軽器材編
マスク
スノーケル
フィン
マリンブーツ
マリングローブ
重器材編
レギュレーター
BC(ビーシー)
ダイブコンピュータ
スーツ編
ウエットスーツ
ドライスーツ
そのほか
ダイビングバッグ・メッシュバッグ・ウォータープルーフバッグ
水中カメラ
軽器材編
ダイビング器材の基本のキが、マスク、スノーケル、フィンの3点セットです。これにグローブとブーツを加えてた5つをまとめて「軽器材」と呼びます。
軽器材を身に着けることで、水中でスムーズに動くことができるようになります。身体・運動能力にあっているかどうかで、使いやすさが大きく変わり、ダイビングの上達度に影響することもあります。ダイビングを始めたら、最初にそろえたいのが軽器材です。
マスク
マスクってどんなもの?
海の中で視野を確保するための器材がマスク、いわゆる水中メガネです。水中で目を開けてもはっきり見えませんが、目と水の間に空気の層を作ることによりクリアな視界を楽しむことができるのです。
マスクには種類があるの?
ガラス(レンズ)面のタイプはおもに一眼、二眼、多面に分けられます。
一眼レンズタイプはセンターフレームがないため視界が広くスッキリしていますが、二眼レンズタイプや多面レンズタイプはコンパクトで内容積が小さいものが多く、マスククリアが楽にできるという利点があります。
スカートの素材はゴムとシリコンが一般的で、中でも透明シリコンはより視界が明るいため人気があります。
マスクの選び方
もっとも重要なのは顔にフィットしていることです。ぴったりとフィットしていないと水中で水が入ってきたり簡単にズレたりしてとても不便なので、いくつか試着してから一番合うものを購入しましょう。
近視などの場合は、視力に合ったオプティカルレンズと呼ばれる度付きレンズに対応できるものを選ぶようにしましょう。おもに二眼レンズタイプや多面レンズタイプに多いのが特徴です。
また、ファインダーを覗いて撮影するカメラ派の場合、スカート素材は透明シリコンよりも、周りの光が入らないブラックシリコンやゴムのほうが画像の確認がしやすいのでおすすめです。
試着のときの確認方法
ストラップをかけずにマスクを顔に当てて、鼻から軽く息を吸ったまま少し下を向いてもマスクが落ちなければOKです。
あると便利なもの
●くもり止め
マスクがくもってしまっては楽しみも半減。潜る前にレンズに一滴垂らして延ばすだけでクリアな視界を約束してくれる便利グッズ。
●ストラップカバー
シリコン素材のストラップはとくに長い髪の毛の場合からみついて着脱がしにくいことも。ウエット素材のストラップカバーを装着するだけで、そんな心配は無用になります。
スノーケル
スノーケルってどんなもの?
水面で呼吸を確保するための器材で、ビーチエントリーのときなどに潜降ポイントまで水面移動するときやスノーケリングを楽しむときに使います。スノーケルを使うことにより、水面で頭をあげなくても楽に呼吸できます。
もしパイプの中に水が入ってしまっても、息を強く吐いて水を出すこと(スノーケルクリア)で引き続き呼吸することができます。
スノーケルにはどんな種類があるの?
パイプ内に入った水を排水し、外の水の浸入を防いでくれる排水弁がついているタイプと、排水弁がついていないタイプに大きく分けられますが、現在は前者が主流です。
ほかにも、水面下にスノーケルが沈んでも水が浸入しないドライスノーケルと呼ばれるものや、水の抵抗を小さくするためパイプがカーブしているもの、マウスピースがくわえやすいジャバラ付きのもの、波しぶきなどが入りにくい構造のアッパーキャップ(スプラッシュガード)付きなど、スノーケルによってはさまざまな種類があります。
マウスピースの素材にはゴムとシリコンがあり、ゴムのほうが安価ですが、シリコンは匂いが気にならずしかもやわらかく耐久性にも優れていることから人気があります。
スノーケルの選び方
スノーケルクリアが楽に行える排水弁付きのものの中でも、肺活量に合った太さのパイプを選ぶのがポイントです。
内径18mm前後のものが一般的で、ほとんどの人は問題ありませんが、ガンガン泳ぎたい人や肺活量の多い男性ならパイプの内径の大きなもの、肺活量の少ない女性には内径の小さなタイプをおすすめします。
より快適な使用感を得るために、マウスピースの大きさ(くわえる部分の長さ)もチェックするとよいでしょう。大きすぎると顎が疲れるし、小さすぎると外れやすく水が入ってくることもあるのです。たいてい50mm前後ですが、口の小さな女性向けに45mm前後のものもあります。
また、たとえスノーケルが水面下に沈んでも水が入ってこない構造のドライスノーケルや、波しぶきの浸入を防ぐアッパーキャップ付きのものは好みに応じて選ぶとよいでしょう。ちなみに、スノーケルクリアをしっかりマスターするために、最初はシンプル構造がいいという意見もあります。
マスクを装着して実際にマウスピースをくわえてみて違和感がないかどうかも確認しておきましょう。
フィン
フィンってどんなもの?
