実際どうなの??ロクハン徹底解説!

フードを被り、全身黒ずくめのスーツに身を包む……。一度はこんな姿のダイバーを見かけたことがあるのでは?彼らが着ているのは「ロクハン」と呼ばれるダイビングスーツです。この記事では、Part1と2に分けて、ロクハンというスーツを徹底解説します。ロクハンってどんなスーツなの?ロクハンを選ぶメリットは?など、よくある疑問もスーツのプロに取材してきました!これを読んでオーダースーツの選択肢を広げよう♪

INDEX

Part1 まずは知ることから始めよう!
ロクハンのイ・ロ・ハ

そもそもどんなスーツなの?
ロクハンの定義を再チェック!
一度着たらもう手放せない!ロクハンの魅力
スーツの種類 イラスト図解
愛用者に聞くロクハンの使い心地

Part2 プロが解説!
ロクハンのギ・モ・ンQ&A

教えてくれた人…
Q1 ロクハンを選ぶメリットとは?
Q2 脱ぎ着するときに破ってしまいそう…
Q3 素材選び、何を選べばいいの?
どんな違いがあるの?

Q4 ビギナーにオススメのロクハンを教えて!
Q5 股掛けって本当に暖かいの?
Q6 プロが選ぶ1番暖かいロクハンはどのタイプ?
Q7 カブリを買う勇気はまだない…
でも寒いのは嫌!どうしたらいい?

Q8 ファスナーを付けると水が入って
寒くなるという噂は本当?

Q9 すぐ縮むから大きめに作るという噂は本当?

TOPIC ロクハンとセミドライはどう違うの?

スーツのプロのお店はこちら

 

 

 

Part1 まずは知ることから始めよう!
ロクハンのイ・ロ・ハ

そもそもどんなスーツなの?

ファッション性が高い製品も数多く出回る中、おしゃれになんて目もくれず、何十年も変わらぬスタイルを貫くスーツがあります。

それが元祖「ロクハン」。そのルーツは漁師さんや海女さんなど海に潜って漁を行う人たちにあるそう。素潜り漁をするとき、長く水中にいられるよう暖かさを重要視して作られたものが始まりだと言われています。

 

その印象が強いので、「ロクハン」と聞くと、海女さんのような「フード付きの全身黒ずくめスーツ」が頭に浮かぶかもしれません。ダイバーの間では「リャンスキ(裏表両面ラバーの意)」「カブリ」と呼ばれるタイプ。

しかし、「ロクハン」とは、本来、6.5mmという生地の厚さのことを指しているのです。つまり、素材に関係なく、どんな色や形、カットであっても、6.5mmの厚さがある生地を使用していればすべて「ロクハン」ということになります。

 

ロクハンの定義を再チェック!

ロクハンとは…
使用される生地の厚さが6.5mmのスーツのこと

 

一度着たらもう手放せない!ロクハンの魅力

ロクハンは厚さ5mm以下のウエットスーツに比べると単純に生地が厚いので、断熱材としての能力が高くなります。

片方もしくは両方にラバーが付いているので、水や風を通さず寒さをシャットアウトしてくれる機能も併せ持っています。とくにエグジット後の暖かさは段違い!

また、裏面(肌に当たる側)をラバーにすれば生地がぴたっと皮膚に密着するので、水の出入りを最小限にとどめてくれることもポイント。

体温で温められた水で体を包み込みながら、冷水の浸入を防ぐ。内外両側に防護壁を装備しているような感覚です。一度使うとその快適さのとりこになってしまうこと間違いなしのスーツなのです。

 

いっぽうで、「ロクハン」はデリケートな一面も併せ持っています。ラバーの面は脱着時に爪を立てたり、強く引っ張ってしまうと亀裂が入りぱっくりと裂けてしまうことがあります。

脇、脇腹、股の部分などは裂けやすい部位と言われています。着底時に膝をつけば、少しずつ擦れて穴が開くことも…(筆者体験談…汗)。

はじめのうちは失敗しても、慣れてしまえばなんてことはないのですが、そういったことも相まって「ロクハン=スキルが高い玄人ダイバー向け」というイメージが浸透しているのかもしれませんね。

逆を言うと、着ているだけで玄人感を醸し出せるそんなカッコよさが「ロクハン」にはあるのです…!

