マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
ダイビングではKYもSYも命取り
マリン:スゴかったわ〜、ブリの群れ!
ジョー:感動的だったよな〜。
でもブリが登場する前に妙に暖かく感じたけど、あれは何だったんだ?
蝶々夫人:おそらく黒潮が入ってきたのよ。
ジ:へぇ〜そうか。ブリは黒潮が連れてきたお客さんってわけだ。
マ:でも、流れが変だったわ。吐いた泡が上って行くのを見ていたら、表層辺りで、それまでとは違う方向へ泡が流れて行ったのよ。
蝶:釣り人がよく言うところの「二枚潮」ね。
マ:にまいじお!?
蝶:表層と中層や下層の流れが、逆だったり異なっていたりする潮流のことよ。釣りの仕掛けが落ちていかなかったり、思わぬほうへ流れてしまうことが多いから、釣り人にはあまり歓迎されないみたいだけどね。
ジ:予期せぬお客さんが期待できるから、ダイバーにとっては、うれしい潮だけどね。
マ:あそこ見て! 海の色が変わっているわ。
蝶:あの黒い色は、まさに黒潮ね。
ジ:んじゃ、あそこに潜れば、大物がいっぱいいるかも!?
マ:鼻息荒いわね。潜り終わって、水面休息時間がまだ10分しか経ってないのよ。
蝶:あんなふうに、海面で明らかに色が違う所や、泡立っている所を「潮目」と言うんだけど、複雑な流れや渦が発生しているかもしれないから、ダイビングには向いていないわ。
ジ:う〜、残念。
マ:でも回遊魚や大物に会うなら、それなりに流れている所がいいのね?
蝶:そうね。たいてい外洋や水路などの潮の当たりのいい所は、大物遭遇率もいいわ。
ジ:そんな場所を「潮通しのいいポイント」って言うんだよな。
マ:でも、あんまり潮通しが良すぎても、ちょっと怖いわぁ。
蝶:そういうときは、ガイドさんが潮を読んで、ダイバーのスキルや経験に応じた判断をしているものよ。潮通しがいいポイントでも、「潮止まり」の時間があるの。満潮と干潮の境目、つまり水の動きがもっとも緩慢な時間帯を狙って潜ることもあるわね。
ジ:その海の地形とも複雑に関係しているから、正確な潮読みはガイドさんに任せたほうがいいけど、自分でも大潮や小潮といった月齢と、満潮と干潮の時間がわかる潮時表をチェックする習慣は身につけたいよな。
マ:KYは命取り。SYも危ないってわけね。
ジ:何言ってんだ??
蝶:空気が読めないKYだと、エア切れになるってことかしら? SYは、さしずめ「潮が読めない」ってことね。ふふふ。
マ:やっぱりジョーはKYね。