現地の神ガイド直伝!バリ島・ムンジャンガンで遭遇できるレア種マクロ生物4選

インドネシア・バリ島の西部にあるムンジャンガンには、まだ名前がなかったりちょっとユニークな生態だったり、レア種なマクロ生物が生息しています。小さなマクロ生物を瞬く間に見つけ出す、現地ガイドがその生態や撮影のコツに加えてムンジャンガン周辺の海のことを教えてくれます。役立つ旅情報もあるのでぜひ参考にしてください。

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INDEX

ムンジャンガンエリアの場所と行きかたは?

海の魅力・シーズナリー

見られるレアなマクロ生物4種

その1●ピクチャードラゴネット
その2●通称「背ビレちゃん」
その3●通称「ピグミーパイプホース」
その4●通称「キリンちゃん」

人気のマクロポイント

マクロ派におすすめムンジャンガンの旅

インドネシア・ムンジャンガンエリアの場所と行きかたは?

成田空港や関西空港なら直行便で約7時間、バリ島・デンパサール空港へ到着。そのほかシンガポール空港へ航路で向かい、1回乗り換えでバリ島その後バリ島・デンパサール空港へ行くルートもあります。
デンパサール空港から車で移動すること約4時間、ムンジャンガンエリアはバリ島北西部にある国立公園内の島です。

海の魅力・シーズナリー

大物からマクロまで生き物の宝庫として人気の高いエリアで、一面に広がるサンゴも楽しめます。サリダイブ&コテージが運営するリゾートの目の前からはエントリーする泥地ポイントは、名もなきレアマクロ生物の宝庫です。
年間を通じて穏やかで水温が安定していますが、6月~11月が乾季。雨が少なく、気温も水温も下がる傾向にありますが、透明度は抜群に良くなります。
12月~5月までが雨季。都市部の南部が大雨でもムンジャンガン周辺は小雨の場合がほとんど。海は穏やかで風がない日が多く、水温も気温も高くなります。

 

ムンジャンガン周辺の海で見られるレアなマクロ生物4種

日本人オーナーの大西サトミさんがムンジャンガンで運営しているサリダイブ&コテージは、マクロダイブに精通したガイドが所属しています。チーフガイドのヘリ・ソビアンヌールさんに、必見のマクロ生物4種についてその生態や撮影のコツなどについて伺いました。

その1●ピクチャードラゴネット|サービス精神旺盛な出たがり屋

「うんちくん」の幼魚から変貌を遂げるシンデレラフィッシュ

サイケデリックな色合いの水玉模様と、おちょぼ口が特徴のピクチャードラゴネット。ぴょこぴょこと動き回る姿がとてもかわいらしい魚です。
生息地のひとつであるムンジャンガンエリアでは、成魚は季節を問わず1年中観察が可能で、潮の影響も多少あるものの、訪れるとほぼ毎回見ることができます。
幼魚の遭遇率が高まるのは、雨季の12月ごろから3月にかけて。生まれてからしばらくは黄色っぽい体色で、まだ模様もない状態。マニアの間では「うんち君」という愛称で親しまれています。5〜10㎜ほどの小さな体をくねらせて飛ぶように移動するその姿は、まさに目が付いたうんちのよう。
15㎜前後まで成長すると、スカイブルーとオレンジの色鮮やかな模様が現れ始め、成魚になると最大で8㎝ほどになります。まさに赤ちゃんのうんち君から美しい魚に成長するシンデレラのような生物なのです。ライフステージごとに見た目が変化するので、何度見ても飽きないとリピートするダイバーも多いのです。

まだ模様がないうんち君。被写体に寄って大きく写して表情のかわいさを切り撮るのもいいですが、少し引いて写すとうんち君の暮らす環境や個体の小ささを強調できます。いろんな角度で撮影してみよう

観察するコツと撮影するコツは?

同じネズッポ科に属するニシキテグリとは親戚関係。形はそっくりですが性格は正反対。ニシキテグリは日の入り後に活動的になるのでサンセットダイブで狙うことが多いのですが、「ピクチャードラゴネット」は昼間でも観察することができます。
「ムンジャンガンエリアではシークレットベイとカピングベイというポイントで見ることができます。砂泥地の水深2〜3mにある根に隠れていることが多いので、とにかく動かずに気配を消して近づくのがコツ。気配を消せば簡単に見つけることができます」とサリダイブ & コテージのヘリさんは教えてくれます。
成魚になると、あまり隠れず積極的に表に出てきてくれるのでとても観察しやすくなります。もし、隠れてしまっても周りの石やガンガゼなどの隠れ家を動かすのは逆効果。「ピクチャードラゴネット」が暮らす繊細な環境を壊さないよう注意しましょう。
サービス精神旺盛な魚なので、驚かせず待っていればまた姿を現してくれます。安心して隠れないようになったら、こちらの気配に気づかれないように撮影するのが上手に撮るコツ。
「背景がきれいなところにいるときは、F値を絞って写すのがオススメ。人気の『うんち君』以外にも、ホバリングしている姿やケンカシーンなどを撮影してほしいですね」。
シークレットベイ、カピングベイともにマクロ派ダイバーに大人気のポイント。運がいいと1人2〜3匹の「ピクチャードラゴネット」を独占できることもあり、じっくり写真を撮りたい人にもオススメのポイントです。

オス同士のケンカシーン。かみ合ってウロコが剥がれ落ち、小さな胸ビレが取れそうになっているのがわかります

 

その2●通称「背ビレちゃん」|長い背ビレがフォトジェニック

ダイバーに優しいハゼ、そのゆえんとは?