 

スーツの種類 イラスト図解

ロクハンは基本的には自分の体のサイズに合わせてオーダーして世界に1着「自分だけのスーツ」として作ってもらうスーツです。

動きやすさ、暖かさ、耐久性など自分の好みに合わせて欲しい機能を持った形や素材を選んでオーダーします。ここでは、ロクハンを大きく4つに分けてスーツの種類をイラストで紹介します。

<カブリ>

ファスナーが付いていない上着のこと。首元からの水の出入りがなく、オプションのフードや股掛け(ビーバーテール)を付ければ真冬でもダイビング可能な最強の暖かさを実現してくれます。ファスナーがないため、脱着はやや難しく玄人向きとも言えます。水中であまり動かないフォト派ダイバーに人気が高いタイプです。

<ジャケット>

前にファスナーが付いた上着のこと。カブリと比べるとファスナーがあり、首元も開いているため保温力が劣りますが、脱着が簡単なのでビギナーからガイドまで多くのダイバーに人気があるタイプです。首元から背中のほうに水が入ることもあるので水中での「ひやっ…」には心の準備が必要…?

<ロングジョン>

オーバーオールのようなスーツのこと。水温が高い場所では1枚でもダイビング可能ですが、低い場所ではロクハンの上着を着用することで、体幹部分に13mmの防寒壁を装備することが可能!破け防止のため、肩にベルクロ(マジックテープ)や胸元にファスナーをつけることもります。同じような形で半袖のタイプもあり、シーガルと呼ばれています。

<胴長ズボン>

腹巻が付いたかのようなハイウエストのズボンのこと。上着と合わせて着用するタイプです。上着を着た状態でも脱着可能なズボンなので、仕事でダイビングをするガイドから強い支持を誇ります。とにかくトイレに行くのが楽ちんなんです!インナースーツを併用することで寒さを防ぐこともできます。

 

愛用者に聞くロクハンの使い心地

実際にロクハンを使っているガイドさんに、その使い心地についてインタビューを行いました。毎日のように海に潜るダイビングのプロたちに選ばれるその理由とは?

<Diving Service むらい。>
村井智臣さん

南伊東駅から徒歩8分の場所にある<Diving Service むらい。>のオーナーガイド。ベースとなる伊豆半島だけでなく、国内外ツアーも行い精力的に活動している村井さん。1年のほとんどをロクハンで過ごすという生粋の『ロクハンLOVER』。

「ロクハンはとにかく海の中が暖かい! 僕が愛用しているのは前ファスナーのジャケットと肩にベルクロが付いたロングジョンのツーピース。気温が低い時期だけドライスーツを着用します。伊豆は5月頃になると気温が上がるけど、水温はまだ低い。ドライだと海に入る前に汗でびしょびしょになるので、海中では汗冷えして寒くなります。夏でも冷たい潮が入ってくることもあるからウエットはロクハンに限ると思っています。上級者の人が着るものだと思ってる人も多いんですけど、最近のものは脱ぎ着がしやすく進化しているので、初心者の方でも簡単に使えますよ!」

 

<BIGHOLIDAY>
松本祐美さん

沖縄・宮古島のダイビングショップ<BIGHOLIDAY>のガイド。前職はウエディングプランナーという異色の経歴を持つ。ゲストが喜ぶ姿を見るのがしあわせという松本さん。相棒のロクハンといっしょに宮古島の海で日々奔走している。

「秋~春にかけてはかなり水温が下がる宮古島。冬は北風の影響で陸も厳しい寒さが続きます。現在は、温かさや動きやすさ、耐久性を兼ね備えた裏ジャージのツーピース(前ファスナージャケット+ロングジョン)を愛用しています。仕事柄脱着に時間をかけられないので、慣れないうちは無理に引っ張って脇に穴をあけたことも……。心配な人は脱着しやすい前ファスナーのジャケットがオススメです!」

 

 

 

Part2 プロが解説!
ロクハンのギ・モ・ンQ&A

まだロクハンを手にしたことがないビギナーさん必見! 巷でよく聞くロクハンの噂や、疑問についてスーツのプロがわかりやすく解説してくれます。気になるQ&Aをチェックして、すっきり解決しましょう!

