マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
細くても、超強力パワー
出会ったら横に逃げるべし
ジョー:夏も終わったけど、今年も水の事故って多かったなぁ。 ほとんどが海水浴中の事故で、あまりダイビングとは関係ないけど、他人事じゃないよ。
マリン:同感……。
蝶々夫人:リップカレントに巻き込まれたとおぼしき事故もあったわね。
マ:リップ〜カレント??
ジ:忘れちまったのかよ。OWの講習でも習ったはずだぜ。「離岸流」と言えば思い出す?
マ:あ〜〜〜、なんだっけ?
蝶:海岸で発生する沖へ向かう流れよ。とても強い流れで、たとえオリンピックの水泳選手でも、この流れに逆らって泳ぐのは不可能だと言われてるわ。
マ:ひぇっ! そんな流れにつかまっちゃったら、もう一巻の終わり!?
ジ:そう慌てるなよ。トラブルが発生したら、まずは落ち着けって、講習でも習ったろう?
蝶:流れに逆らって泳ぐと、あっという間に体力を消耗してしまうから厳禁。でもね、じつはこの流れは幅が意外と狭いのよ。せいぜい10〜30mくらいなの。
ジ:だから、流れに対して垂直、岸と平行になるようにがんばって泳げばいいのさ。
マ:でも、いつその流れにつかまるかわからないなんて怖いわ〜。
蝶:陸上や水面からその流れが見えることもあるわよ。両側で波が立っているのに、その間だけ波が砕けていない所は要注意ね。
ジ:むしろサーファーはそのリップカレントを使って、沖へ出るらしいぜ。
マ:流れをうまく利用するわけね。ダイビングではドリフトがそのスタイルかしら。
蝶:そうね。ただ潮の満ち引きによってかなり強い流れが発生するし、水中では平行だけじゃなくて、垂直の流れもあるから気をつけて。複雑な地形や豪快なドロップオフの近くでは、思いがけない流れもあるわ。
ジ:オレもダウンカレントにつかまったことがあるぜ。突然耳が痛くなって、水深が深くなったのに気づいたってわけさ。
マ:で、どうしたの?
ジ:ダウンカレントも幅は狭いから、まず落ち着いてBCに給気。それから横切るように泳いで無事抜け出したってわけさ。
蝶:とにかくいつどこでどんな流れが発生するかを熟知している現地ガイドさんの事前説明をしっかり聞いておくことね。
マ:マリンレジャーは安全第一!ね。