干されてないスルメイカ、本当の姿 堀口和重の撮ったどぉ〜!ライトトラップ獲物図録 Vol.1

コラムニスト:堀口和重
vol.1 干されてないスルメイカ、本当の姿

スルメイカの幼生 6cm前後

近年ブームになりつつある浮遊生物を狙うダイビング。
深海魚リュウグウノツカイの生きたままの姿やキアンコウの幼魚など、普通では見ることのできない生き物たちを見られる(かも?)!と、ダイバーの間でじわじわと人気が出てきているちょっとマニアックなダイビングです。そして、僕のガイドする大瀬崎ではその浮遊生物を狙う、“ライトトラップ”という方法がここ数年人気を集めています。

ライトトラップとは、その名の通り「光の罠」。
ナイトダイビングで、生き物が集まりそうな場所にライトを設置します。そこに集まるプランクトンを補食するために魚の稚魚や、甲殻類の幼生が集まり、さらにそいつらを狙って他の生きものが補食するために集まる・・・という罠の連鎖。
そこを狙えば、普段見ることができない深海魚の子どもや、輝くイカなど、普段出会えないような生きものを観察したり、撮影することができるというわけです。

そのライトトラップを使って、僕が撮影した「これはすげぇぞ!」という獲物たちを、写真と共に紹介していきたいと思います。

さて、記念すべき第一回目は「スルメイカ」。
「なんだ、スルメイカ?見たことあるよ〜!酒のつまみに美味しいよね。」と思ったそこのあなた。
いえいえ、干されたスルメイカじゃありません。スーパーに並んでいる刺身のスルメイカでもありません。ついでにアオリイカでもありません!笑

海で実際に泳いでいるスルメイカの姿、皆さんは見たことがありますか?

「そういえば、ないかも・・・。」

ですよね?(得意げ。笑)
実はスルメイカは外洋性で沖合いにいるため、日中のダイビングではほとんど目にすることがありません。
「それじゃぁ、見たことあるわけないだろっ!」というツッコミがきそうですが、そんなスルメイカも、ライトトラップを仕掛ければ、観察したり撮影したりすることができるんです!(※時期や潮にもよります)

メイン写真でご紹介したのが、ライトトラップにかかったスルメイカです。
「ん?でもなんか雰囲気が違うぞ?」と思った方、鋭い!
そう、実はこのスルメイカはまだ子ども(幼生)なんです。成体のスルメイカは恐らく外洋に行ってしまっているのですが、この幼生のスルメイカなら、秋から初春にかけて長い期間見ることができます。

ライトに集まるスルメイカの幼生 7cm前後

ライトに向かってふわふわと集まったり、個体によってはすごい速さで近寄ることもあります。イカの仲間は目の感度がものすごく高いので、あまり光に慣れていない子どもはパニックを起こし近寄ってくるのでは?と考えられます。
まだ子供だからといって侮ってはいけません。子どもでも30匹~50匹の大きい群れを成すこともあり、それはもう、すごい迫力なんですよー!

2月に見られたスルメイカの幼生の群れ 1匹 6cm前後

今年はもう少しでこのスルメイカたちを見るシーズンも終わりそうですが、ぜひ皆さんにもこの“ライトトラップ”で干されていないスルメイカを観察してみてはいかがですか?

コラムニスト

堀口 和重(ほりぐち・かずしげ)さん
西伊豆大瀬崎の<大瀬館マリンサービス>でガイドとして勤務。好きな生物は、クラゲ類・幼生類・ホタルイカモドキの仲間などの浮遊系。水中写真家・阿部秀樹氏のライトトラップに影響を受け、3年前よりナイトダイビングが可能な日は撮影&ガイドを行っている。1986年生まれ。

>>大瀬館マリンサービス

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Amano

DIVER ONLINE 編集部

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