01 ウルトラマンホヤをウルトラマンらしく撮る
見つけると、どうしても撮影してしまう大好きなウルトラマンホヤ。1つ1つ表情があるのと、派手派手なオレンジの色合いがたまりません。そんなかわいいウルトラマンホヤをよりウルトラマンらしく撮るにはどうしたらよいのでしょうか?
まずは見つけた状態でパチリ。これでも確かにかわいい。でも遠くから撮影しているので、ホヤが小さくなってしまい、画面ではなんだかわからない状態に……。
そこでぐいっと近寄ってみました。ここまで来るとストロボの光も強くなり、色もきれいに出てきました。ただ、まだ全体を入れたいという思いが強く、散漫な構図になってしまいました。最終的に納得したのが次の写真です。
マクロレンズを使用して、寄れる限界まで寄ってみました。ここまで来るとストロボの光もちゃんと当たるので色がとてもきれいだし、ホヤの表情もわかりますよね。まさにウルトラマン! 撮影するときにはなるべくたくさん群生している所を狙って、画面が全部ウルトラマンになるような場所を探してくださいね。
02 エビを幻想的に
あるとき、ガイドさんがカイメンの中にいるザラカイメンカクレエビを紹介してくれました。なんと素敵なマイホームをお持ちなのでしょう。ちょこんと自分のおうちにいる姿を、かわいく幻想的に撮影してみましょう。
ガイドさんにカイメンの横からライトを当ててもらい、カイメンから漏れる光のみで撮影。わざと外の景色も入れつつ。
そのままの状態でググッと寄ってみました。なんだか幻想的な写真になりました。でも、むらい的には背景が暗いのが気になります。
ライトを少し後ろから当ててもらいました。背景が明るくなりましたね。そして光の加減か、黒目が出てきました。アクセントも出ましたね。どれが正解というわけではないですが、動きの少ない被写体に対してはいくつかのバリエーションを撮影しておくといいと思います。
03 ケラマハナダイを美しく
個人的感想なのですが、日本で通常よく見るハナダイ系の魚は、海外のハナダイに比べて色がちょっと地味な気がします。僕はそんな日本らしい魚が好きですが。このケラマハナダイも決して派手ではありませんが、その淡い体色はまさに日本の美といった感じでしょうか。
ハナダイを写すとこういう写真が多いですよね……。オートフォーカスだとコントラストの強い背景にピントが行ってしまうことがあります。こういったときは水中ライトを当てるか、マニュアルフォーカスにして対応することをおススメします。
やっと写った正面。魚の正面顔ってかわいいのですが、近くに寄れないハナダイ系の魚はこのあたりが限界。そしてやっぱり地味です。もっと寄れるのならば表情まで見えるのですが、中途半端にしか寄れない場合、ただの寂しい写真に……。
ケラマハナダイは他のハナダイより、動きは大きくなく、泳ぎ回っていても、しばらくするとこうやってホバリングします。こういう性格がわかってくると、撮影の計画も立てやすくなります。僕としては、この真横写真が体色のきれいさがよくわかり好きな構図です。
今回のまとめ
今回は奄美大島で撮影した写真をお見せしました。毎回、ゆるフォトの連載用に、イメージするメインカットの前後の写真をあえて撮っておこうと思って海に入るのですが、実際に被写体と向き合うとそんなことは忘れ、ひたすらベストカットを狙ってしまい、後で困ることが多いんです(笑)。カメラマンの習性でしょうね。でも撮影のときには、まずは好みの被写体選び、背景の選択、撮るか撮らないかの選択。無理な場合の引き際など、いろいろなことを考えながら撮影します。水中では時間に限りがあるので、そういう判断が必要で、時にはまったく撮れずに終了なんてこともよくあります。だから水中写真って難しいけど楽しいんですよね。
コラムニスト
むらい さちさん
プロカメラマンなのに、メカが苦手という致命的な欠陥があるが、だからこそメカが苦手な女性の気持ちがよくわかると勝手に思い込みこの連載をスタート。現在は「ミラーレス編」。スタンスは変わらず「ゆるく楽しく水中写真!」。
>>Official webサイト:muraisachi.com
(DIVER 2016年4月号掲載)