ホンヤドカリよりひとまわり大きく、海中の岩礁地や転石砂底に生息。2匹のオスがメスを取りあっている。ベニホンヤドカリ/甲長2㎝
海の生き物の話を書くために、参考文献に目を通す。
個人的な楽しみとして、子ども向けの科学の本もよく読んでいる。
専門書を読んで今ひとつ分からなかったことが、児童書で納得できるときもある(恥ずかしい話だが)。
ある児童書に磯に小さいヤドカリしかいない理由として、
「磯には大きな貝殻が落ちてないからです」と書いてあった。
日ごろから、伊豆の磯にはホンヤドカリとかイソヨコバサミとか小さなヤドカリしかいないのはなぜ――
と疑問に思っていた私は、なるほど! と目から鱗が落ちた。
で、得意になって、夫に伝えた。
しかし、夫はかなり疑り深い性質である。
「その理屈なら、海中の大型ヤドカリの小さな子どもが磯にいないのはおかしいじゃないか」
「な、なるほど……」
私はかなり物事を鵜呑みにする性質である。
で、磯にいるヤドカリが小さいのしかいない理由は……未だに判明していない。
撮影/小林安雅
文/こばやしまさこ
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伊豆半島の海にどっぷりつかって25年の小林安雅さんが、ファインダーを通して見つめてきた生き物たちのさまざまな生態を紹介しています。