 

教えてくれた人…

< 川奈海洋ダイビング>
上原悦夫さん、上原義浩さん

伊豆で人気のスーツブランド「TRUE BLUE」を製造販売する上原さん親子。悦夫さんはこの道40年。サーフィン用ウエットスーツの製造で培った技術を生かし、スタイリッシュで機能的なロクハンスーツ「TRUE BLUE」を生み出したスーツの匠です。

上原悦夫さん

 

息子の義浩さんはスーツ製造の傍ら、インストラクターとして講習やガイドも行うマルチプレイヤー。アンダーウオータースキルアップアカデミー(略して、U.W.S.U.A)という団体に加盟し、海洋救助や訓練のボランティア活動も行っています!

上原義浩さん

 

 

Q1 ロクハンを選ぶメリットとは?

 A1 「1着で潜れるシーズンが長くなることが最大のメリットです。たとえば伊豆の場合、ジャージの5mmフルスーツなら夏場しか使用できませんが、ロクハンツーピースなら5~12月まで潜ることができ、使用期間がぐんと伸びます。暖かい素材のカブリなら冬もダイビング可能なので、とてもコスパがいいスーツと言えます」

 

Q2 脱ぎ着するときに破ってしまいそう…

 A2 「耐久性の高い素材を選ぶことで破くリスクをかなり低くすることができます。ロクハンの中でも破けやすいのは裏表ともにラバーでできた「両面スキン」という素材。ロクハンならではの玄人感を求めて、ダイビングに慣れていないころから両面スキンを選ぶ人もいますが、あまりオススメはできません。講習が終わったばかりの人や初めてのスーツでロクハンを選ぶ場合は「耐久性」や「着やすさ」に優れた素材を選ぶことでストレスなく脱着できますよ」

 

Q3 素材選び、何を選べばいいの?
どんな違いがあるの?

 A3 「ジャージの有り無しと、ラバーの硬さの違いでいくつかの種類に分けられます」

>>両面スキン
裏表ラバー。水を吸わず、風も通さないため一番暖かい素材。強い力やダメージに弱く破けやすいというデメリットがある。脱着時はスーツ表面に水をかけて摩擦を減らし、滑りやすくする必要がある。

裏表どちらもツルツルしている

 

>>片面ジャージ
片面がラバー、もう片方がジャージ。耐久性は高いが、水を吸うためダイビング後は気化熱で少し寒いのがデメリット。表をジャージにすると水がなくても脱げて、裏ジャージなら水がなくても着られる。

片方はジャージでザラザラ、もう片方はラバーでツルツル

 

>>ラバーの硬さ
ソフトラバーとハードラバーの2種類。ソフトは伸びがよく脱着がしやすいのでビギナーにオススメ。ハードは生地がへたりにくいのが特徴でガイドなど毎日のように潜る人に向いている。

 

Q4 ビギナーにオススメのロクハンを教えて!

 A4 「素材面ではソフトラバーを使用した、片面ジャージがオススメです。ソフトラバーは伸びがよくとても着やすいのが特徴の生地。ジャージ面を表に使用することでラバー特有の擦れや破け等のダメージを軽減し、耐久性を高めることができます。ロクハンというとカブリを思い浮かべる人が多いですが、着やすさでオススメなのは前ファスナーが付いたジャケットと肩にベルクロ(マジックテープ)を付けたロングジョンのツーピースですね」

表面がラバーの場合、BC脱着時に強く擦れると画像のようなダメージを受けます

 

ロングジョンの場合、肩にベルクロを付けると脱着がしやすくなるのでオススメです

 

Q5 股掛けって本当に暖かいの?

 A5 「腰からの水の出入りを軽減してくれるので断然暖かいです。両面スキンの上着は留め具がひっかけ金具で出来ているため、金具が取れたり、テール部分が破れることがあります。片面ジャージの上着は留め具をベルクロ(マジックテープ)にすることで、留める位置をある程度調節することができるので、生地へのストレスを少なくできます」

ひっかけ(金具)。左右2点留め。金具の凹凸を合わせて、生地の内側、下腹部の辺りで留めます

 

ベルクロ(マジックテープ)。ベルクロ生地の幅の範囲で、留める位置を調節できます

 

Q6 プロが選ぶ1番暖かいロクハンはどのタイプ?

