前号(第31話)でミクロネシア最大と言われる、
コスラエ神秘のマングローブ・チャネルを紹介しました。
マングローブはコスラエにとって大切な観光資源であると同時に、
コスラエの希少な生態系や人々の暮らしにとっても不可欠な存在です。
コスラエの降雨量は平野部で年間6,000mm、
山岳部では年間10,000mmと、世界でも有数の多雨地域です。
それにもかかわらず、コスラエの海の透明度が高く、
200種類以上もの珊瑚が元気な状態で生きている要因は、
島の周りを囲い、まるで島を包み込むかのように生息している
マングローブが山岳部から流れて来る土砂を食い止め、
自然の浄化フィルターとして機能していることが挙げられます。
マングローブが土砂を堰き止められなければ、
山岳部からの土砂がそのまま海に流れ込み、
透明度は格段に下がり、珊瑚は成長することが出来ません。
さらに、マングローブが堆積する土砂には、
陸の養分が豊富に蓄えられており、
また、マングローブの入り組んだ根は、
稚魚にとって大切な隠れ家になっています。
コスラエにはユネスコの生物圏保護区に指定されているエリアがあります。
そこはマングローブと珊瑚が共存している珍しいエリアです。
もちろんカヌー・ツアーで水上より眺める景色も圧巻ですが、
ダイビングで水中から眺める景色はとても幻想的です。
海ではなく、マングローブ・チャネルにエントリー(入水)すると、
水中にはハード・コーラルと稚魚が生息しています。
これだけでも不思議な感覚を味わうことが出来ますが、
水面を見上げるとそこにマングローブ樹林が広がっており、
とても不思議で、神秘的な世界を体験することができます。
ここは「ドワーフ・フォレスト」と呼ばれるポイントで、
ローカル(現地)ではドワーフ(小人)が住む森と言い伝えられています。
ちなみに、マングローブは木の名前ではなく総称で、
コスラエには10種類のマングローブに分類される木があります。
このマングローブ、コスラエの人々の生活にも必要不可欠です。
喘息の際は、マングローブの葉を磨り潰し、水で飲みます。
まさに「良薬は口に苦し」です。
新芽のつぼみに含まれる水分は目薬として使われ、
根の新しい部分は酔い止めにも使われます。
葉に火をつけ焙ると煙が充満し、蚊取り線香になります。
コスラエにとってマングローブは、
なくてはならない大切な自然の恵みであり、
マングローブによって守られてきた生命の輝きがあります。
是非、コスラエにいらしたら、
このマングローブの恵みを感じて、体験してください。
次号は水中写真家・鍵井靖章氏の撮影ツアーの様子をリポートします。
それではみなさん、Kuht fah ohsun !!(カット・ファ・オーシュン/またね!)
☆ 月刊ダイバー2012年12月号に
コスラエ特集ページが掲載されています!
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Kosrae.fsm@gmail.com(日本語でどうぞ!)