トビヌメリ
スズキ目 ネズッポ科
全長/オス18㎝ メス15㎝
分布/新潟県~長崎県、東京湾~高知県、朝鮮半島南東岸
ヤマドリに限らず、ネズッポ科の魚は夕暮れ時
――日没後まだ明るい時間帯――
に舞い上がって産卵行動を行うようだ。
オスとメスがともに海底から1~2mほど上昇し、
数秒間停止して産卵放精を行い直後に海底にもどるというもの。
舞い上がるのは、解き放った卵を潮に乗せて遠くに運びたいため。
なぜ夕暮れ時なのかというと、日中活発に行動する魚がそろそろおとなしくなり、
夜行性の魚はまだなりをひそめている、つまり卵にとって一番外敵から狙われにくい時間帯を狙っていると思われる。
写真のトビヌメリもヤマドリの同じように背びれを立てて求愛し、
産卵行動ではオスが胸びれにメスを乗せて舞い上がる。
でも、今ひとつ目立たないのは、砂泥底にまぎれるようにカムフラージュしていることと、
ヤマドリに比べて背びれが小さいためだ。
ヤマドリの産卵を狙って夕暮れ時に潜るダイバーは、ぜひ周囲を見渡して欲しい。
向こうの砂地で、トビヌメリもがんばっている。
撮影/小林安雅
文/こばやしまさこ
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伊豆半島の海にどっぷりつかって25年の小林安雅さんが、ファインダーを通して見つめてきた生き物たちのさまざまな生態を紹介しています。