動かない魚を撮る むらいさちの「ゆるフォト講座」

こんなふうに美しいソフトコーラルがたくさんあるんです♪ ある飛行機に乗り遅れ、その空いた時間で原稿を作っている、さちです。どうぞよろしく(汗)。 さて、今回は先日行った、フィリピンのセブ島にあるリロアンで撮影した写真を使ったゆるフォトです。 リロアンは僕の大好きな海の1つです。それは、まずは生物が豊富ということ、そしてショップと宿が一体になっており、目の前の海から船が出るので身体がとても楽。ポイントは近くて20秒、遠くても2分くらいです。ガイドさんのレベルが高く、マクロ、ワイド両方を楽しませてくれます。とにかくじっくり写真が撮れるので、作品撮りには最高の条件が揃っています。 こうやって、自分が写真を撮るのに良い条件の海を探すということはとても大切だと思います。僕の場合は作風的にも、ドリフトでガンガン流すより、ビーチでのんびり撮影するスタイルが合っていますし好きです。宿もショップも桟橋も10歩以内にすべてが揃っており、究極のダイビングスタイルだな〜と思います。 では、ゆるフォトスタートです!

01 動かない魚をじっくり撮ってみよう

水中でお魚の写真を撮るのは、とても大変ですよね。動き回る被写体を、身体の自由がきかない水中で撮影するのは、それだけでもひと苦労。下手すれば、その被写体だけで1ダイブ終わってしまうこともあります。といって、ファンダイビングだとそんなにのんびりできません。それなら動き回る魚はひとまず置いて、動かない魚を狙ってみましょう。今回は同じ魚だけどアプローチの仕方の違う2枚の写真を例にお話を進めていきます。

写真はリロアンではよく見かける、メガネベニハゼ君です。性格はのんびりで色がきれいなのでよく撮影します。まずは1枚。とてもきれいな環境にいました。遠目に写して、色や環境をチェックします。このとき、ストロボで逃げてしまう子は、気が弱く撮影にも向いていないと思います。

ストレスを与えないように、徐々に寄っていきます。近づけばストロボもしっかり当たるので、色もきれいに出てきます。周りのきれいな環境も写し込めるように考えて構図を決定していきます。まだ画面が散漫な感じなので、さらに寄ります。

ググッと寄りましたが、寄り過ぎず周りのきれいな環境も見せられる程度に抑えています。これ以上寄ると魚メインの写真になってしまいますので、「どう見せたいか?」を考えながら写すことが大切です。

02 寄るのか? 引くのか?

最初の写真は、お魚のかわいさを見せつつ、周りの環境の入れ方にこだわって写した1枚です。次は、環境があまりよろしくない場所(個人差がありますが…)に被写体がいる場合、どう切り取るか、そんなことを考えて写した作品です。

「かわいいホヤの上にハゼがいますよ〜」と、ガイドの関口さんが教えてくれたメガネベニハゼ君。かわいい…(個人差があります)と、僕は思えず(汗)。笑顔でOKサインを出しつつ、どうやってこのホヤを目立たなくするか作戦を立てます(個人差があります)。

色合いはキレイなので、ぐっと寄りつつ背景のピンクは残るように縦位置で撮影してみました。が、なんだかつぶつぶが、気持ち悪…(個人差があります)。なのでなるべくつぶつぶが目立たないように撮影することを意識しました。

ここまで寄ると、逆にボケるところはボケますし、ホヤの模様の縞々がかわいく見える気もします(個人差があります)。なので、ふわっとぼかして撮影しました。こうなると、このホヤも素敵な背景に変わりましたね。と、こんなことを考えながらいろいろ試して撮影しています。これもデジタルだからですね。便利なものはどんどん使いましょう。

03 その他の動かない生物たち

最後に、動かない生物を中心に3枚、今回写した写真を紹介します。動く魚に思わず目が行ってしまいますが、動かない被写体を選んだほうが、いい写真が撮れる打率は上がると思います。ぜひ、挑戦してみてくださいね。

ソフトコーラルに住んでいる、ウミタケハゼ君。背景になるソフトコーラルがデザインチックで素敵だったので、その模様も見えるように意識して撮影しました。

サンゴの穴に住んでいる、カンザシヤドカリ君。かわいいサンゴに住んでいて、上にはイバラカンザシもあったので、少し入れ込んで撮影。ハサミも入れ込みたかったな…。

とても気持ちよさそうな、バブルコーラルシュリンプ。この子は、あまり近くには寄らず、サンゴのぽわぽわした感じも写し込んで環境も説明しています。このほうが名前の意味もしっかり伝わりますよね。

コラムニスト

むらい さちさん
プロカメラマンなのに、メカが苦手という致命的な欠陥があるが、だからこそメカが苦手な女性の気持ちがよくわかると勝手に思い込みこの連載をスタート。スタンスは変わらず「ゆるく楽しく水中写真!」。

>>Official webサイト:muraisachi.com

協力=マリンビレッジダイブハウス
(DIVER 2017年3月号掲載)

AUTHOR

Amano

DIVER ONLINE 編集部

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