コラムニスト:堀口和重
vol.3 もうすぐ夏!こんな子、あんな子に会えるかも!
チョウチョウウオの仲間の稚魚、トリクチス幼生
いや〜な梅雨の季節ももうすぐ終わり。7月になれば、いよいよ夏本番ですね♪
これからの季節、過去2回にわたって紹介した、水温が低い時に現れるイカなどの姿は見られなくなります。
代わりに南から潮に乗って運ばれてくる魚たちがぐっと増えてきます。そして、その南方の魚の子、稚魚たちをライトで誘うのがどんどんおもしろくなってきますよ〜^^
稚魚たちは成魚と違い、一般のダイバーが想像もつかないような姿をしていて、それはそれは綺麗なんです!
というわけで、夏に向けてどんな稚魚たちがライトトラップにかかるのか、皆さんにご紹介していきたいと思います。
最初は、ダイバーなら一度は見たことのある魚、チョウチョウウオ。その仲間の稚魚、トリクチス幼生です。
トリクチス幼生2
以前、ライトに向ってきたクロホシイシモチがこのトリクチス幼生を丸呑みしようと口にくわえたことがありました。「あっ食べられた!」と思ったのですが、次の瞬間、なんとクロホシイシモチは苦しそうにして、口の中に入れたトリクチス幼生を吐き出してしまったのです。「おやっ?」と思っていたら、今度は別のクロホシイシモチがパクッと!・・・が、またも吐き出してしまいました。
なぜそんなことが起きたのか?写真を見てみるとなんとなくわかりました。どうやら、トゲのようなものが呑み込んだ時に刺さっているのではと思われます。
いや〜、驚きました。
南方ではないのですが、去年8月に出会ったとてもきれいな稚魚がこちら!
アカマツカサ
クロホシイシモチの集団をかき分けながら、突然、彗星の如く現れたこの個体は、アカマツカサ属の稚魚だと思われます。体がまだ透明な部分があり、ここからだんだんと色がついていくのでしょう。
似た仲間で、一昨年の秋に同じように現れたのが、イットウダイ亜科の稚魚。
イットウダイ亜科の稚魚
こちらはブルーのボディーが輝いて綺麗ですね。
このような魚たちの稚魚は成長ステージのデータや写真が無いと同定が大変難しいので何の仲間までしかほとんどわからないのが現状です。
でも観察していると、こうして色々な発見があっておもしろいんです。
夏から秋にかけては、南からの漂流魚など、いろいろな生き物に出会えます!トビウオの稚魚 や輝くシイラの子供も現れる時期なので、水面も要チェック!
夏の夜にライトを焚いてロマンチック・・・ではなくマニアックに!ダイビング1本丸ごと、かわいい子やきれいな子を狙ってみてはいかがですか?
きっと新しい発見や、運命の出会いが待っている!…かも?笑
コラムニスト
堀口 和重(ほりぐち・かずしげ)さん
西伊豆大瀬崎の<大瀬館マリンサービス>でガイドとして勤務。好きな生物は、クラゲ類・幼生類・ホタルイカモドキの仲間などの浮遊系。水中写真家・阿部秀樹氏のライトトラップに影響を受け、3年前よりナイトダイビングが可能な日は撮影&ガイドを行っている。1986年生まれ。