Amazing! グレートバリアリーフ 鍵井靖章 ケアンズ発、世界遺産でダイビング!

世界中のダイバーを魅了する海、グレートバリアリーフ(以下GBR)。 GBRの玄関口、ケアンズを拠点とし2600kmに及ぶこの世界最大のサンゴ礁をどう潜るか? 水中カメラマン・鍵井靖章氏が20年間憧れ続けてきた沈船ポイント「ヨンガラレック」の初リポートをはじめ、デイトリップで行く最北端の「エイジンコートリーフ」、最東端の「フリンリーフ」「ミルンリーフ」、さらには魅力的なアフターダイブ情報をたっぷり盛り込んだ最新GBRをお届けする。 写真と文=鍵井靖章 取材協力=クイーンズランド州政府観光局、ダイブセブンシーズ、トロピカル・ノースクイーンズランド観光局、クイックシルバーコネクションズ、グレートアドベンチャーズ、ケアンズ・セントラルプラザ・アパートメント、ダブルツリー・バイ・ヒルトン、ナイトファイヤー・バイ・ジャプカイ、ケアンズ・トロピカルズー&ナイトズー、どきどきツアーズ、キュランダ鉄道、スカイレール、レインフォレステーション

#01 ついに憧れの「ヨンガラレック」へ!

世界有数の沈船ポイントで固有種、大物、初対面に歓喜!

世界自然遺産のGBRには、未知なるビッグポイントがある。それはGBRの中部に位置する「ヨンガラレック」。約100年前にサイクロンの直撃で沈んだ客船で、今は多種多様な生き物の魚礁となっている。「ヨンガラレック」は、世界3大沈船ポイントとして世界的にも有名だが、どうして日本ではあまりなじみがないのか? ケアンズから約450kmの南に位置し、風の影響で海況が落ち着かない時も多く、せっかく現地に向かってもポイントに行けないかもしれない可能性があるからだろう。

底に静かに鎮座する「ヨンガラレック」

今回は、ケアンズに拠点を置く日系ダイビングサービス〈ダイブセブンシーズ〉にお世話になり、1泊2日のツアーに参加した。アクセスには2つの方法があり、ケアンズから車で350kmのタウンズビルから大きなボートで約3時間、もしくはケアンズからエアという町(約450km)まで行き、翌日ボートで約30分で向かう方法だ。今回は後者の方法をとった。
エントリーして、いきなり眼前に現れたのはロウニンアジの群れ、さらに潜降ロープ付近ではバラクーダの群れが視界を覆う。水深15m、船のトップに到着し、全長110mに及ぶ船体を潮の上手に向かいながら泳ぎ進むと、小魚を捕食するロウニンアジや大型のアジであるジャイアントレザースキンの群れ、大きく口を開けてクリーニングを受けるグレイトバラクーダなど、野性味あふれるシーンが続く。さらに船の先端では2mはある大きなタマカイと対面した。存在感が半端ない。繁殖期以外はなかなかシャイなようで、容易には接近を許してくれなかったが、それでも、ほぼ必ずこの船の先端周囲にいるので、なんとなく親しみを覚えた。

「ヨンガラレック」の海底にはコショウダイがズラリと並んでいた

とても大きなタマカイ(クィーンズランドグルーパー)を3匹も目撃

中型の捕食魚たちが狩りのタイミングを見計らう

潮当たりのいい先端付近では、今回初めてしっかりと撮影できたシャベルノーズレイをはじめ、マダラエイ、アカウミガメ、ときにはマンタやマダラトビエイなどスター生物がかわるがわるやって来る。さらに、エグジット直前にはクイーンズランドイエローテールエンジェルフィッシュとうれしい初対面を果たした!

左:クイーンズランドイエローテールエンジェルフィッシュ。オーストラリアならではのヤッコ
右:シャベルノーズレイが砂地で待機。接近すると逃げ始めた。なかなかシャイな生き物

じつは、「ヨンガラレック」は20年前にうわさを聞いて以来、ずっと潜りたかったポイント。潜り終えた感想は「アメイジング!」のひと言。世界の海で、また1つ戻って来たいポイントが増えた。

グレートバリアリーフのダイビングポイント

#02 アイドル的存在のヤイトハタもお出迎え♪エイジンコートリーフ

日帰りでココまで楽しめる!