いわゆる「足ヒレ」がフィンです。フィンは水中や水面で推進力を得るための器材で、1キックで効率よく前へ進むよう開発されてきました。水面や水中で自由に動くためには必要なアイテムです。
どんな種類があるの?
装着方法はおもに二種類あります。
足先をフットポケットに入れてストラップで止めるストラップタイプと、靴を履くように足をフットポケットに入れるフルフットタイプに分けられます。前者はマリンブーツが必要ですが、後者はブーツを履いても履かなくても大丈夫です。
素材は、しなやかなゴム(ラバー)と軽くてカラフルなプラスチック、ゴムのしなやかさとプラスチックのデザイン性を兼ね備えたウレタン、それぞれの長所を生かして複合的にこれらの素材を組み合わせたものがあります。
さらに形状にも種類があります。ブレードの先がふたつに割れている、先割れフィンというタイプもあります。通常のフィンに比べて小さな力で大きな推進力が得られるため、脚力の弱い女性などに人気です。
フィンの選び方
脚力に合っていないとフィンキックがうまくできなかったり、逆にもの足りなかったりするため、自分の脚力に合ったものを選びましょう。
一般的に、やわらかいゴム素材のフィンや先割れフィンは脚力に自信のない人向き、硬めのゴムフィンやプラスチック素材のものは反発力が強く、ある程度脚力のある人に向いています。
また、 ストラップ式のフィンなら足のサイズ調整が可能で、ダイビングではウエットスーツにもドライスーツにも対応できて、スノーケリングにも対応しているため、オールマイティに使えます。
一方、フルフットタイプのフィンなら、サイズ調整はできませんが、ぴったりフィットすれば脚力を無駄なくブレードに伝えられるため、一体感があります。
素材や装着方法など、自分の脚力に合った使い勝手のいいフィンを選びましょう。
マリンブーツ
マリンブーツってどんなもの?
靴ずれと同じようにフィンずれを防ぎ、岩場など足を怪我しそうな場所を歩いて移動するときの足の保護と、体温の保温にも一役買ってくれるのがマリンブーツです。フィンに力をしっかり伝えるためにも、足にフィットしたマリンブーツを選びましょう。
マリンブーツにはどんな種類がある?
おもにストラップタイプのフィンを使用するときに必要になりますが、フルフット用の薄手のマリンブーツもあります。
マリンブーツの選び方
フィンのタイプによって、ストラップ用かフルフット用かを選びましょう。フルフットフィンの場合、マリンブーツは必須ではありませんが、こすれて肌が痛い場合などは用意しておくとよいでしょう。
また、足に合っていないと、キックの力がフィンに伝わらず、十分な推進力が得られません。スニーカーなどより少し小さめを選ぶと、水中でよりフィットします。
マリングローブ
マリングローブってどんなもの?
ウエットスーツやドライスーツから出ている手を、怪我や体温の低下などから防ぐのがマリングローブです。 最近ではさまざまな機能がついたものが登場しているので、じっくり検討するとよいでしょう。
マリングローブにはどんな種類があるの?
