マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
ベールに包まれた謎の生態が
今、解き明かされつつある!
ジョー:V・A・C・A・T・I・O・N、夏休み♪
マリン:ちょっと、ちょっと〜。ノリノリなところ申し訳ないんだけど、ポップスを三線で、しかも、ジョーのだみ声で……。完全にミスマッチよ。
蝶々夫人:大目にみてあげなさいな。ジョーは念願の石垣島行きが近づいて、ご機嫌なんだから。
マ:確か去年の夏休みも行ったんじゃ?
ジ:あー、それは言わんでくれー!
マ:へ? 何か私悪いこと言った?
蝶:台風よ、台風。大型の台風が接近中だったのに、「飛行機がまだ飛ぶから」って、出かけて行ったのよ。でも、結局、島ではホテルに缶詰……。という悲しい結末だったけどね。
マ:なるほど、リベンジってわけね。
ジ:やっと会えるぜ、マンタ様〜。
マ:でも、野生の生き物なんだから、会えるかどうかわからないでしょ。あんまり期待しないほうがいいんじゃない?
ジ:これだから素人さんは困るんだよなぁ。「川平石崎マンタスクランブル」といったら、マンタとの遭遇率は世界トップレベル! ここにある根は、クリーニングステーションになっていて、小魚たちに体の掃除をしてもらいに来るマンタをじっくり観察できるんだ。
蝶:パラオやモルディブをはじめ、世界中の海で見られるけれど、水深が15m前後と浅くて、島の近くで、遭遇率が夏から秋にかけてはとくに高くなるという好条件揃いなのよ。
マ:そんなにスゴイ所が、日本にあるんだ! でも、マンタって、あの口の両端にあるベロ〜ンとした部分が、ユニークよねぇ。
蝶:胸ビレが変化した頭ビレと呼ばれるもので、餌を効率よくとるために使うのよ。
ジ:「オニイトマキエイ」って和名の由来は、その頭ビレをクルリと巻いた様子やひし形の体型が、昔使われていた糸を紡ぐ道具「糸巻き」に似ていることからきているらしいぜ。
マ:イトマキ? それじゃあ、マンタって名は、通称みたいなもの?
蝶:Mantaはラテン語で外套という意味で、学名に使われているんだけど、英名でもManta Rayって呼ばれているから、マンタのほうが世界的にも浸透しているけどね。
ジ:ちょっとアカデミックな情報としては、夜になるとマンタは深海へ移動しているらしいことがわかってきたんだ。
蝶:サメの襲撃を避けるためとも考えられているらしいわね。それにかなりの広範囲も移動しているらしいわ。
ジ:腹部の斑点や斑紋で個体識別しているから、そういう行動もわかるようになってきたんだな。1匹ずつの個性までが見えてくると、がぜん愛着がわくよな〜。待っててくれよ、マンタちーゃん! 今すぐ会いに行くからな。