マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
世界の海へ羽ばたく
日本のフィッシュウォッチャー
マリン:さっきから、ニヤニヤして気持ち悪いわ。写真を見ては、ため息なんて、柄でもない。
ジョー:見せてやろうか? 長年の夢だったこの子に、やっとやっと会えたんだぁぁぁぁぁ。
マ:どれどれ。えっ、このハゼのこと?
ジ:かっわいいだろう〜。このちょっと怒ったようなキツイ目線。見つめられるとクラクラするよ。
蝶々夫人:あら、アケボノハゼじゃない。深場に住むハゼだから、その“クラクラ”は窒素酔いの恐れもあるわよ(笑)。
ジ:もう、なんとでも言ってくれ。オレはとにかくコイツに会えただけで感動なんだ。しかもちゃんとこうしてカメラに収められて、いつもこうして持ち歩いて自慢しているんだ。
マ:相当の入れ込みようね。
蝶:そうね〜。とくにダイビングをしない人にとっては、わざわざ深場まで行く目的が、小さなハゼのためというのは、理解できないらしいわ。
マ:外国のダイバーにも、そういうタイプの人ってあんまりいない気がするんだけど……。日本人ならではの、オタク気質??
ジ:マリン、誤解するなよ。オタクはいまや市民権を得て、日本が世界に誇る文化にまで発展しているんだからな!
蝶:日本国内や日本人がよく行く海外ダイビングエリアでは、現地のガイドさんたちが入念な潜水調査をしているものよね。
ジ:そうそう、ガイドさんたちの知識や経験にはほんとうに驚くよ。どんな所にどんな生き物がいるのか、大物、小物、レア物もしっかりチェックしているんだよ。
蝶:日本のダイビングでは、デジタルカメラも普及しているから、“いい被写体”を求めて極めていく人も多いのよね。
マ:ザ・フィッシュウォッチャー!?
蝶:そう、フィッシュウォッチングを突き詰めていくと、たんに「ここにこの魚がいた」と見て終わるんじゃなくて、どんな性格の魚なのか、どんな場所や食べ物を好むのか、どういう時期にどんな変化があるのか……、環境を丸ごと見ていくことにもつながるのよね。
ジ:ダイビングはレジャーだけど、自分の興味の持ち方によっては、知的好奇心をトコトンくすぐられるんだよな〜。
マ:ジョーの口から“知的好奇心”なんて単語が飛び出すとは……。ダイビングの影響力はスゴイわ!