マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
クリーニング時間をウォッチせよ!
マリン:ダイビングをしていると、クリーニングという言葉をよく耳にするんだけど、
みんなウェットスーツやドライスーツをどこか専門の洗濯屋に出してるの?
ジョー:ぷっ! 全然違うよ〜。魚たちがとる行動のことだよ。
蝶々夫人:魚が一か所にじっと留まっていたり、大きく口を開いたまま動かないシーン、見たことはない?
マ:ええっと〜〜
ジ:マリンの場合、まだ「この魚がいた!」というくらいしか魚のこと見てないだろ。
マ:なによ、意地悪を言って。周りの人に迷惑をかけないよう、
中性浮力や自分のことで精一杯なんだから仕方ないでしょ。
蝶:そうよね。でも、せっかくだからフィッシュウォッチングも楽しんでね。
アカシマシラヒゲエビやソリハシコモンエビなどの小さなエビたちが、
魚の口の中に残っている食べカスや身体についた寄生虫などを餌にしているの。
魚にとっては口や身体の掃除をしてもらっているようなものだから、
そういった行動を「クリーニング」と呼ぶのよ。
クリーニングをされてる魚たちは、ちょっと無防備で、なんだか気持ち良さそうに見えるの。
魚にとっては、気持ちいいだけじゃなく、寄生虫を取り除いてもらえるから
病気の予防にもなって、理に叶った行動らしいわ。
ジ:他にもホンソメワケベラっていう魚がクリーニング上手で有名だぜ。
オスはなわばりを持っていて、そこで自ら踊ってお客さんを呼び込むんだ。
ときには順番待ちになるくらい繁盛してるよ。
マ:行列ができるクリーニング屋ってこと!?
蝶:マンタのような大きな魚がクリーニングされていることもあって、
そんなときは大物をじっくり観察できる絶好のチャンスなのよ。
石垣島の「川平マンタスクランブル」はとくに有名ね。
クリーニングする魚が集まる大きな根があって、マンタが通ってくるの。
マ:そんな大物のお客さん、見てみたーい!
ジ:お客さんが来ないときなんかは、ダイバーのフィンをつっついてきたり、
結構おもしろい行動を見せてくれるよ。
それに、この間なんか、アカシマシラヒゲエビがヒゲを振ってお客の呼び込みをしてたから、
俺自分の手を出してみたんだ。そしたら、ちょこんと手の平に飛び乗ってきて、くすぐったかった〜。
マ:それって、よっぽどジョーの手が汚れてたってことじゃない?
ジ:そ、そんなことないぜ。
蝶:フフフ。まぁ、いずれにしても、魚たちの行動をよく知っていれば、
じっくり観察するチャンスもできるってことね。
ジ:そうそう、そういうことが言いたかったんだよ!