局(FDA)が行った実験でも血液中に溶け込む量はかなり多いとの結果が出ている
表1 パラオで使用が禁止された化学物質(在パラオ日本国大使館HPより)
紫外線吸収剤
オキシベンゾン | Okybenzone(BP3) |
---|---|
オクチノキサート | Octyl methoxycinnamate(EHMC) ※メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどと表記されることも |
オクトクリレン | Octocrylene(OC) |
エンザカメン | 4-methyl-benzylidene camphor |
防腐剤
トリクロサン | Triclosan |
---|---|
メチルパラベン | Methyl paraben |
エチルパラベン | Ethyl paraben |
ブチルパラベン | Butyl paraben |
ベンジルパラベン | Benzyl palaben |
フェノキシエタノール | Phenoxyethanol |
ダイバーが選ぶべき日焼け止めとは?
ダイバーが選ぶべきは、「紫外線散乱剤」タイプ
日焼け止めの主成分は「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」に分けられますが、パラオ基準の10成分を含まない製品を集めてみたところ、すべてが「紫外線散乱剤」タイプでした。
日焼け止めへの懸念が広がっていたパラオでは、人気スポット「ジェリーフィッシュ・レイク」から有害成分(オキシベンゾンなど)が検出されると、よりいっそう危機感が高まりました。現在、パラオではこの地に限って日焼け止めの使用が完全禁止に。こうした背景からも、いま選択すべきは「紫外線散乱剤」のものと言えそうです。
パラオ基準の下記製品は、防腐剤無添加で、ウォータープルーフなのに石鹸で落とせるものばかり。さらに、海洋生物に有害とされるナノ粒子化していないもの、生分解性成分を配合したものなど環境負荷を極力減らした製品も。この機会に海にやさしい選択をしてみませんか?
紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の違い
日焼け止め用語
SPF=赤くなったり水膨れを引き起こしたりする紫外線B波をブロックする指標。効果が高いほど数値が上がり、50以上はすべて「SPF50+」
PA=しみの原因となる紫外線A波をブロックする指標。+が多いほどブロック効果が高い
基準をクリアした海にやさしい日焼け止めリスト
|CORALILY |サンゴに優しい日焼け止め®
2,480円(税別)/SPF50+/UVA★★★★/40g
プラスチックフリー容器登場!
紫外線吸収剤使用の日焼け止めを塗っていたとき「サンゴが死んじゃうよ」とダイバーに言われたことがきっかけで、サンゴにやさしい日焼け止め開発に取り組み、誕生した製品。2018年には「国連生物多様性の10年日本委員会」生物多様性アクション大賞の審査員賞を受賞。有害なナノ(ナノ酸化亜鉛など)粒子を使わず、バームタイプにすることで白浮き問題を軽減。
<販売>
「サンゴに優しい日焼け止め」公式オンラインショップ(送料無料)、全国のバラエティストア、沖縄県内の空港、ホテル、コンビニなど
<お問い合わせ先>
ジーエルイー合同会社 gle.goya@gmail.com
|TAEKO| Sunscreen
2,800円(税別)/SPF50+/PA++++/35㎖
有害成分ナシ!
化粧品処方開発者西山多江子が、自身の肌荒れ経験をもとに、「自分が納得できる化粧品を」との想いから開発。オリジナル原料「アルカリゲネス産生多糖体」が高保湿を実現。さらに界面活性剤無添加など肌負担を減らした結果、環境負荷も低い製品に。「使い始めて半年、肌質が変わったのを実感」など敏感肌の方にも好評だ。
<販売>
公式オンラインショップ、全国の生協など。
※「ダイバーズストア」でも販売中!詳しくはこちらから
<お問い合わせ先>
株式会社アーダブレーン www.ardorbrain.co.jp
|HAPPY EARTH| SUNBLOCK
2,618円(税込)/ SPF26/PA++/50g
赤ちゃんにもOK!
生分解性成分を配合し、ナノ成分不使用。保湿にはオーガニック認定原料アルガンオイルを使用。さらにミネラル成分を配合してサンゴや微生物の成長をサポートし、洗顔後、上下水道に残留するトリハロメタンの排除を促す成分も配合!
<販売>
HAPPY WOMANオンラインショップほか、生協などでも販売予定
<お問い合わせ先>
HAPPY EARTH事務局 info@happyearth.jp
|ビオレ|UVキッズ ピュアミルク
795円(税別)/SPF50/PA+++/70㎖
コスパのよさがうれしい!
「子どもたちが太陽の下で元気に遊ぶことを応援したい!」そんな想いから開発が始まり、花王の研究員が10年かけて作り上げた渾身の商品。ノンケミカルの低刺激性と紫外線高防御の両立に成功し、水の中で思いっきり活動しても落ちない“真のウォータープルーフ”を実現した。
<販売>
薬局やドラッグストア、オンラインショップなど
<お問い合わせ先>
花王株式会社 Tel. 0120-165-692
Pure Vida Palau
13$/SPF30~40/3oz(約85g)
現地で手に入る♡
パラオで販売されている現地の女の子が開発したパラオ基準の100%天然由来成分の日焼け止め。ノンナノで防腐剤も無添加。さまざまな香りの中でもココナッツオイルタイプは南国っぽいと好評。
<販売>
パラオ現地の土産物店など
<お問い合わせ先>
palauanmade@yahoo.com
|シャンソン| UVプロテクト ミルク
4,000円(税別)/SPF50+/PA++++/50g
今年限定デザイン♪
ただ「肌へやさしい」だけでなく、紫外線から肌を守る「高い防御力」も追求して開発。2017年、紫外線吸収剤フリーでありながら国内表示規格最高値のSPF50+/PA++++を実現し、国際的なオーガニック認証団体である「エコサート」の認証を取得した。
<販売>
(国内)シャンソン化粧品特約店サロンおよびシャンソン公式通販サイト
(国外)米国ハワイ州 POPITS Hawaii (8月発売予定)
<お問い合わせ先>
株式会社シャンソン化粧品 Tel. 0120-011-737
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こちらでご紹介したTAEKOさんの海にやさしい日焼け止めは、雑誌DIVERの公式オンラインストア「ダイバーズストア」でも好評販売中です。
どんな日焼け止めなのか、特徴や使い心地を別の記事で詳しく解説しています!ぜひ一度読んでみてくださいね。
【ダイバーズストア】「TAEKO」の海にやさしい日焼け止めを販売開始!
参考
◉パラオでは、「責任ある観光教育法2018(The Responsible Tourism Education Act 2018)」に基づき、サンゴ礁に有害な成分を含む日焼け止め製品の輸入、販売及び持ち込みを禁止。有害物質を含む日焼け止めを持ち込んだ場合は入国時に没収される
◉日焼け止めの有害成分がサンゴや海洋生物に与える影響についてまとめたサイト>>アメリカ国立海洋局(National Oceanic and Atmospheric Administration)ioceanservice.noaa.gov/news/sunscreen-corals.html
文=岡弥生
(雑誌DIVER5月号 No.461より)