薄手のネオプレーン素材などで3シーズンに対応しているグローブ、そして保温性にすぐれた冬場に対応したグローブ、水中写真の操作がしやすいように一部の指先がカットされているグローブがあります。
マリンブーツの選び方
先にも述べたように、身体を保護するための役割があるので、潜る海の水温や潜る目的に合わせて使い分けましょう。夏用と書かれているものもあるので、ほかの季節も潜りたいなら、季節にも注目して選びましょう。
ウエットスーツと色やデザインを合わせればスッキリ見せることができます。
重器材編
スクーバダイビングの専用器材をまとめて「重器材」と呼びます。
タンクの空気を水中で呼吸するためのレギュレーター、残りの空気の量を示す残圧計などのゲージ類、浮力調整器具BCが重器材です。また、潜水病予防の見地からも欠かせない器材ダイブコンピュータも、この中に含まれると考えていいでしょう。
実勢価格はピンキリですが、軽器材に比べれば高額になります。持ち運びにもかさばるため、重器材はレンタルで済ます人も増えていますが、定期的にダイビングに行くなら自分の重器材を持つことを検討してもいいでしょう。
身の安全は自分で管理すると心得て、ダイブコンピュータは先にそろえることをおすすめします。ちなみに、海外では持っていることが身を守るうえで常識に近い感覚があるので、持っていくとよいでしょう。
レギュレーター
レギュレーターってどんなもの?
タンク内の圧縮空気を減圧して、水中でスムーズな呼吸を提供する器材。ダイバーにとっては命綱とも言える重要なアイテムです。
タンクに接続する部分をファーストステージ(高圧空気を中圧にする)、呼吸する部分をセカンドステージ(周囲の水圧と同じ圧力にした空気を供給する)、このふたつをつなぐ中圧ホースで構成されています。
レギュレーターにはどんな種類があるの?
タンクに接続するファーストステージの構造によっていくつか種類があります。一般的には、スタンダードピストン、バランスピストン、バランスダイアフラムの3種類があります。
スタンダードピストンは構造がシンプルで耐久性に優れており、バランスピストンとバランスダイアフラムは水深やタンク残圧の影響をほとんど受ないスムーズな呼吸を提供してくれるなど、後述しますがそれぞれ特徴があります。
一般的な素材は真鍮ですが、中には耐腐食性にすぐれたアルミ合金やステンレス、チタンを採用した高級モデルもあります。
● スタンダードピストン
もっとも古典的なシステムで部品が少なくシンプルな構造
● バランスピストン
水深やタンク残圧に左右されない。構造がシンプルでメンテナンスが簡単
● バランスダイアフラム
水深やタンク残圧の影響をほとんど受けないのが魅力
レギュレーターの選び方
なんといっても呼吸のしやすさが決め手になります。製品によって呼吸したときの感覚(呼吸抵抗)が異なるので、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
ほかにも、口にくわえる部分のセカンドステージが軽くて、マウスピースが口に合うもののなら顎が疲れにくいため、とくに女性にはその点も選ぶポイントになるでしょう。また、ゆくゆくは流氷などの寒い海でのダイビングにも挑戦するつもりなら、寒冷地仕様のタイプを選ぶなど、自分に合うものは何なのか考えて選ぶのもポイントです。
さらに、年に一度行うことを推奨されているオーバーホールで、消耗パーツが無料になるのかどうかワランティ(保証)制度もチェックしておきたいところです。
実際にいろいろな製品を試した上で選ぶことができれば一番よいのですが、難しい場合はインストラクターなど知識のある人にアドバイスしてもらってもいいでしょう。
オーバーホールやメンテナンスについてはこちらをチェック!
オクトパスやゲージはついている?
安全に潜るために、レギュレーターにオクトパスとゲージをセットして購入するのが一般的です。セット価格ならかなり割安で手に入るというメリットも大きいですね。
BC(ビーシー)
BCってどんなもの?
水中で無重力感を体感するために必要なのがBC。浮力補正装置 Buoyancy Compensator Deviceの頭文字をとってBCD、またはBCジャケットなどと呼ばれます。
浮き袋のような浮力体を備えたベストのことで、必要に応じて空気を出し入れすることにより、水中や水面で安定した姿勢を保つことができます。
ダイビングにおいて重要となる、浮きも沈みもしない状態のことを指す、中性浮力を実現します。水面では浮力を確保するライフジャケット的な役割も担っています。
BCにはどんな種類があるの?
