
コラムニスト:堀口和重
vol.9 集まらない…けど、見られるかも!魅惑の生き物たち
今回は、ライトトラップで集まりはしないけど、見られるかも!?という生き物たちを色々ご紹介したいと思います。
どういうことかというと、ライトに集まってくるわけではないのですが、ライトトラップ中に少しライトから離れて探してみると、偶然浮遊していて見つかる生き物たちのことです。
夜の海ではライトを使うため、浮遊生物がより目立ち、日中より見つけやすいのです。
最初にお見せしたいのがこちら!
巻貝の仲間のマクジリヴィリア幼生
貝のベーラムの拡大写真
初めて見たときは、「プロペラのようなものが付いている…なんだこれ?」と思いました。実はこれ、マクジリヴィリア幼生と言われる巻貝の仲間で、幼生時代の着底していないときの姿なんです。プロペラのようなものはベーラムと言われる遊泳器官なのです。
スナギンチャク科のIsozoanthus属のゾアンテーラ幼生
またこちらはスナイソギンチャク科のIsozoanthus属のゾアンテーラ幼生。イソギンチャクの仲間も幼生時は浮遊生 活を送っています。どちらかというと波打ち際や水面で見かけることが多いです。もはや生き物に見えないと思う方も多いと思います。
ヒラカメガイ属の一種
ヒラカメガイ属の一種別カット
こちらは、ヒラカメガイ属の一種。翼のような大きい側足を動かしてが浮遊して漂っています。クラゲなどのプランクトンが大量に入ってくるときに水面付近で泳いでいます。
このようにライトに集まらなくても見られる生き物はたくさんいるんです。ライトトラップ時には、ライトの周りだけではなく、少し離れた場所であたりを見渡すと面白い生き物に遭遇するかもしれません!
コラムニスト
堀口 和重(ほりぐち・かずしげ)さん
西伊豆大瀬崎の<大瀬館マリンサービス>でガイドとして勤務。好きな生物は、クラゲ類・幼生類・ホタルイカモドキの仲間などの浮遊系。水中写真家・阿部秀樹氏のライトトラップに影響を受け、3年前よりナイトダイビングが可能な日は撮影&ガイドを行っている。1986年生まれ。