ケアンズ発の日帰りポイントの中でも、サンゴがいちばんきれいなのが「エイジンコートリーフ」。リーフエッジにあり、コーラルシーからの新しい海水がつねに供給されるため、サンゴが豊かで、もし傷ついてもすぐに再生できる。クルーズ船で遠出しなくても“The GBR”を堪能できる有り難いポイントだ。
「エイジンコートリーフ」は、ケアンズから車で約1時間にあるポートダグラスの港から乗船して1時間20分にある。南からNo.1〜No.4まで、大きく分けて4つのリーフから成り、ポイントは全部で40か所近くある。

青いエダサンゴがとにかく海中でよく目立つ

注目は、No.1の西に位置する「キャッスルロック」で、ヤイトハタ(通称ぽち)がまるで飼い主に会いにくるようにダイバーに寄って来るほか、浅場にはジャイアントスイートリップやアカヒメジ、ノコギリダイなどが群れ、砂地では、ハタタテハゼ、オドリハゼ、ギンガハゼなどマクロ生物も豊富に観察できた。その他のポイントも、浅瀬の美しいサンゴ礁や、ギンガメアジの群れ、ウミガメやカンムリブダイ、ナポレオンなどの大物が現れたり、スパインチーク、イースタンクラウン、バリアリーフなどのアネモネフィッシュ(クマノミ)が5種類見られるポイントと、それぞれ個性的な水中シーンで楽しませてくれた。

すぐにお友達になれそうなヤイトハタ

左:砂地に隠れるシャイなヤッコエイ 右:大きなイスズミの群れに遭遇

#03 ケアンズからもっとも近い魚たちの楽園「ミルンリーフ」「フリンリーフ」

GBRの最東端に位置する「フリンリーフ」「ミルンリーフ」を日帰りで潜るツアーもある。ここはケアンズ港から行くリーフの中では、外洋側(コーラルシーに近い)に位置するため潮通しがよく、サンゴの成育が非常にいい。環境に配慮し、ミルンリーフではボートの入場制限も行っている。ケアンズの港から各リーフまでは約1時間で、集合時間は「エイジンコートリーフ」に行くより1時間遅く、少しでも寝坊したいかた(?)にもオススメだ。
最初に潜ったフリンリーフのポイント「コーラルガーデン」には、キャベツコーラルをはじめ多種多様なサンゴ礁が続き、無数のハナムロの群れや、食事に夢中のカメが目を楽しませてくれた。固有種のマクロ生物も豊富で、ブルーから白へのグラデーションが見事なセイルフィンドティーバックや、意外とシャイなラベンダードティーバックも見られ、1本目にして海の豊かさを感じることができた。
また、砂地にサンゴの根が点在する「トレイシーズ」ではユメウミイロの群れや人懐こいカメ、ニモのモデルとなったイースタンクラウンアネモネフィッシュ、ウミウシなどマクロ生物も楽しめた。

豊かなキャベツコーラルが広がる。自然の造形美

左上:とってもシャイなラベンダードティーバック
右上:イースタンクラウンアネモネフィッシュ。まさしく「ニモ」の家族
左下:食事に夢中で、接近を許してくれたアオウミガメ
右下:他の海ではあまり見かけないセイルフィンドティーバック

ミルンリーフは潮の流れがあると、ギンガメアジ、バラクーダ、テンジクイサキなどが群れることも多い。さすがGBR、街に隣接しながらもその実力に感服した。

Diving Service

ダイブセブンシーズ/DIVE 7 SEAS

Tel.(+61)7-4041-2700
HP:www.dive7s.com Mail:dive7s@dive7s.com

ケアンズ在住8年、2代目オーナーの濱岡尚治(通称ゲン)さんをはじめ、全員が日本人ガイド&スタッフの老舗ダイビングサービス。生き物や、水中写真を撮るタイミングに詳しく、日本人ダイバーが楽しめるきめ細かなサービスが魅力。店舗はケアンズの中心地に立つ「オーキッドプラザ」2階にある。6月はミンククジラウォッチツアー、通年でヨンガラレックツアー、11月は超ビッグポイントで秘境中の秘境「ホームズ(ホルメス)リーフ」への遠征ツアーにも注目だ。

CHECK!

快適、最速! 豪華大型カタマラン

〈ダイブセブンシーズ〉が利用するカタマランボートはクイックシルバーコネクションズのシルバーシリーズで、海況の悪い海でも船の姿勢を自動制御するシステムを導入しているため、船酔いする人にはオススメ。ケアンズ最速のダイビングボートでもあり、日帰りでも異なるポイント3か所に潜ることができる。10時、12時、ランチ後14時にダイブ、16時半頃に港に戻って来る。朝の軽食や、豪華ビュッフェスタイルの昼食、Wi-Fiも完備している。

左上:船の揺れに強いカタマラン船 右上:ランチビュッフェはメニューも豊富
左下:広いデッキから楽々のエントリー 右下:快適なボートでダイビング!