おもに浮力体のタイプによって3つに分けられます。
ジャケット全体に空気が入り大きな浮力が得られるジャケットタイプ、サイズ調整が可能で背中面からわきの下に空気の入るショルダーベルトタイプ、そして背中面に浮力体のあるバックフロートタイプです。
空気の出し入れをするインフレーターにも空気の出し入れどちらもワンプッシュでできるタイプ(通常は入れるのみ)、オクトパスの代わりにもなるインフレーターとオクトパス一体型のタイプ、インフレーターの代わりにBCのサイドポケット近くに給排気ボタンがあるタイプなどがあります。
BCの選び方
水中で夢のような無重力感を実現するためには、自分の身体のサイズに合ったものを試着して選ぶことが大切。大きすぎると水面や水中で抵抗が大きく安定性も悪く、小さすぎると空気を入れたときに圧迫感を感じたりすることがあります。
もっとも一般的なのはショルダーベルトタイプで、肩の前面にあるショルダーベルトでサイズ調整ができます。初心者にはこのタイプがおすすめです。
ジャケットタイプは浮力が大きく安定性もバツグンですが、サイズ調整ができません。
また、背中部分に浮力が集中するバックフロートタイプは、コンパクトで軽量という利点に加え、わき下のサイドに空気が入らないことから、カメラの操作がスムーズに行えることカメラ派ダイバーに人気があります。
インフレーターの操作は自分にとって操作しやすいもの、たとえば体験や講習などですでに使い慣れているタイプのものなどがおすすめ。水中で空気の出し入れ(給排気)の操作がうまくいかないと中性浮力がとれないばかりか、トラブルの原因にもなります。
さらにスレートやカメラなど持ちものが多いダイバーなら、アイテムを入れるポケットや引っかけることができるDリングが多いBCなども選ぶポイントになるでしょう。
ダイブコンピュータ
ダイブコンピュータってどんなもの?
ダイビングにおいてもっとも気を付けなければならない病気である減圧症を防ぐために、減圧なしで現在の水深にあとどのくらい潜ることができるのか(無減圧潜水時間、無減圧限界時間などと呼ばれる)を算出してくれる頼もしい存在がダイビングコンピュータです。ちなみに略してダイコンと呼ばれます。
ダイビングのときの過信は禁物なので、安全潜水のためにダイバーに欠かせない器材です。
ダイブコンピュータにはどんな種類がある?
手首につけるリストタイプや残圧計やコンパスなどと同じコンソールにはめ込むタイプ、さらに時計機能が搭載されたウォッチタイプがあります。 ほかにもソーラー充電やUSB充電タイプやスマホと連動しているもの、高機能な機種にはタンクにトランスミッターを取りつけてタンク残圧を表示するもの、デジタルコンパス機能を搭載したものなどがあります。
ダイブコンピュータの選び方
水深や潜水時間、無減圧潜水時間など、ダイビングに必要な情報を表示する基本機能や、潜水データを記録しておくログメモリーなどの機能は、どのダイコンにも装備されていて充実しています。
大切なのはきちんとデータを読み使いこなせるかどうかなので、操作しやすく水中で数字が見やすいものを選ぶといいでしょう。高機能で多機能になると価格も高くなりますが、本当に自分に必要な機能かどうかを見極めることが大切です。
なおバッテリー交換は個人でできないものもあり、その場合は交換のときには費用がかかります。購入前に費用とバッテリーの交換時期も確認しておくといいでしょう。
またこのほかに、USB充電やソーラー充電など、さまざまなタイプもあります。ソーラー充電などは充電に時間がかかる場合もあるので、フル充電するのにどのくらい時間がかかるのか確認しましょう。
ダイブコンピュータの基礎知識
●アルゴリズム
ダイビングコンピュータに表示される無減圧潜水時間などのデータは、実際に使っているダイバーの体内残留窒素を元に算出されたデータではなく、研究による理論を元に計算されたもので、この減圧理論のことをアルゴリズムと言います。
最新のアルゴリズムには、減圧症の要因のひとつにあげられるマイクロバブルを排除するためのディープストップ(深い水深での安全停止)を導入しているものもあります。
●長く潜れるダイコン
製品によって採用するアルゴリズムが異なるため、 とくに反復潜水のときに無減圧潜水時間も異なってきます。そのため「このダイブコンピュータは厳しい(無減圧潜水時間が短い)」という声がよく聞かれますが、
厳しい=長く潜れない からよくない
甘い=長く潜れる からいいとは限りません。
どのダイブコンピュータでも大切なのは、過信せずに余裕をもって潜ること。ダイビングコンピュータの指示どおりに潜っていても減圧症になることはあるのです。それは使用するダイバーの年齢や、その日の体調のことまでダイビングコンピュータは加味してくれないからです。
スーツ
身体を保護保温するために着用するのがダイビング用のスーツです。潜る海の水温によって、ウエットスーツかドライスーツかを選びます。
ウエットスーツは、身体に合っているかどうかで、着やすさ快適さが大きく変わります。
ウエットスーツ
ウエットスーツってどんなもの?
