マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
ユラユラ、揺れ〜る
水と光のマジックショー
マリン:どこに目の焦点を合わせていいのかわからなくて、後少しで酔うとこだったー。あれが、噂に聞いていたサーモクライン?
蝶々夫人:そう、垂直に水温の差が大きいところに見られるサーモクライン。まるで陽炎よね。
ジョー:お風呂の追い炊きでも見られるよな。あとから沸かしたお湯が冷たい水に混ざってモヤモヤしているところ。
蝶:水って温度によって比重が異なるからね。冷たいほうが下へ、暖かいほうが上へ。水温によって屈折率が違うから、ユラユラして見えて、不思議な感じになるのよね。
マ:海の中で見たのは初めて!
蝶:冷たい流れが入りこんでいる所や岩陰などで見られるわ。でも、ここ宮古島の「通り池」は、サーモクラインもハロクラインも見られるから、ユラユラ度がより一層高いのよ。
マ:ハロ……? それは、サーモクラインとはどう違うの?
蝶:サーモクラインは温度の違う水の層によってできるけど、ハロクラインは塩分濃度が異なる層にできるのよ。
ジ:「通り池」は侵食されやすい石灰岩によってできた特異な地形だろ? 島によって閉じ込められている“池”には、太陽光で温められた水が上層にたまっていて、海とつながっている海底洞窟付近と比べると、温度も塩分濃度もずいぶん差があるってわけだ。
蝶:まさに、自然の神秘なのよね〜。
マ:ハロクラインは他ではどんなところで見られるのかな。
蝶:そうねぇ〜。私はメキシコのユカタン半島でのセノーテダイビングで経験したことがあるわよ。主には淡水のケーブダイビングなんだけど、中には部分的に海水が入っているところもあるの。
ジ:それと、流氷ダイビングも有名だよな。日本だったら、北海道の知床半島があるオホーツク海でも楽しめるぜ。
マ:ちなみに、聞いたことのあるケモクラインは?
蝶:それは酸素に富む水と硫化水素に富む水との境界面のことで、あまりダイビングポイントでは見かけないものね。
ジ:硫化水素って言えば、ドブ川とかで見られる腐卵臭のする、アレだろ。
蝶:夏場、東京湾などで発生する青潮ってあるでしょ? あれは、硫化水素が低層から上昇してきているから、そこで見られるかもしれないけど。
マ:そそそれは、遠慮させていただきます!