#04 列車と空から熱帯雨林を堪能 キュランダの旅

陸の世界遺産も要チェック!

キュランダは、ケアンズの北西約20kmにあり、人口は700人程度といわれる小さな村。GBRとともに、ケアンズが誇る世界遺産の1つ、世界最古の熱帯雨林が楽しめる人気の観光地だ。アクセスするには、キュランダ高原列車か、スカイレールを利用する。今回はキュランダの一日観光ツアーに参加した。
フレッシュウォーター駅から始まったキュランダ列車の旅はサトウキビ畑の牧歌的な景色やワイルドな滝が迎えてくれ、洗練されたケアンズの街とは一転、原始の森だ。

左:キュランダ鉄道は熱帯雨林の中へ。所々にある急カーブは撮影ポイント
右上:広大な熱帯雨林が見渡せるスカイレール 右下:キュランダ鉄道に乗って、のんびり旅のはじまり

キュランダ駅に到着後は、バスで5分の〈キュランダ・レインフォレステーション〉へ。水陸両用のアーミーダックに乗って、世界最古の熱帯雨林が探索できる。映画「ジェラシックパーク」にも登場したツリーファーン(木生シダ)や、見ると幸せになると言われている蝶「ユリシス」に至っては3度見るなど、珍しい動植物が次々に迎えてくれた。併設する動物園「ワイルドライフパーク」では8匹も交尾後に妻を食べてしまったワニに挨拶したり、コアラを抱いて記念撮影。コアラにはあまり興味がなかったけれど、実物はかなりかわいかった。ランチタイムでは、カンガルーの肉もサービス! 少し気が引けたがとてもおいしかった。

左:水陸両用のアーミーダックがタフに森や池を駆け巡る
右:「レインフォレステーション」のランチビュッフェ。カンガルーの肉などもある

初めてコアラを抱かせてもらい、そのかわいさに開眼!

また、ヒッピー系アーティストがたくさん集まるキュランダ村は、お土産物も独特でケアンズの街中とはまた違ったショッピングが楽しめるだろう。
最後はスカイレールに乗って、山を下りる。6名乗りのゴンドラで、広大な熱帯雨林の上空を進んでいくと、しだいにケアンズの街と海が見えてくる。豊かな森があるからこそ、豊かな海が育くまれることを教えてくれる貴重な一日観光となった。

Exiting

レインフォレステーション・ネイチャーパーク

Rainforestation Nature Park

水陸両用車のアーミーダックでの熱帯雨林探検が人気。他にも、先住民族の文化体験、オーストラリア固有の動物に会えるワイルドライフパーク、熱帯果樹園など、熱帯雨林の恵みを存分に味わえる。キュランダからシャトルバスでわずか5分。
HP:www.rainforest.com.au

#05 夜までアクティブに楽しめる ケアンズ

ケアンズの街はこぢんまりとしていて、フリーペーパーに付いているマップがあればスイスイと歩けてしまう。約2500人の日本人が住んでいるためか日本語が通じるお店も多く、英語があまり話せなくても事足りてしまう。楽しみはやはり買い物。サーフショップやコスメなどのお店がたくさんある中、人気は日本人にもおなじみのUGGブーツや、美肌効果で知られるホホバオイルだ。 日中はダイビング三昧というダイバーには、フードコートやお土産店が並ぶナイトマーケットや、〈ジャプカイ・アボリジニカルチャーパーク〉で行われている「ジャプカイ・ナイト」がオススメ。キュランダやケアンズ周辺に住む民族・ジャプカイ族によるショーではディジュリドゥの音色とともに伝統的なダンスと歌を堪能しつつ、おいしい食事がビュッフェ形式で味わえる。

ダンスショー&食事が楽しめる「ジャプカイ・ナイト」
カルチャーパーク内では、アボリジニーによる絵画も鑑賞できる

Interesting

ジャプカイ・アボリジニカルチャーパーク

Tjapukai Aboriginal Cultural Park

アボリジニについて、知って学べるオーストラリアで最大のカルチャーパーク。国内外で200以上も受賞歴のあるジャプカイ・ダンスが見どころ。ショー&食事が楽しめる「ジャプカイ・ナイト」も人気だ。ケアンズ市内から車で15分、スカイレールのカラボニカ駅に隣接。シャトルバスも運行している。
HP:www.tjapukai.com.au