身体を保護して保温する役割も担っているスーツ類の中でもっとも一般的なのがウエットスーツです。
ウエットスーツは、スーツ内に入った水を体温で温めることで保温しています。生地の厚さを変えることにより熱帯域から温帯域まで幅広いダイビングエリアに対応できます。
ウエットスーツにはどんな種類がある?
さまざまなスタイルがありますが、一般的に人気なのはワンピース、ロングジョン+ジャケット(ツーピースと呼ばれる)で、全身を覆うタイプのものがおすすめです。
生地の種類はクロロプレンラバーの両面にジャージを貼り付けたスタンダードジャージ、発色がよくカラーバリエーションが豊富なライクラなどのポピュラーなもののほかに、高い保温効果を発揮するハイテク素材があります。各メーカーではこうした素材を適材適所に採用して保温性に優れ動きやすいウエットスーツの実現を目指しています。
生地の厚さは3㎜、5㎜が一般的で、よく潜る海の水温などによって選びます。厚いほど保温性に優れますが、動きにくくなり浮力も大きくなるためウエイトが多めに必要になります。
●ワンピース
全身を覆うタイプでもっとも一般的で人気。よく潜る海によって生地の厚さを選ぶとよい
●ロングジョン
ワンピースの袖がないタイプでジャケットと組み合わせて使用。水温の高い海や夏はロングジョンだけでも大丈夫。冬など寒いときはジャケットを着よう
●ジャケット
長袖の上着で波などによってめくれ上がらないようビーバーテイルが付いているものと付いていないタイプがある
ウエットスーツの選び方
普段よく潜る海の水温などによって、ウエットスーツの生地の厚さやスタイルは変わってきます。たとえば1年中、南国リゾートで潜るというダイバーなら厚さ3㎜のワンピースで大丈夫ですが、伊豆などの温帯域も視野に入れるなら5㎜のツーピース(ロングジョン+ジャケット)といった具合に、選択する基準が変わってきます。
生地は着脱のしやすさや保温性、水中での動きやすさを最優先に考え、あとは予算や希望のデザインなども含めて吟味しましょう。既製品もありますが、水中でのストレスをなるべく軽減したいなら、フルオーダーするという選択肢もあります。
また、ワンピースだけでは寒くなってきた時期に活躍するのがフード付きベストです。フードが付くだけ保温性はずいぶん違い、ウエットスーツで潜れるシーズンの幅が広がります。
既製品とオーダー、サーフィン用ウエットスーツとの違い
快適なダイビングのために、着脱のしやすさや優れた保温性、水中での動きやすさは、ウエットスーツに求められる必須要素でもあります。でもそれらを満たすオーダースーツは高いのです。安価な既製品のウエットスーツやサーフィン用のウエットスーツではダメなのでしょうか?
●お手頃価格の既製品ではダメ?
既製品は安いというメリットがある反面、ジャストフィットしにくいので保温性や運動性の面では少し物足りなくなります。いっぽう、オーダー品は高価ですが、保温性や運動性に優れていて気に入った色やデザインを選べるというメリットがあります。
どうしても値段に目がいってしまいがちですが、ダイビングにおいて安全で快適に潜るためには保温性も運動性も欠かすことのできない重要な要素です。身体にフィットしていなければじゅうぶんな保温効果は得られず、血流が悪くなるなどしてストレスの原因になすることもあります。
慣れない水中という環境で大きなストレスを受けることは、とくに初心者は避けたいもの。標準体型で既製品が身体にぴったり合っていれば問題ありませんが、そうでないならオーダースーツを検討してもよいでしょう。
●サーフィン用のウエットスーツとどう違うの?
ダイビング用のウエットスーツと比べるとずいぶん安い、という印象を受けますが、サーフィン用のウエットスーツは基本的に水面での使用を想定して作られているため、ベースの素材は水中で受ける水圧までは加味していません。そのためサーフィン用のウエットスーツで潜ると生地の気泡が水圧でつぶされてしまうため、ダイビング用のスーツに比べて早い段階で保温効果は得られなくなります。
ドライスーツ
トライスーツってどんなもの?
スーツの中に水が入らないドライスーツは、身体が濡れないため体温の低下による体力の消耗が少なく快適。使いこなすまでは練習が必要ですが、一度その魅力にハマると手放せなくなるスーツです。
ドライスーツにはどんな種類がある?
