コラムニスト:堀口和重
vol.25 光を求める翼
まもなく夏シーズン。初夏になると水面付近に登場する生き物が目につくようになります。
日中のダイビングで成魚を見るのはなかなか困難ですが、ダイビングボートの移動中に飛んでいる姿を見ることができる魚といえばーー、トビウオ! そう、今回紹介するのはトビウオです。
トビウオの仲間は走光性があるので、夜ライトを焚いているとすごい速さで泳いでライトの周りをぐるぐるとまわる姿が確認できます。好奇心が強いのか、最初水面付近で目撃したトビウオが私のライトにつられたのか、水深18mまで付いてきたこともありました。
また毎年夏には稚魚の姿も目撃されます、昨年大瀬崎では水面でツクシトビウオの稚魚が確認できました。 最近では八丈島など伊豆七島でライトトラップが盛んになり、多くの稚魚が見られているようです。
写真は小笠原で撮影した、トビウオの1種の稚魚です。10日間の滞在で2回確認できたので、南の方が確認できる可能性が比較的高いようですね。
また、2013年大瀬崎ではライトトラップ中ではなく日中に流れ藻と一緒に流れてきた姿も確認できました。流れ藻といえばハナオコゼを思い浮かべる方が多いと思いますが、トビウオの仲間などが一緒にくっ付いて移動していることがあるので、ちょっと意識して見てみると素敵な出会いがあるかもしれませんよ。
撮影場所 大瀬崎 小笠原父島
撮影協力 ウラシマン ダイビングサービス 小笠原
稚魚同定協力=小嶋 純一(公益財団法人 海洋生物環境研究所 中央研究所)
コラムニスト
堀口 和重(ほりぐち・かずしげ)さん
西伊豆大瀬崎の<大瀬館マリンサービス>でガイドとして勤務。好きな生物は、クラゲ類・幼生類・ホタルイカモドキの仲間などの浮遊系。水中写真家・阿部秀樹氏のライトトラップに影響を受け、3年前よりナイトダイビングが可能な日は撮影&ガイドを行っている。1986年生まれ。