伊豆海洋公園でマクロの巻 むらいさちの「ゆるフォト講座」
今回撮影した中では一番のお気に入りのハゼ君。 岩の奥にいて見かけは地味なんだけど、 ストロボが当たるとそのきれいな色が浮かび上がって感動しました。 先日伊豆海洋公園に行ってきました! ここは今年で(2014年時)オープンから50周年ということで、長年にわたり日本のダイビングシーンを牽引してきた場所でもあります。そんな伊豆海洋公園を今回は取材してきました。 そこで、今回は、撮影した写真をお見せしながら、撮影の方法などをお伝えしようと思います。 伊豆海洋公園は外洋に面しているので、ビーチダイビングながらも、外洋の海が楽しめるのが1つの特徴です。そのため、魚の種類も多く、バリエーション豊か。初心者から上級者までみんなが楽しめる海で、人気の理由もわかります。個人的には陸の雰囲気が南国風で、施設も充実、それも好きな理由です。 では、今月もゆるフォトスタートです!!(月刊ダイバー2014年8月号掲載)
01 数打ちゃ当たる?
水中の魚の場合、自分の思い通りに動くことはまずありませんよね。どちらかというと受け身の撮影。このときは砂地に直径2cmほどのコウイカの赤ちゃんがいました。小さいので近くで撮影したいのだけれど、プレッシャーを感じると逃げてしまうので、苦戦しました。
まずは遠めから撮影。まずはしっかり押さえるという作業です。証拠は収めたので、ここからバリエーションをつけて撮影していきます。
これがベストの瞬間でしたが、動きが速くてピンボケに……。涙。とにかくいろいろな角度から撮影しています。動く被写体に対しては、たくさん撮ることが大切だと思っています。
結局結果を出せないまま……。まあなんとか撮れたのがこのカットでしょうか。ピントもしっかり合わせて、しかも威嚇している感じも撮れたので。ちょっと敗北感を味わいながらこの場所を後にしました……。涙。そう、自然相手なのですべてがうまくいくことなんてありません(言い訳だけどね)。
02 カエルアンコウをかわいく?
伊豆といえばカエルアンコウ! 僕の中ではそんなイメージです。いつの季節にもいてくれて、色がきれいでかわいくて、そして逃げないので撮りやすい。不動の人気を誇っていますね。そんなカエルアンコウ君をかわいく撮影しようと、がんばってみました。
岩の奥にじっとしていた、ベニカエルアンコウ君。かなり撮りにくい場所……。とりあえずの1枚。まあ、無難に写ってはいますが、ただ写ってるだけだし、暗いし……微妙ですね……。
今度はちょっと斜めから。真上から撮ると立体感はなく、デザイン的でしたが、ちょっと角度をつけると立体感が出て、リアルな感じがします。どちらかというと生態写真に近いような。
そこで、ぐぐっと寄って顔のアップにしました。こうすることによって、画面全体が明るい色で統一されました。顔の表情も出てきて、かわいらしさも表現できたかな。
03 どこにでもいるから、かわいく撮りたい!
伊豆なら、どこでもいるイソハゼ君。個体数が多いので、いろいろなシチュエーションで見かけます。じつはきれいでかわいい子なのですが、よく見かけるという理由で、撮影対象から外れてしまっていることも。個体数が多いということは、バリエーション豊富に撮影できるということです。
きれいなカイメンの上にいました。まずはあまりプレッシャーをかけずに遠くから1枚。こうしながら、この子の性格も見ています。臆病ならばすぐ逃げてしまうし、のんびりしていれば、被写体に向いています。この子はのんびりしていそうなので、さらに近づいてみました。
相手の様子をうかがいながら、ググッと近づきました。嫌ならば逃げようとする動作に入るはず。この子は逃げずにのんびりしていたので、どんどん寄りました。しかし、撮影した写真がちょっと暗いので…。ここで多少明るさを調整して仕上げます。
最終的にこんな形に仕上げました。背景が明るいので、透明な感じのハゼでもきれいに写すことができました。どんな背景を選ぶかも、大きなポイントになります。そこから、自分が被写体から感じたイメージを形にするべく、いろいろな作戦を練って撮影していきます。
今回のまとめ
今月は、実際に伊豆海洋公園特集の取材時に撮影した写真を用いて、かなり実践的なお話をしました。ゆるフォトミラーレス編なので、撮影しているカメラも当然ミラーレスカメラです(オリンパスOM-D E-M1使用)。今でも一眼レフカメラを使ってはいますが、最近のミラーレスカメラの性能がとても高く、仕事でも十分使えるレベルになりました。一眼レフカメラより多機能なので、バリエーション多く撮影することも可能。撮影していても楽しいですね。
近場の海も水温が上がり始め、夏の海に近づいて来ています。ぜひ今年もすてきな写真をたくさん写してくださいね!
コラムニスト
むらい さちさん
プロカメラマンなのに、メカが苦手という致命的な欠陥があるが、だからこそメカが苦手な女性の気持ちがよくわかると勝手に思い込みこの連載をスタート。6年目にして「ミラーレス編」へ。スタンスは変わらず「ゆるく楽しくミラーレス!」。