写真は背景が大切なのです むらいさちの「ゆるフォト講座」

このド迫力の地形、何度潜っても楽しいです♪ 皆さんこんにちは!あけましておめでとうございます!今年も水中写真ファンを増やすべく、ゆるく楽しくこの連載を続けていこうと思っています。どうぞよろしくお願いします。 さて今回は、宮古島の海で出会ったお魚ちゃんたちを紹介しながら、水中写真の背景について考えていきます。宮古島には、水中写真のフォトコンテストの審査員をやらせていただいた関係で、潜る機会がありました。世界に誇れるほどの地形が有名ですが、じつはそれだけではなく、サンゴやお魚などバリエーション豊富に楽しめるのも魅力です。 写真は水陸関わらず、構成に関して背景がとても重要な役割を担っています。と言っても、そんな難しいことはありません、ちょっとした気の使い方で、写真はがらっと変わります。今回はそのあたりのお話ができたらと思っています。では、今年もゆるフォトスタートです!

01 背景でイメージも変わります

サンゴの間にキイロサンゴハゼ君がいました。この子はけっこう肝が座っているのか、最初は逃げてしまいましたが、しばらくじっと待っているとサンゴの上の自分が好きな場所に、戻ってきます。この子だからよかったのですが、サンゴの中から出てこない他の種だと背景も何もありませんので、魚種を選ぶのも大切ですよね。

まずはパチリ。サンゴの中でじっとしています、このままでは背景も何もないですよね。こちらも焦らずにじっと待ちます。そうすると…。

サンゴの上に出てきてくれました。逃げないように息を殺してそっと近寄って撮影しました。しばらく撮影しているとハゼの方も慣れてきたのか、リラックスし始めました。きっとこの場所がお気に入りなのでしょう。なので…。

ちょっと下からあおり、海のブルーを入れてみました。青が入ってさわやかになりました。海なのでやっぱりブルーが入ると雰囲気出ますね。ちょっとファンタシーに撮れたかな。

02 下からあおってみよう

白化したサンゴの上にいた、イシガキカエルウオ君。白化はとてもさみしいですが、その反面美しくもあります。そんな美しい背景がすでにある状態で撮影をスタートしてみます。ここでも撮影のポイントはぎゅっと寄ることです。

まずは引いて1枚押さえます。魚にも性格があります。臆病な子、のんびりしている子、その性格を見極めるのも撮影には必要なのです。この子はどうやらのんびりタイプのようで、遠目からそっと寄っても逃げませんでした。

近寄って写した1枚。なんとなくですが、真正面から近寄ると逃げてしまう気がして、顔の下の方からそっと寄ってみました。下からあおることによって立体感も出ますし、後ろのサンゴがきれいな背景を作ってくれています。これが黒い岩だったら写真はとても地味になりますよね。

全然逃げない子だったので、調子に乗ってさらに近づき、さらに下から狙いました。そうすることによって今度は後ろにブルーも入ってきます。白のバックは美しいですが、両方入れたら美しいだろうなと思い、がんばりました。表情もわかってお気に入りの1枚が撮れました。

03 いろいろな背景で撮影してみよう

ふらふら泳いでいると、根の上にサラサゴンべ君がいました。この子はあまり動かず、その場にたたずんでいることがあります。このときはそんな雰囲気だったのと、近くに小さなイソバナがあったので、それも絡めて撮りたいなと思いました。ギンポのようにじっとしてはくれませんが、そのぶんバリエーションが多く撮れました。

まずはイソバナの奥にいたとき。あえて前にイソバナを入れてボカしています。これは背景というより、前景を意識して写した1枚ですね。いわゆる前ボケってやつです。これも好きな写真です。

1枚目は前景を意識して写したので、次は背景を意識してみました。目線を下げて海のブルーを入れて、それだけだとさみしいので、手前のイソバナも前ボケで入れてみました。真横の写真なのでのっぺりした感じになってしまうのを、背景や前景を使うことによって奥行きのある写真に仕上げました。

最後は、イソバナの前に出て来たところを撮影。一瞬ですがこちらを向にいたので、すかさずシャッターを切りました。もちろん背景にきれいにイソバナが入るように気を遣いました。右上のサンゴがなければ、より良かったですね〜。こうやって背景を意識することで、写真の質はかなりアップします。今度海に行くときは、背景を意識してみてくださいね。

コラムニスト

むらい さちさん
プロカメラマンなのに、メカが苦手という致命的な欠陥があるが、だからこそメカが苦手な女性の気持ちがよくわかると勝手に思い込みこの連載をスタート。スタンスは変わらず「ゆるく楽しく水中写真!」。

>>Official webサイト:muraisachi.com

(DIVER 2017年2月号掲載)

AUTHOR

Amano

DIVER ONLINE 編集部

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