コラムニスト:堀口和重
vol.16 釣り船の狙いはケンサキイカ!
イカ釣り船
夜になり大瀬崎から海を見つめると沢山の光が照らされています。
駿河湾周辺では春からここのところイカ釣り船が沢山出ているのが見られます。
船の光でおびき寄せているのはマルイカというイカ。
このイカ釣り船ではマルイカと呼ばれていますが、実際はマルイカという名前の種類のイカは存在せず、これはケンサキイカのことを地方名で呼んでいるだけなのです。
ケンサキイカ
そう、あのスルメにするとおいしいイカです。 ちなみに、他にも地方名で「シロイカ・ダルマイカ・ブドウイカ」などと呼ばれています。
ブドウイカと呼ばれるのは、体の色素細胞がブドウのような模様を造り出し特徴的だからと言われているようです。
本当にブドウのような模様です
ケンサキイカは大瀬崎ではライトトラップでよく見かけるイカの仲間の一種。このイカの仲間たちは以前のコラムに書いた他のイカ達のように、ライトの近くには集まってきません。少し離れたところで距離を保ち、こちらを伺っているような感じで中層に数十匹の群れになって浮いています。そしてこちらが近寄って行くと逃げます。。。狩りをするために来たのかそれとも繁殖行動のためかは不明です。
続いてこの写真。なにか分かりますか?
イカの仲間の卵
大瀬崎で冬から春に潜るダイバーの方なら、一度は見たことがあるかもしれません。そう、イカの仲間の卵です。イソギンチャクに似せているのではないかと言われています。
生まれたての卵は白く光っているようで、とても綺麗。
ある程度成長すると、卵の中の子供も見ることもできます。
今の時期、夜にイカ釣り漁船を見かけたら、ケンサキイカが釣られているのだなぁと思い出してみてくださいね。
コラムニスト
堀口 和重(ほりぐち・かずしげ)さん
西伊豆大瀬崎の<大瀬館マリンサービス>でガイドとして勤務。好きな生物は、クラゲ類・幼生類・ホタルイカモドキの仲間などの浮遊系。水中写真家・阿部秀樹氏のライトトラップに影響を受け、3年前よりナイトダイビングが可能な日は撮影&ガイドを行っている。1986年生まれ。