西川名でトビエイの乱舞に出会う むらいさちの「ゆるフォト講座」
出ました!ガイドさんすら予想していなかったトビエイの乱舞! いや〜千葉の海とは思えません! すごい! 最近、作品と名前だけで僕を女性と思われている方がいますが、ちゃんと男子なむらいさちです(笑)。さて、そんな男子な僕が今回行ってきたのは、千葉県館山市にある西川名というポイントです。「千葉の海」というとピンと来ない方も多いはずです。「東京からすぐ近くだし海もよくないのでは?」なんて思っていませんか?じつは西川名はマクロな海ではなく、ワイドな海なんです。ほかではなかなか見ない大きな地形はダイナミックで魚影がとても濃く、もうワイドワイドな海なんです。初夏にはトビエイの群れが見られると聞いていたので、シーズン終盤ですが数匹でも見られたらいいなと思っていました。が、すごいのが見れてしまいました! 今回は夏らしく、青い海でのワイドの撮影方法をお伝えします。カメラの装備は、ワイドズームレンズと水中ライトのみです。今回のメインの被写体はトビエイですが、これが魚群でも理屈は同じこと。ぜひ応用してみてください。さあ、どんな海に出会えたのか?ゆるフォトスタートです!
01 トビエイをゲットしよう! その1
今回は潜ってすぐに、100匹を超える大きな群れに出会いました。僕も数十匹の群れは見たことがあったのですが、このレベルの数は初めてで大興奮!!!「うお~~~~」なんて思うのですが、カメラマンとしては、こういったときこそ冷静に。まずはカメラのチェックからスタート。トビエイの動きを見つつ、プレッシャーを与えないで近づく努力をします。
遠くに大きな群れ。追いかけていく段階で、いくつかのグループに分かれてしまいました・・・。とにかく気づかれないように、水底を這うように泳いで近づいていきます。
プレッシャーをかけないように、慎重に近づいていきます。このときはのんびり泳いでいたので、ダッシュもせずに近づけました。
が、真下に入り撮影を始めようとしたとき、息が持たずエアを吐いてしまいました。吐いた部分だけ穴が開くようにエイが逃げてしまいます。難しいですが、エイがいない場所を狙ってエアを吐きたいところです。
02 トビエイをゲットしよう! その2
とにかく、トビエイにプレッシャーをかけないことが大切です。そんなに速く動く子たちではないので、慌てず動きを見ながら下に回り込みましょう。がんばってがんばって群れの先頭に追いつきました、撮影開始です。
群れの一番厚い部分を探して撮影。せっかくならば画面いっぱいにエイを見せたいですよね。ズームをして余計なスペースを消し、群れている感じをより出しました。
この状態になったら、ひたすらシャッターを切りましょう。群れはどんどん動きますし、プレッシャーを感じるとバラバラになってしまうので、その前にゲットしましょー。
遅れて来た2匹、これはこれでカッコいいので、シルエットにして撮影。被写体との距離が離れているので、こういったときにはストロボをオフにして、露出もちょっと暗めにしてシルエットをきれいに出してあげましょう。
03 むれむれ群れ!
奇跡のようなトビエイとの出会いに感動!が、これだけでは終わりません、西川名の海を最後に少しご紹介しましょう。やっぱり群れ群れですが・・・。
色が青と黒しかないイメージもありますが、ソフトコーラルなんかも多くて華やかな写真も撮れますよ。のんびりしているテングダイと群れ群れの魚です。
なぜか不思議とたくさんいる、キンメモドキの大群です。とっても大きな群れで、囲まれると前が見えなくなるほど・・・。これには僕も驚きました。ぜひキンメシャワーを味わってください。
クロホシイシモチの群れです。西川名のお魚たちは、近くに寄っても逃げないので撮影もしやすいです。餌付けをしているわけでもないのに、この距離感がとても不思議です。でも、寄れることでライトの光もしっかり当たるので、撮影するほうにとってはありがたいですね。
コラムニスト
むらい さちさん
プロカメラマンなのに、メカが苦手という致命的な欠陥があるが、だからこそメカが苦手な女性の気持ちがよくわかると勝手に思い込みこの連載をスタート。スタンスは変わらず「ゆるく楽しく水中写真!」。
>>Official webサイト:muraisachi.com
協力=西川名オーシャンパーク
(DIVER 2016年10月号掲載)