A6 「暖かさだけで選ぶなら、両面スキンのカブリ(フード、股掛け付き)+ロングジョンのツーピースですね。冬の伊豆でもダイビング可能な暖かさがありますが、脱着の難しさは玄人向け。カブリは表面に水をかけて滑りやすくした後、Tシャツを脱ぐときのように上着の裾からひっくり返して脱ぎます。 『スーツを脱着する様子を見ればダイバーのレベルがわかる』という言葉もありますが、ある程度スキルのあるダイバーにオススメしたいスーツですね」

両面スキンのカブリ(フード、股掛け付き)+ロングジョンのツーピース

 

Q7 カブリを買う勇気はまだない…
でも寒いのは嫌!どうしたらいい?

 A7 「ロクハン素材のフードを使用するだけでも寒さ対策になります。フードもスーツ同様採寸してオーダーメイドで作りますので、ジャストフィットで快適に防寒できます。「TRUE BLUE」では「ライダーネック付きジャケット」という独自のスーツも販売しています。首からの水の出入りを抑えて暖かいのはもちろん、前面オープンで脱着も楽ちんなオリジナルスーツ。ガイド さんにも人気でオススメです」

防寒にオススメのフード

 

一般的なジャケットの襟。

 

独自のライダーネック付きジャケットの襟。水の侵入を防いでくれる

 

Q8 ファスナーを付けると水が入って
寒くなるという噂は本当?

A8 「残念ながら噂は本当です。着やすさを高めるためにオプションで手首や足首に付けることもありますが、ミシンでファスナー両側にある布部分をスーツの生地に縫い付けるためどうしても水が入りやすくなってしまいます。着やすさと暖かさはどちらも捨てがたい……、というダイバーには前ファスナー付きのカブリがオススメです」

 

Q9 すぐ縮むから大きめに作るという噂は本当?

A9 「現在の生地は、昔ほど縮まなくなりました。多くの生地メーカーでは生地を事前に縮ませる期間を設けることで完成後の縮みが少なくなるようにしています。「TRUE BLUE」では信頼のある生地メーカーの質のいい生地を仕入れ、3~6か月ほど寝かせてから使用しています。また、大きさに関しては、素材の違いやインナー着用の有無、ダイビングスタイルによって決定するため、要望をヒアリングしてベストな大きさで製作します」

 

TOPIC ロクハンとセミドライはどう違うの?

セミドライとは、ウエットスーツとドライスーツの中間の機能を持つスーツのこと。ロクハンとの大きな違いはファスナーに防水機能があるかどうかという点。セミドライは水の侵入を防ぐ「防水ファスナー」、ロクハンには水を通す「通常のファスナー」が使用されます。

各メーカーごとに差はありますが、「TRUE BLUE」製セミドライの場合、単体での使用なら真冬以外の9~10か月間、1着で潜ることができるといいます。インナーを着用して暖かさを調節すると、真冬でもセミドライで潜ることができますが、防寒対策的にはロクハンカブリのツーピースの方が暖かいそう。

 

 

スーツのプロのお店はこちら

川奈海洋ダイビング

東伊豆・川奈の老舗ダイビングサービス。ダイビングショップ「川奈ダイビング」、タンクサービスなどダイビング事業だけでなく、ウエットスーツ製造も行っています。7年前に立ち上げたダイバー向けスーツブランド「TRUE BLUE」は地元伊豆のガイドから絶大な支持を誇ります。スーツは各ダイビングショップを通して注文可能なので、通っているお店やお近くのダイビングショップで問い合わせてみてくださいね。

 

 

 

写真=堀口和重 (https://photographer-holly.amebaownd.com/)
文=古閑沙希子
協力=川奈海洋ダイビング

雑誌DIVER 2020年3月号No.460より

 

 

AUTHOR

Koga

DIVER ONLINE 編集部

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