生地によって大きくネオプレーンタイプとシェルタイプに分けられます。
主流はネオプレーンタイプで、生地が伸びやすく素材自体に保温力がありますが、かさばる、水深が深くなると素材内の気泡が潰れて保温力が低下するなどのデメリットがあります。
いっぽう、シェルタイプは高強度ナイロン素材を使用し、素材自体には保温力はなくインナーを着用することで保温力を保つため、深く潜っても保温力は変わりません。
●ネオプレーンタイプ
クロロプレンラバーを使用したスーツで、動きやすく生地そのものに保温効果がある
●シェルタイプ
高強度ナイロン生地に保温効果はないが、コンパクトに収納できかさばらない
ウエットスーツの選び方
それぞれのメリット&デメリットを考えて生地のタイプを選んだら、試着して適度にゆとりのあるものを選びましょう。ドライスーツは身体と生地の間に空気の層を作ることで保温力を高めていますが、このゆとりが大きすぎても小さすぎても、運動性や浮力調整に問題が出てきます。
フルオーダーメイドがいちばん良いですが、セミオーダーという手もあります。ポイントは、少なくとももっとも重要であるネックシールと手首のリストシール部分は採寸を行い、自分の身体に合ったものを作ります。シール部分が身体に合っていなかったり傷がついていたりすると、水が入り水没の原因となるので、きちんとはかってもらいましょう。
ドライスーツのインナーや防寒アイテム
冬場や流氷下でもダイビングを可能にするインナー。また厚手のグローブやフードなど冬場を快適に潜るための必須アイテムもあります。ここではその機能などを紹介します。
●インナー
肌がぬれるとそこから体温を奪われるため、ドライスーツ専用のインナーには速乾性に優れ、通気性がよく汗などの水分を吸わずに外に出す素材が採用されています。水温やスーツのタイプによって薄手のものか厚手のものかを選ぶようにしましょう。
●マリングローブ
ドライスーツから出ている手は、冬場はとにかく冷えます。手がかじかんでしまったらバルブ操作にも影響するので厚手のものを選びましょう。厚さ5mmのタイプでも細やかな作業ができるよう工夫されています。
●フード
冬場や流氷ダイビングでは、フードは必須アイテム。顔全体が出ているものから目以外は生地で覆われているフルフェイスタイプまで水温などによって選びましょう。
その他のダイビングギア
ダイビングバッグ・メッシュバッグ・ウォータープルーフバッグ
ダイビングバッグってどんなもの?
さまざまな器材を使うダイビングでは、専用のバッグがあると便利です。すべての器材を海辺まで持ち運ぶには、大型のダイビングバッグが最適です。また、海辺で器材をまとめておくにはメッシュバッグ、小物はウォータープルーフバッグと、使用目的に合わせて上手に使い分けましょう。
どんな種類があるの?
自分の器材を持ってダイビングに行くとなれば、衣類などの身の周りのものにダイビング器材が加わって、荷物は大掛かりになります。長期のダイビングツアーにも使える大型バッグは器材や小物がうまく収まるように設計されていて、持ち運びに便利なキャスターが付いています。
●ダイビングバッグ
●メッシュバッグ
自分の器材をひとまとめにして持ち運んだり、海辺や船上で器材をまとめるためのバッグです。底の部分がメッシュになっているため水切れがいいので、濡れた器材をそのまま入れて持ち運んだり、バッグに入れたままザブザブ水洗いすることができます。
3点セットとウエットスーツを購入するときにはいっしょに買いたいアイテムです。
●ウォータープルーフバッグ
タオルや図鑑などビーチやボート上へ持って行って濡らしたくないものを入れるのに便利なバッグです。いくつものサイズがあり、色柄も豊富なので、用途に合わせて好みのものを選びましょう。
ショルダーベルトで肩からかけられるタイプや、リュックのように背負えるタイプもあります。
ダイビング用のバッグの選び方
ダイビング用のバッグは自分のダイビング・スタイルに合わせて選びましょう。長期で出かけることが多い人は大型のダイビングバッグは不可欠。反対に、近所の海へ車で行くことが多いなら、最初はメッシュバッグがあれば十分です。
ウォータープルーフバッグは、「濡らしたくないもの」を入れて持ち歩くほか、「濡れてしまったもの」を入れて使うこともできます。小物用の小さなサイズと、着替えや軽器材まで入れられる大きめのサイズ、両方あると便利です。
水中カメラ
水中カメラってどんなもの?
