マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
決め手は、窒素と酸素の比率
正しい知識で安全潜水を
マリン:遅かったわね、ジョー。何をしていたの?
ジョー:デコは出してはいないけど、不安だから長く安全停止していたんだ。
蝶々夫人:水深20mくらいの海底に長く貼り付いていたからね。
ジ:お気に入りのカエルアンコウを撮影していたら、あっという間に時間が経ってしまって……。
マ:カメラ派ダイバーってホント、畳一畳くらいのスペースで何十分も粘るわよね。
ジ:いちばんツライのはエグジット前にレアな被写体を発見するパターンなんだけど、あと10分潜れたら〜と何度思ったことか! 長く潜るならやっぱりナイトロックスかな。
マ:ナイト? 夜にどうするの?
蝶:ナイトロックスは、窒素のNitrogenと酸素のOxygenの造語Nitroxのことで、窒素と酸素の混合ガスの総称よ。
マ:あ〜、そういえば「Nitrox」って書かれたタンクを見たことがあるわ。
蝶:もちろん空気も窒素79%と酸素21%の混合ガスだからナイトロックスの1種なんだけど、ダイビングにおいては酸素の混合比が21%以上のエンリッチド・エアと呼ばれるものを通常ナイトロックスと呼んでいるのよ。
ジ:つまり空気より酸素の量が多い混合ガスを使用するんだ。
マ:それで潜るとどうなるの?
ジ:窒素が少ない分、水中で窒素が体内に溶け込む量が少ないってワケ。
マ:つまり減圧症になりにくいってこと?
蝶:そう。それに無限圧潜水の時間が長くなるから、カメラ派には特に人気よね。
マ:ジョーにはピッタリじゃない!
ジ:ただ酸素中毒も怖いからな〜。
マ:そうか。酸素分圧が高いってことは深く潜ると酸素中毒の可能性が高くなるのね。
ジ:そうなんだよ。けいれんやひきつけ、精神障害などを引き起こすから水中では絶対避けなければならないんだ。
蝶:ちゃんと講習を受ければ問題ないわよ。一般的なナイトロックスの酸素分圧は32%と36%だけど、それぞれの限界深度を守れば安全に長く潜ることができるの。
ジ:日本ではそれほどポピュラーじゃないけど、海外ではかなり普及しているらしいから今後のことを考えてトライしてみようかな。
蝶:いつもの器材で潜れるんだし、私が優しく講習してさしあげるから心配無用よ!