冬は水族館で撮影練習編 むらいさちの「ゆるフォト講座」
躍動感あるハンマーヘッドシャークを撮りたくて、 この場で20分ほどひとりで粘るさち…… 取材先で、喉が痛くなり「のどぬーる」をしゅっしゅとやったら、虫よけだったむらいさちです(汗)。寒くなる冬、どうしても海に足が向かなくなりますよね。でも、水中写真のスキルは落としたくないあなた! そんなあなたに最適な練習方法をお教えしましょう。そう、水族館に行くことです。 当然海の中と環境は違いますが、エアや流れなどの心配がないので、じっくり魚を観察できたり、構図を勉強することも可能です。まあ、それだけではなく、彼女と水族館デートしたときに、素敵な写真を撮ってちょっと格好をつけたいという方にもお役立ちのテクを、毎月水族館フォト講座を開催している僕がレクチャーしていきたいと思います! 写真はイメトレがとても大切、今月もゆるフォトスタートです!(月刊ダイバー2014年3月号掲載)
01 水族館撮影のキホン
海のように広々とした自由な環境で撮影するのとは違い、水族館は他に人もいるので、いろいろな制限があります。水族館フォトのコツをいくつかご紹介していきましょう。
水中では当たり前のフラッシュの発光、しかし水槽の前にはガラスがあります。そこで発光すれば当然この写真のように反射してしまいますね。水族館によってはフラッシュ禁止の場所も多いですし、基本的にはオフにしましょう。
暗い場所が多い水族館、かわいいフグを見つけて、そのまま撮影してみると、なんとガラスに自分自身が反射して邪魔をしています。これではせっかくの写真が台無しです。しかし、解決方法はとても簡単。
カメラをなるべくガラス面に近づけます。ガラスに傷が付かなければ、くっつけてもいいと思います。そうすると、この写真のように反射を防ぐことができます。注意しないと、館内の照明が反射することもよくあるので、注意が必要です。
02 構図にも気を付けよう
水族館は人工的なものです。でもせっかく撮影をするなら、人工物はなるべく写らないほうが、よりリアルな写真に見えます。あえて人工的に写す方法もありますが、基本的には入れないように意識しましょう。
かわいいニシキアナゴちゃんがいました。動きの少ないこの子はとても撮影がしやすい被写体。とりあえずパシャリ! かわいく撮れたけど、背景に黒い柱が入っていたり、後ろのガラスが写り込んだりちょっといまいちに……。では、画面を整理して撮影しましょう。
ちょっと上からの角度で撮ることで、背景に余計なものを入れないように意識しました。とてもシンプルな構図で見やすいですよね? こうした気の使い方は水中でも大切なことです。
ダイバーにも人気のカエルアンコウ君。目線を下げて立体感を付けて撮影。これ以上引くといろいろ余計なものが入ってしまうので、注意して撮影します。これはそのまま水中でも応用できる構図ですね。イメトレ、イメトレ♪
03 水族館ならではの写真も
水族館は水中写真のイメトレにも使えますが、水族館ならではのおもしろい写真も撮れちゃいます。せっかくなので、カメラの機能を使い、いろいろ遊んでみましょう。
人物をシルエットで入れることによって、水族館らしさをあえて出しています。こうなると人がメインのイメージ写真になりますね。
なんだか不思議な写真ですよね? これは2枚の写真を重ね合わせることができる「多重露出」という機能を使って撮影しました。この機能がついているカメラも多いはず。かわいいクラゲちゃんと、壁にあったイラストの星を重ね合わせて、ちょっとおもしろい写真を作りあげました。これも水族館ならでは。
これは、わざとシャッタースピードを落としてブラして撮影しています。いわゆる流し撮りという方法ですね。のんびりした水族館だけど、ちょっと自然ぽい躍動感を出してみました。
今回のまとめ
水族館フォト。「水中写真といっしょにしないで」と、馬鹿にしていた部分が正直ありました。しかし、実際いろいろな場所で撮影をしてみると、とてもおもしろい! だって、エアや寒さ、窒素の心配をせず、いつまででもぬくぬくとお魚の撮影ができるのですから、そりゃ楽しいです。
しかし1つだけ最後に忠告しておきたいのは、ちゃんと撮影したいのなら、1人で行くことです。彼女彼氏、友人と行くと、イライラされてしまいますから(笑)。では、次回はリアルな海に戻ります〜。
コラムニスト
むらい さちさん
プロカメラマンなのに、メカが苦手という致命的な欠陥があるが、だからこそメカが苦手な女性の気持ちがよくわかると勝手に思い込みこの連載をスタート。6年目にして「ミラーレス編」へ。スタンスは変わらず「ゆるく楽しくミラーレス!」。
>>Official webサイト:muraisachi.com