「水中写真を撮るためのカメラ」は総称して「水中カメラ」と呼ばれています。防水設計のコンパクトデジタルカメラもありますが、本格的なダイビングではカメラを「ハウジング」「防水プロテクター」などと呼ばれる耐圧防水設計のケースに入れて使います。
ケースはポリカーボネート樹脂製やアルミ合金製で、ケースの開口部は「Oリング」によって気密性が保たれ、内部に水が入らない構造になっています。
どんな種類があるの?
コンパクトデジカメ用、ミラーレス一眼用、一眼レフ用と防水ケースがそれぞれ異なります。水の侵入を防ぎながらケースに入れたままさまざまな操作ができるよう、ぴったりのサイズに設計されているので、カメラの機種ごとにケースが違います。
●コンパクトデジカメ
手軽に水中写真を撮れるのが、コンパクトデジカメです。 防水ケースなしで水中撮影ができるカメラもありますが、カメラによっては衝撃により生じた小さな亀裂からカメラが水没しやすいリスクもあるので、ダイビング中は衝撃を与えないよう注意しましょう。
防水ケースがあるコンパクトデジカメは、ポリカーボネート樹脂製・耐圧水深40m程度の防水ケースが一般的。「水中モード」の設定にすればシャッターを押すだけで、だれでも気軽に水中写真を撮ることができます。
また、大型センサーが内蔵されたハイエンドコンパクトデジタルカメラ(高級コンデジとも呼ばれます)などもあり、防水ケースがあるモデルもあります。
●ミラーレス一眼
コンパクト設計のミラーレス一眼にも、水中撮影機材専門のサードパーティから、防水ケースが用意されています。ミラーレスのセンサーにはおもにAPS-Cサイズと以前はハイエンド一眼レフにしか搭載のなかったフルサイズがあり、フルサイズミラーレス一眼は、今後一眼レフにとって代わる存在になります。
●一眼レフ
一眼レフは対応した専用の防水ケースに入れて、水中で撮影することができます。多くのプロの水中写真家が使っているのは、フルサイズの一眼レフ。人気機種の防水ケースは、水中撮影機材専門メーカーから用意されています。
一眼レフの防水ケースは、アルミ合金(削り出し)の堅牢なボディで作られていて、耐圧水深はだいたい60~100m。レンズに合わせて、防水ケースのレンズ部分(ポート)を交換して使用します。一眼レフカメラが持つ高い性能を水中で発揮できるように、防水ケースもさまざまな機能を持つ設計がされています。
水中カメラの選び方
予算との兼ね合いも重要ですが、どんな水中写真が撮りたいのかによって、選ぶカメラが決まります。
水中で見たものを記念として撮っておきたいなら、コンパクトデジカメがいいでしょう。また、小さくても高画質である程度自分で設定したいなら、ハイエンドコンパクトデジカメがおすすめです。メーカーからの純正がある場合は、コンパクトデジカメに比べて倍の価格まではしません。
自分でイメージしたものを撮影したいなら、ミラーレス一眼という選択肢があります。エントリーモデルでも予算的には倍程度になりますが、交換レンズによりマクロから広角まで絵づくりの自由度が高まります。
また、フルサイズのミラーレス一眼なら、一眼レフの機能を備えながらも小型化を実現しているので、本格的な撮影が可能です。交換レンズや防水ケース、ストロボなどまで一式そろえるとかなり高額になるので、陸でも写真撮影が趣味という人に向いていると言えます。
さらに、一眼レフの交換レンズを持っていたり、ボディを持っているなら、そのまま専用の防水ケースを買いそろえるほうが経済的かもしれません。レンズ交換によって超広角からマクロまで撮影できて、ボケ味など「作画」する楽しみが味わえます。
水中でのストロボの役割とは
水中では、水深が深くなるにつれて、赤から順に光の色は吸収され、魚もサンゴも「青いフィルター」をかけたように見えます。水中ストロボを使って発光することで、水中の色を再現できるため、鮮やかな水中写真を撮影することができます。
コンパクトデジカメの場合は内蔵フラッシュでも撮影できますが、一眼レフの場合は水中ストロボは必須アイテム。水中ストロボは、ステイやアームを使って水中カメラにセットして使います。