体長1.5〜3㎝ほどの小さな体から伸びる色鮮やかな背ビレが特徴的な魚。オオゴチョウイソハゼの仲間で通称「背ビレちゃん」と言います。
ハゼというと、ふだんは背ビレが閉じていて、求愛や威嚇のためにふわっと開くというイメージですが、背ビレちゃんは違います。きれいな背ビレは常時開きっぱなしの、ダイバーに優しいハゼなのです。

よく見られる場所は?

「ドロップオフなどの潮通しのいい場所でよく見られます。水深は5〜20mくらい。細くてしなっているものや、太くて立派なもの、枝毛など背ビレにも個性があります」。と現地ガイド、サリダイブ&コテージのヘリさんは教えてくれます。
長い背ビレを持つのはオスだけ。背ビレは一度傷ついてしまうと再生することはなく、短いままだという。天に向かって伸びる美しい背ビレは、強くたくましいオスの勲章なのだ。

ぴーんとのびる立派な背ビレが美しい姿。F 値を絞った王道の設定で撮影することで、背ビレの色や形が強調されて男前に仕上がりました

背ビレちゃんのシーズナリーと撮影すべき瞬間

背ビレちゃんは季節を問わず見ることができます。岩の上にちょこんとたたずんでいることが多いのですが、小さな口を大きく開けて吠えているかのように見える瞬間や、ライトを当てても堂々とポージングする姿が見られることも。見つけたら焦らずにいったん着底しましょう。そしてそのまま姿勢を低くして、魚と目線を揃えるとストレスを与えずにゆっくり観察することができます。
どんなふうに撮っても写真映え確実な背ビレちゃん。カメラの設定によって写真の印象が変わるので、設定を変えて何枚も撮影してみましょう。

背ビレちゃんのペア。F 値を絞って黒抜きにすることで、かわいらしさとカッコよさが同居する1 枚にまとまりました

 

その3●通称「ピグミーパイプホース」

背景のパープルと海藻のグリーンがきれいな1 枚。体色が白いのでピントが合わせやすい背景をみつけてライトは当てずに、弱めのストロボで撮影が◎

かくれんぼの達人を見つけられる?

流れといっしょにゆらゆら、岩からぶら下がったごみ……?もう一度しっかり見てみると、糸くずには目がふたつ。じつは「ピグミーパイプホース」という生き物。ヨウジウオ科に属する魚で、「意思を持った糸くず」なる異名を持つ擬態の達人。
見られる場所のひとつであるインドネシアの中でも、ムンジャンガンエリアは多くの個体が観察できる「ピグミーパイプホース」の楽園。水深2〜10m辺りにある岩や海藻にくっついてひっそりと暮らしているのです。

絡まったまま仲よく泳ぐピグミーパイプホースの若いペア。ラブラブなのか、しばらく離れずいっしょに移動していました

見つけるにはいくつかコツがある

「生態をひと言で表すと、擬態上手!これに尽きると思います。探している最中は岩からぶら下がっている白いものすべてがピグミーパイプホースに見えてしまうこともあります(笑)」とサリダイブ&コテージのヘリさん。
幼魚の頃はまっすぐな体でヨウジウオと間違われてしまうこともありますが、成魚になると体の背側に3本の赤い棘が生えてくるので判別しやすくなります。
カピングベイから西、ムンジャンガン島にかけてのポイントにある泥地のエリアはとくに個体数が多く、一度に5〜6個体探し当てることもあるといいます。
彼らを見つけるコツは、流れに逆らうなど、意志を持って行動する「細長いごみ」を探すこと。また、暗がりを好む習性があるため、ライトを当てると体をくねらせて泳ぎ回り、見失ってしまうこともあるそう。やむを得ずライトを使用する場合は、弱めの光で照らすなどの配慮をしましょう。

ムンジャンガンエリアではコンスタントに見られます。暗がりを好むので、やむを得ずライトをつけるときは暗めに点灯して、早めにシャッターを切るようにしましょう

ふだんは泥地に暮らしていますが、背景と少し距離がある場合はF値を開放ぎみにして背景をぼかすと、ピグミーパイプホースを際立たせることができる

 

