ダイビングライセンスとは?
一般的には「ダイビングライセンス」と言われることもありますが、国際的には「Certification-Card(Cカード)」と呼ぶことが多いです。定められた知識と技術を習得したことを証明するもので、Cカードは“認定証”です。
今回八木さんが受講したのは、PADIの「オープン・ウォーター・ダイバー(OWD)」コース。修了後は次の条件下で潜ることができます。
●昼間の比較的穏やかな水域で、バディと共に
●水深18mまでの範囲で、減圧停止をする必要のない範囲
●頭上に障害物がなく直接水面まで出られる環境
PADIのOWDコースは、しっかりとした知識の開発(学科講習)に加え、実技講習「プール(限定水域)ダイブ+海洋ダイブ」に少なくとも3日間、プール(限定水域)ダイブには少なくとも7~8時間をかける必要があります。
PADIの講習の流れ
STEP 1 学科講習
ダイビングに必要な基礎知識を学びます。教材を参考に自宅学習、ショップでインストラクターと理解を深め、テストをパスして修了。Eラーニングはテストもサイト内で受けられます。
STEP 2 プール講習
実際に器材を使い、水中を安全に楽しむためのスキルをプールで練習。足の着く水深と5m前後の水深で、インストラクターが1つ1つお手本を見せて指導してくれるので安心です。
STEP 3 海洋実習
穏やかな海で2日間4ダイブの海洋実習。プールで習得したスキルを実際のダイビングシーンで生かせるよう実践練習。フィッシュウォッチングを楽しみながら、Cカード認定へ!
八木アリサさんの学科講習&プール講習
人気モデルとして10年以上活躍する八木アリサさん。幼少期にタイやタヒチに住んだこともあり、ダイバーであるお母さんが潜る様子をスノーケリングで眺めながら「いつかいっしょに潜りたいなぁ」と思っていたそう。そんな夢に近づくため、今年ダイバーになることを決めました。
PADIのOWDコースは、学科講習・プール講習・海洋実習の3つのパートからなります。
今回指導をしてくれたのは、浦安にある都市型ダイビングショップ〈トゥルーノース〉の店長&インストラクターの荒木智春さん。学科講習はショップに通うスタイルと、いつでもどこでも勉強できるEラーニングの2つがあります。
ファッション誌や映画撮影などで多忙を極める八木さんは、後者のEラーニングで自分のペースでまずは学習スタート。
八木さんはWebで受けたファイナルエグザムも9割以上の正解でしたが、「ほんとうに自分は理解できているのかな。何をどう間違えたのかわからない」という不安は、荒木さんが店舗で解説して解消、さらに理解が深まるようにレクチャーをしてくれました。
上達の肝、プール講習へ
知識が整った後は、次のステップへ。
近郊のプール施設で、器材を身に付けての実技練習です。海デビュー前のプール実習がなによりも上達の肝。器材の操作方法に慣れたり、マスククリアやレギュレーターリカバリーなどの基本スキルを何度も練習したり、効率のよいフィンキックや水中バランスなど、「できた」と思えるまで何度も繰り返します。
海洋実習は2日間で4ダイブ
海洋実習は西伊豆にある平沢のビーチで2日間。プールで身につけたスキルを4ダイブに分けておさらいします。
プールで達成できたスキルも、海中で行うとなるといっそうの緊張感が押し寄せてきます。真水ではなく海水になったことで浮力も変わり、マスククリアの際の刺激も強まり、さらにはちょっとした潮の流れを感じたり、EN&EX時に背負った器材の重さを体感したり、初めての海中でのダイビングは誰もが戸惑いだらけです。
そんな八木さんの海洋実習1日目はビーチ西側の緩やかな砂地、水深3~10m前後でゆっくりスキルを何度も復習し、実践的な中性浮力もブラッシュアップ。
「浮力が足りないと海底の砂を耕して生き物も蹴散らすことに……。ダイビングが上手になる一番の秘訣は適度に給気して、いつでもエアを捨てられること」と、泳ぎながら排気するコツやトラブルの回避法、BCDと呼吸での浮力コントロールなど、実際の水中シーンで活かせるヒントを細かに指導する荒木さん。
すると、回を重ねるごとにホバリングや泳ぎが安定し、華やかなミノカサゴなど、中層に浮いたままのウォッチングも見事にマスター!
