写真展「青い地球のカシュ」を開催した鍵井靖章さん

7月1日から、水中写真家・鍵井靖章さんの6年ぶりの写真展『青い地球のカシュ』が 東京・品川のキヤノンギャラリーSで開かれています。 年間に6人しか開催できない注目のギャラリーでの写真展です。 6月には写真集『アシカ日和』を上梓し、この夏、大いにノってる鍵井さんに、聞きました。 (インタビュー/渡井久美)

 

●大きなギャラリーでの写真展が実現しましたね。

「水中写真を始めて20年、その記念になることをしたいという気持ちはありました。キヤノンギャラリーでの写真展は自分のあこがれの1つでしたし、水中写真家としては初めての開催になりました。感謝しています」

●「カシュ」というタイトルは?

「フランス語で『隠れ家』という意味です。
写真展に向けて、まず、自分が見ていただきたい写真を1枚決めました。それが、案内状にも使ったニューカレドニアの写真です。この写真をメインに言葉を選んでいって、『隠れ家=カシュ』になりました。これだけの広さがあるギャラリーだから、「隠れ家」が表現できたと思います」

●展示スタイルの演出は?

「迷路を抜けて隠れ家にたどりつくようなこの形は自分で考えました。最初に僕がある程度決めて、途中、とても信頼しているデザイナーの方に入ってもらって、いっしょに構築しました。エスカレーターを降りてくると、メインの大きな写真が見えるでしょ。あの見せ方はデザイナーさんのアイディアです。ヒントをいろいろもらい、展示としてはカッコいいものができたのですが、最終的には「写真を見せる」展示にしたかったので、最後の最後は僕の気持ちを押し通させてもらいました」

●展示する作品はすんなり決まりましたか?

「すごく悩みました。
3.11(東日本大震災)で、僕の意識が随分変わったこともあって(※)、未来に残したい地球の姿が大きな軸になっています。その上で、多くの一般の方に海の世界を知っていただきたいという気持ちがあったので、わかりやすい写真を選んでいます。夏休みにかかるので、子供にも意識した展示にしたいとも思っていました。だから、広く大きな海が描かれていて、子供たちがわくわくするような写真も選びました。
僕は癖のある写真も撮っていますが、海の素顔もたくさん撮ってました。『これくらいええやろ』と押し通したのは、シーアップルのアップ写真くらいですね。あれは入れたかった。でもあれはあれで人気があるんですよ。
雑誌や写真集でもそうですけれど、響く部分は人それぞれ違うから、バラエティに富んだ展示をしたことで、皆さんのさまざまな感想をくことができてよかったと思います」

●展示は全部で何点ですか?

「90点です。一番大きい作品は、横6m縦3mです。
キヤノンのEOS 5Dと5D Mark 2で撮影していますが、あそこまで大きくしてクオリティは大丈夫か、心配はありました。でも、冒険してよかった、と思っています」

●ギャリートークもありますね?

「これまで、中村征夫さんをはじめとする先輩方の写真展を見ていて、自分もああいうスタイルでやりたいという気持ちがずっとありました。キヤノンさんも快諾してくれて、写真展が決まった時点でギャラリートークもやることにしていましたが、自分のスケジュールがはっきりしなかったために、皆さんへのお知らせは直前になってしまいました。
ギャラリートークは、ライブだと思っているので、ノリで30分で終わるか、1時間になるか、ですね(笑)。会場が広いとゲストの反応がわかりにくいのですが、ギャラリートークになると、写真を前にして、皆さんの反応を見ながら展開していけるので、ライブとして楽しんでもらえると思います」

●写真展は8月11日まで。そろそろ半分ですが。

「今回はプリントも気にいっているし、レイアウトも展示も、完璧とは言わないけれど、今、僕ができるかぎりのことはしたと思います。それで皆さんが楽しんで、いろいろな反応をもらえるのはうれしいです。8月11日まで、ほぼ毎日会場にいますので、ぜひ、いらしてください」

(※)鍵井さんは、3.11以降、「脱・着底ダイビング」を宣言している。そのくだりは、月刊ダイバー8月号掲載のインタビューで。

鍵井 靖章(かぎい・やすあき)さん

1971年、兵庫県生まれ。大学在学中に水中写真家・伊藤勝敏氏に師事。1993年よりオーストラリア、伊豆、モルディブに拠点を移し、水中撮影に励む。1998年に帰国後、フリーランスフォトグラファーとして独立。自然のリズムに寄り添い、生き物に出来るだけストレスを与えないような撮影スタイルを心がける。
第15回アニマ賞受賞(平凡社)、2003年日本写真協会新人賞受賞など受賞歴は多数。TV、ラジオ出演多数。

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Amano

DIVER ONLINE 編集部

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