その4●通称「キリンちゃん」

イチャイチャしている「キリンちゃん」のペア。他のエリアでの観察例がほぼなく、ムンジャンガンエリアでしか見られないという超レア生物

大人の目にやさしくない大きさ

バリ島西部以外からの観察報告がほとんどない不思議な魚が通称「キリンちゃん」。オコゼの一種ではないかと言われているが、種もわからなければ名前もありません。
体の模様がキリン柄ということで、「キリンちゃん」というニックネームが付けられました。体長は10〜25㎜で大人の目には優しくない大きさ。さらに、体の模様が迷彩柄のように周囲に溶け込み、正直どこにいるのか見当もつかないほど。
写真映えするとはお世辞にも言えませんが、一度目にするととりこになってしまうといいます。

巻き上げないフィンワークと中性浮力のスキルを持つダイバーしかエントリーできない泥ポイントに生息。ホヤやサンゴに乗っているときは背景がきれいに写るのでオススメ

言葉に言い表せないかわいさ

「観察していると不器用な動き方で癒やされる魚です。捕食しようとしているときなんて不器用すぎて自然に顔がほころんでしまいます。初めて見たときは、図鑑にも載っていないので新種を発見したんじゃないかとドキドキしました(実際に新発見でした笑)」とサリダイブ & コテージのヘリさんは話します。
体に対して大きい胸ビレを使って、カエルアンコウのように歩く姿は言葉では表現できないかわいさなのです。
ふだんはダイバーがあまり入らない泥地のリーフで暮らしています。観察するときは泥を巻き上げないよう注意しましょう。
図鑑にも載っていない、他所での発見例もないレア中のレア種。ムンジャンガンエリアを訪れたダイバーだけが見られる「キリンちゃん」。珍しいもの好きのダイバーはぜひリクエストしてみてほしい生き物。小さい体で一生懸命に生きる姿にきっと感動するはずです。

顔のまわりにある棘を開いたときがシャッターチャンス。なかなかお目にかかれないシーンです。ストレスを与えると、一目散に逃げてしまうので、驚かさないようじゅうぶん注意して観察しましょう

写真のイメージよりずっと小さいので、実物を見て感動する人がほとんど。目が慣れると見つけられるようになりますが、最初は無理せずガイドに見せてもらうといいでしょう

マクロ派ダイバーのためのムンジャンガン旅ガイド

ムンジャンガンの人気のポイントから、ダイバーだからおすすめしたい、旅の情報をご紹介します。

人気のマクロポイント①シークレットベイ

レア生物に出会えるビーチ

他の場所ではレアな生物ですが、そんな生物がたやすく観察できるマクロ派の聖地とも言えるポイント。
桟橋下で群れるイシモチ、バンガイカーディナルフィッシュ、ピクチャードラゴネットなど1ダイブだけでは観察しきれないほど、数多のマクロ生物が生息しています。
南からの潮が入るため他のポイントより水温は低いので、マクロダイブを最大限楽しむには5mmフルスーツに加え、インナーも着用して潜るとよいでしょう。

ダイビングスタイル

サリダイブから車で40分。海底は黒砂ですが水深が浅く、潮を選べば透明度が高いのが特徴。ビーチとボートの2か所で潜ることができます。

人気のマクロポイント②ダイブサリダイブハウスリーフ

泥地で宝探し!通称キリンちゃんが観察できる
湾内にあるハウスリーフ。あまりダイバーが潜らないポイントのため、珍しい生き物が多く、魚たちの格好の隠れ場となっています。
魚が活動を始める前の朝は透明度が高く、午後にかけて低くなるのが特徴。海底が砂泥質のため、巻き上げないフィンワークは必須です。
テンジクダイの群れやブラックスピアシュリンプゴビーなどの泥地に暮らすハゼが数多く見られ、通称キリンちゃんが観察できることでも有名。

ダイビングスタイル
お店の前にある穏やかなハウスリーフは、スキルを満たしていればセルフダイブもOK 。心ゆくまでじっくり観察できます。

マクロ派におすすめのムンジャンガンの旅とは

目の前はマクロヘブンアットホームなリゾート

リゾートからダイビングセンターまではたった50 歩の距離で、全6室とアットホーム。カメラテーブルも完備されているので、ダイバーには使い勝手抜群です。
リゾートの目の前はマクロの宝庫の海が広がり、旅を存分に楽しめるはず。

リゾートの目の前に広がるマクロの宝庫

アットホームで清潔なリゾート

おもてなしの心を持ったインドネシア人ガイド

日本人オーナーの大西サトミさんが教育したインドネシア人スタッフは、日本人以上におもてなしの心でゲストを迎えてくれます。
もちろんガイディングもすばらしいので、見たい生き物があればぜひリクエストしましょう。

小さなマクロ生物でも発見する、すばらしいガイドスタッフ

 

教えてくれた人●サリダイブ & コテージのヘリ・ソピアンヌールさん

マクロダイブに精通したガイドが揃う、サリダイブ&コテージを率いるチーフガイド。インドネシア各地でガイド経験をもつ実力派。「ガイド中、カメラは持たない、一番いいシーンはゲストに撮ってもらう」がモットー。

AUTHOR

Amano

DIVER ONLINE 編集部

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