かつて銀塩ライトが主流だった時代、水中ライトといえばハロゲン電球を使用した”黄色いライト”が定番だった。時代は流れ、現在ではLED電球へ転換。ルーメン(正しくは光束を指す単位だが、LED球が主流になってから明るさを示す単位として使用されている)数の向上、やがて演色性も示されるようになり、ライト業界は群雄割拠の時代へ突入している。
そんな中、あのブランドがフルモデルチェンジするという情報が公開された。当記事では公開された映像をもとに、新製品「SYSTEM01:re(システムゼロワンアールイー)」「SYSTEM02:re(システムゼロツーアールイー)」のポイントについてまとめてみる。
RG Blue(アールジーブルー)
ダイバーのための理想的な水中ライトを追求するブランドとして、2013年に誕生。以降、スタイリッシュなビジュアル、太陽光に近い質の高い光とダイビングギアとしてのタフさが水中撮影を楽しむダイバーに愛され続けている。
フルモデルチェンジ品発売に際し、RG BlueのYouTubeチャンネルでは、株式会社エーオーアイ・ジャパンの代表・久野義憲さんと、フイルムメーカー・武藤洋さんによる映像が公開されている。
映像はRG Blueの公式サイトからも見られます
再設計された「SYSTEM01:re」「SYSTEM02:re」とは
RG Blueらしさを残しつつ、洗礼され長く愛用できるダイビングギアとして生まれ変わった「:re(アールイー)」。従来モデルと基本的な性能に変わりはないものの、8年間にわたるSYSTEMシリーズ水中ライトの販売・修理・オーバーホールサービス等で蓄積された課題が改善された、再設計モデルとなった。
INDEX
1.修理・オーバーホールの経験から見えてきた、弱点の克服
・充電端子の改良で腐食リスクを低減
・モジュール間の浸水リスク低減
・外観デザインの見直し、ユーザビリティの向上
・アクセサリーの抜本的な改良
2.環境への配慮
・新充電方式の採用
・ケース、同梱品の見直し
・従来モデルとの互換性
・オーバーホール
1.修理・オーバーホールの経験から見えてきた、弱点の克服
変更点は大きく2つの分野に分けられる。まずは、修理・オーバーホールの経験から見えてきた弱点の克服。
RG Blueは2010年に水中ライトとして初となるオーバーホールに対応した。ユーザーが使ったものを受け取り、中を開けてみて発見できる問題点もあったそうだ。
充電端子の改良で腐食リスクを低減
現行モデルは、ライト本体のフタを開けずに充電できるという便利な面があった。しかし、ライトの端子側に水が溜まると抜けづらく、その状態で充電してしまうことにより”電蝕”という化学反応が起こり端子が腐食してしまう。浸水リスクが避けられないのも現実であったのだ。
そこで、端子は従来のプラグタイプからフラットタイプへ変更、さらに充電システムは近年パソコンの充電などで使用することも多い、USB Type-Cのパワーデリバリー(USB PD)を採用した。
《ライト本体》-《充電システム》-USB Type-C-《ACアダプター(※)》と繋ぐ。これまでより少し部品は増えたものの、浸水リスクは低減しこれまで通りの便利さが残る充電方法となった。
※別売。USB PD対応のACアダプターで最低30W(15V-2A)でありケーブルを使用するもの
モジュール間の浸水リスク低減
これまでOリングのみで内部への浸水を防止していた部分に、防滴パッキンを追加。これまでも、万一内部へ水が入ってしまった場合のリカバリー方法があったものの、救出が遅れる(乾燥させずに放置する)と、中に入った塩水が結晶化してバッテリモジュールの接点ピンと固着してしまいリカバリーできず、故障。
これらを改善するために、塩水が入りにくい仕様、そしてバッテリー側の端子が大きく強くなった。
二重防水構造
接点ピンの大経化
接点ピンの構造が強くなったことで、リカバリー機能はより飛躍的になる。
外観デザインの見直し
グリップ性と制度間のある外観の両立
「SYSTEM01」「SYSTEM02」の顔ともいえる外観デザインは、ユーザーからも定評がある。これまで好評だったデザインを損なうことはせず、どこかで特徴づけたいという思いから「:re」では一部にマシニングローレット加工(写真で見ると柄の先にある小さな凸凹のあるライン)が施された。
ユーザビリティの向上
ラバープロテクターを標準装備
「:re」ではラバープロテクターが標準装備となり、傷が付きやすかったライト正面の外周部分が傷つきにくい仕様になった。
さらに、インジゲーターの発行面積を拡大し、後方からの視認性を向上。チタン製UP/DOWNボタンの強度と操作性向上させた。
アクセサリーの抜本的な改良
従来モデルのねじ込み式アクセサリーは、水中での操作性が良いとは言えなかった。水中で落としてしまったり、ねじ込みがうまくハマらずに撮りたかった決定的瞬間を逃してしまったり。その問題点を解決すべく、「:re」はどのように変わったのか。
金属から樹脂へ、ワンタッチ切り替え可能なフリップタイプの採用
まず、軽量化を図るために金属製から樹脂製へ変更。さらに、従来のねじ式からフリップタイプ(ワンタッチ)仕様にに変更され、簡単かつ迅速に切り替えることが可能になった。なお、「SYSTEM01:re」「SYSTEM02:re」は従来のねじ込み式アクセサリーにも対応している。
2.環境への配慮
昨今、エコ・サスティナブル・ごみ削減への取り組みは避けては通れない。映像の中で久野さんはこう話す。
「メーカーとしては今までの流れからすると自虐的かもしれないんですけど(中略)無駄を省く、ごみを減らすというのは当然のことで。そういった観点からすると作りても売れるからと作るだけじゃなくて売った後のことも考えなきゃいけないし、本体を使い続けていただくっていうことは前提なんですけど。そもそも無駄なものを入れてごみにしてどうするのっていう」
USB PDを採用した新充電式
専用の充電端子ではなく、皆が日ごろ使っているものを使用(標準化)することで、ユーザー自身も使いやすく、そして廃棄物の削減を目指す。
ケース/同梱品の見直し
セット販売の見直し
これまではハンドグリップ等のアクセサリーも付属していたが、今回からは別売に。無駄を省き、各ユーザーは必要に応じて購入する。
専用ケースの見直し
ライトにフィットする形状と仕切りを一体成型することで、緩衝材の仕様を削減。ケースなしの販売も進めているそうだ。