コラムニスト:堀口和重
vol.22 浅くてびっくり! ハナダイの赤ちゃんたち
真冬に入り、大瀬崎のライトトラップは一段と熱いです。ここへきて、生き物にも変化が出ていて、不明種のタコやイカ、深海に住んでいるような魚の稚魚など、ますます目が離せない状況になっているのです。
今回皆さんにご紹介するのは、レジャーダイビングでは見るのが難しい水深にいる生き物、ハナダイの仲間、の稚魚です。
ハナダイは美しい色彩で人気の魚です。シキシマハナダイ、アカイサキ、マダラハナダイなどなど美しい仲間はいろいろいるのですが、とにかく生息環境が深い! 見たくても見に行けない・・・、なんとも悩ましいお魚です。そんなハナダイですが、ベビーたちは浅い水深で見ることができます。
まだ透明な個体なので、成魚が見せる体色の美しさとはまったく違うのですが、浅い水深で見られるのは驚きです。この2種類のハナダイの稚魚たちは、水深5m前後で撮影したんですよ。
私が最初にライトトラップにハマったきっかけは、浅い水深で窒素を気にせずに 珍しい生き物が見られるからでした。こんな浅い水深で! 深いところにいるあんな生き物が! あんな場所に生息しているものが! と期待が高まっていくのです。深場のハナダイを見るのはちょっとなぁ…と思う方も、今の時期のライトトラップなら、ベビーたち探しが楽しめますよ。
協力 公益財団法人 海洋生物環境研究所 中央研究所 小嶋 純一
コラムニスト
堀口 和重(ほりぐち・かずしげ)さん
西伊豆大瀬崎の<大瀬館マリンサービス>でガイドとして勤務。好きな生物は、クラゲ類・幼生類・ホタルイカモドキの仲間などの浮遊系。水中写真家・阿部秀樹氏のライトトラップに影響を受け、3年前よりナイトダイビングが可能な日は撮影&ガイドを行っている。1986年生まれ。