牡蠣棚
石川県・能登島の海は、夏29℃、冬は5℃と寒暖の差があるため、海の四季をはっきりと感じることができます。その季節ごとの変化を如実に表してくれるのが海の植物である海藻や海草です。
そして、海と人が共に暮らす「里海」という理想郷が存在する能登島の海中には、海藻の森が広がっています。海藻で見る四季の移り変わり、変化する海中環境、それに合わせて繰り返される生態行動など、ひとつひとつの海藻にまつわるストーリーを、能登島の海藻に魅せられたガイド・須原水紀さんが美しい写真とともに紹介します。
「里海」と聞いても具体的な説明をできる方も少ないと思います。環境省では「人手が加わることにより生物生産性と生物多様性が高くなった沿岸域」と定義しています。私が活動している能登島のある能登半島は、「能登の里山里海」が2011年に国際連合食糧農業機関によって「世界農業遺産」に認定されました。この世界農業遺産の目的は、近代化の中で失われつつあるその土地の環境を生かした伝統的な農業・農法、生物多様性が守られた土地利用、農村文化・農村景観などを「地域システム」として一体的に維持保全し、次世代へ継承していくことです。
牡蠣棚水面
私は海の中を潜って水中の世界を観察することができるダイバーとして、能登の里海に関わり貢献できることに喜びを感じます。そして、水中から見た能登の里海の魅力を発見し、たくさんの方々に紹介することを私の仕事だけではなく、ライフワークとして取り組んでいます。
その活動の中で特に重んじていることは、海で生計を立てる漁師さんとの協力関係を築くことです。レジャーや教育で海を利用する私どもダイバーも、漁師と同様に海の恩恵を受けて生計を立てていることを、相互に理解し合い助け合うことができています。港で日々交わす言葉で、海を守りたいという同じ思いを共有することができます。
そうした信頼関係により実現したのが、「日本の風景を撮ろう!里海で暮らす人々 世界農業遺産 能登の里海撮影会」です。このプログラムでは里海を形成する漁業を、ダイバーの視点から体験することを目的としていて、漁業の現場を水中から見学したり、撮影したりして理解を深めることできます。冬は昨年に続き2回目の開催になる「牡蠣棚漁」の撮影会を行います。
牡蠣籠
能登半島は中央部分の東部がえぐれた形になっており、それが七尾湾でその中央に能登島が浮かんでいます。この七尾湾は年中穏やかで、沿岸は海藻で覆われています。里山からは川伝いに運ばれた養分が、海域に多くの魚たちを産卵に呼び込みます。そうした環境から野鳥の飛来も多く、生物多様性が守られ風光明媚な里山里海を臨むことができます。牡蠣棚漁がおこなわれているのは、まさにこの七尾湾の湾奥、西湾と呼ばれる海域です。当店近くの港から富山湾に出て立山連邦を臨み、湾奥の牡蠣棚を水面や水中から撮影します。
この企画を発展させながら地域の方々と信頼関係を結び、地域外の方に能登の里山里海の魅力を知って頂き、多くの方を引き込む地域発展に貢献したいと思います。
立山連峰
下記の通り参加者を募集しておりますので、ぜひご連絡下さいませ。
【第3回 牡蠣漁 海の田園牡蠣棚】
■日程 2016年1月23日(土)終日 牡蠣棚水中撮影 懇親会
1月24日(日)半日 牡蠣漁陸上撮影 (漁師さんのお仕事を撮影)
■費用 水中撮影 ¥30,000‐(税別) 懇親会込
陸上撮影 ¥5,000‐(税別)
■内容 ボートダイビングにて牡蠣棚撮影(タンク2本使用可)
翌日は牡蠣漁師を尋ね、作業風景などを撮影します。
■参加条件 撮影を目的とした方で中世浮力がとれる方
■定員 20名
■締切 定員になり次第
■申込方法 メールにてお申込み後、お手続き方法をご案内いたします。
須原 水紀(すはら・みずき)さん
生まれ故郷である能登のダイビングサービス<能登島ダイビングリゾート>でガイドとして勤務。海藻への愛と情熱はピカイチ。また、マクロ生物も大好きで、海藻に付くマクロ生物を探し出す眼は「顕微鏡の眼力」といわれるほど。