海洋実習2日目
2日目はビーチ東側からエントリーして沖の砂地へ。水深15m付近の漁礁に到着すると大輪のソフトコーラルが咲き乱れます。近くの産卵床では、ロケ時の5月はアオリイカの産卵が大フィーバー中。
「海の生き物でイカがいちばん好き!」と言う八木さんは、1m近いイカが体色を赤くして産卵する様子に目が釘付け。
最後は荒木さんが密かに用意した「合格おめでとう」の記念証を手渡され、感動サプライズで講習を終えると、ダイバーになれた喜びに笑顔がいっそう弾けました。
陸でも水中でも、不安な心境やスキルの問題点も的確に察知して、頼もしくリードしてくれた荒木さんは、最後にダイビングをもっと楽しむためのアドバイスも添えてくれました。
「Cカードを取ってもスキルに不安が残る人は多いんですが、スキルが伴ってこそ海は楽しめる。それにはプールで集中的に練習することが上達への近道。抜群の素質を生かして、今後もダイビングを楽しんでくださいね!」プールで気軽に練習できるメニューも豊富で、アフターケアも頼れる同店。
八木さんも「これからもっとスキルを磨いてステップアップを目指したい」とさらなる夢を膨らませました。
八木アリサさん1995年生まれ。北海道在住時にスカウトされ、2008年からティーン誌『nicola』でモデル業をスタート。2011年から『ViVi』の専属モデルとして誌面やコレクションなどで活躍。女優として映画出演も増え、活動の場を広げている。インスタはフォロワー約51万人。 |
お世話になったダイビングショップ
創業20周年、名誉あるPADI5スター認証のダイビングスクール。スクーバはもちろん、ドルフィンスイム&スキンダイビング、フリーダイビングまで、それぞれ経験豊富な専門スタッフが9名揃い、マリンスポーツ専門学校などの講師も務めるなど高い指導力を誇ります。
千葉県浦安市猫実5-4-35-1F BNTハウス
tel.047-304-8915
お世話になったダイビングサービス
PADI公認のダイブリゾート。床面積約200㎡の施設は隅々まで気配りがされ、朝倉一哉さん率いるスタッフ陣が温かく出迎えてくれる。獅子浜と大瀬崎の間に位置し、沼津ICから車で約45分の好アクセス。ナイトロックスも常時あり。ナイトダイビングも毎日開催可能。
静岡県沼津市西浦平沢25-8 らららサンビーチ内
tel. 055-942-2646
平沢が講習や体験ダイビングにぴったりな理由
海水浴場や磯観察が楽しめる場所として人気の「らららサンビーチ」に、ダイビング専用施設の〈平沢マリンセンター〉がオープンしたのは5年前。体験ダイビングや講習がしやすい場所として、いまやすっかり定着しています。奥駿河湾に面しているうえ、伊豆では珍しく北向きのビーチのため、「クローズする日は1年に一度あるかどうか」という安定したコンディションが望めます。 施設面の充実は伊豆ピカイチとの声も高いです。大型のバンが複数台、施設や海そばまで入れるので、器材の準備や後片づけもスムーズ。テラコッタ風の施設内は、開放的で清潔感にあふれ、自家栽培ミントを使ったデトックスウォーターなど、「既存のダイビングサービスの枠にとらわれない」取り組みを日々模索中。 水中へのエントリー口は、西伊豆でも希少な白砂ビーチ(7~8月はダイビングはNG)の他、東西に2か所。なだらかな砂地やゴロタ、海藻、サンゴエリア、漁礁など多数。7~9月はイワシやカマスなどの大群が登場し、海遊魚のアタックシーンも迫力満点。アオウミガメや死滅回遊魚、ハゼ、ウミウシといった人気種もあちこちで出現し、いまやファンダイビングで行っても楽しめる海になっています。 |
クレジット
写真=むらい さち
文=湊 亜弥子
取材協力=トゥルーノース、平沢マリンセンター、パディ・アジア・パシフィック・ジャパン
器材協力=ワールドダイブ、タバタ(TUSA)