左:夜遅くまで観光客でにぎわうナイトマーケット 右:ホホバオイルは人気のお土産

Shopping

ナイトマーケット&フードコート

NIGHTMARKET & FOODCOURT

70ものお店が並ぶマーケットは23時まで営業。伝統工芸品からナチュラルコスメ、オパールなどの宝石まで品数豊富。日本食や中華、カレーなども揃うフードコートも併設
営業時間:マーケット16:30〜23:00/フードコート10:30〜23:30

左:コアラと同じように人気なのがこのウォンバット。とてもキュート!
右:ワニの餌付けは迫力&スリル満点

Enjoy

ケアンズトロピカルズー&ナイトズー

Cairns Tropical Zoo

オーストラリアの固有種をメインに120種類計1200匹を飼育。目玉はコアラで、取材時は3匹の赤ちゃんコアラがキュートに迎えてくれた。ウォンバットとの触れ合いやクロコダイルの餌づけも人気。19時から開催される「ナイトズー」では活動的になる夜行性動物を中心に夜の動物園を探検できる。ディナー付き
HP:www.cairnstropicalzoo.jp Tel.(+61)7-4055-3669

Stay
ケアンズの滞在

ダブルツリー バイ ヒルトンホテル ケアンズ

DoubleTree by Hilton Hotel Cairns

ケアンズ市内の便利なエスプラネード沿いに位置する。客室はスタンダード、スーペリア、オーシャンビューの3つのカテゴリーがあり、全237室。ダブルベットルームの部屋が多いので、友人、ダイバー仲間と気軽に泊まれる。1階には、地中海風の料理、カクテル、豊富なワインリストを提供するレストラン「The Atrium」がある。屋外スイミングプール、バー、ツアーデスク、16時以降からオープンするリカーショップも併設
HP:doubletree.com Tel.(+61)7-4050-6070

ベストウエスタン プラスケアンズ セントラル アパートメント

BEST WESTERN PLUS Cairns Central Apartments

ケアンズ市内中心部に位置し、目の前には大きなショッピングセンターやケアンズ駅もあり利便性抜群の立地。全84室。一部のユニットにはキッチンも付いている。無料Wi-Fi、無料駐車場、野外プール、スパなどを完備。徒歩5分圏内に、リーフ・カジノ、ナイトマーケット、レストランも数多く、ビーチまで徒歩わずか10分。ツアーデスクでは、クルーズや釣り船の手配もしてくれる
HP:www.cairnscentralplaza.com.au Tel.(+61)7-4081-6000

Restaurant
ケアンズの食事

コック アンド ブル

Cock & Bull

地元の人にも人気のカジュアルなレストランバー。ステーキやグリルのコンボなどメニューが豊富に揃い、ボリュームたっぷりなのにリーズナブル。
営業:ランチ11:30~15:00、ディナー17:30~21:30
HP:www.cocknbull.net.au
Tel.(+61)7-4031-1160

焼き肉ダイニングバー リキ

Yakiniku Dining Bar Riki

焼き肉、鍋、焼き鳥、刺身、うどんやどんぶり、居酒屋メニューも豊富に揃う日本食レストラン。ランチの定食メニューも充実している。
営業:ランチ11:00~14:30、ディナー17:00~23:00
Tel.(+61)7-4041-6006

Travel Information
ケアンズの旅情報

国名 >>オーストラリア連邦
首都 >>キャンベラ
公用語 >>英語
ビザ >>入国時にビザが必要。日本人の場合、観光や商業目的での短期滞在なら、在日オーストラリア大使館のHPからETA(電子入国許可システム)での申請や代理店からETASの手続きが可能
時差 >>クイーンズランド州は日本+1時間
電圧 >>240-250V ハの字型、50Hz
通貨 >>オーストラリアドル。A$1=約92円(2015年7月現在)
スーツ >>5~8月は5㎜ワンピース、それ以外の時期は3㎜以上
気候 >>南半球にあるケアンズは常夏。11~3月まで日中の気温は30℃を超える日が多い(夜は23~25℃くらい)。冬にあたる4~10月でも日中は26~28℃程度になる。1年を通して日差しが強いので日焼け止めやサングラスは必需品
境保護税 >>GBRのクルーズでは、サンゴ礁の保護や港湾使用料などを含め1日当たりA$20を現地ダイビングサービスを通じて支払う

ケアンズに関するより詳しい情報はこちら >>クイーンズランド州政府観光局

AUTHOR

Takeuchi

DIVER ONLINE 編集部

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