前号(第25話)でコスラエの食生活がローカル・フード中心から、
缶詰や冷凍食品などの輸入食材に変わって来ていると紹介しました。
それによって引き起こされているもう一つの社会問題がゴミ問題です。
コスラエはしばしば「ミクロネシアで最も美しい島」と言われます。
確かに開発されていない手付かずの自然が残り、
島の周りは美しいサンゴ礁に囲まれ、大変美しい島です。
しかし、実際に生活していると目に付くのが、無造作に捨てられたゴミです。
住居の周りや道路沿いには生活廃棄物が散らかっており、
さらに島の至る所に不法のダンプサイト(ゴミ捨て場)があります。
ゴミが多い理由の一つとして、ゴミに対する意識・知識が関係しています。
我々、日本人は、例えば「ゴミ」と「生ごみ」の違いが分かると思います。
それは学校教育や親の教えから学び、自然と覚えていく知識です。
一方、コスラエの人々は元来、自給自足の生活をしていました。
自然に生えたタロイモやブレッドフルーツ(パンの木の実)、
バナナやタンジェリン(コスラエみかん)、ココナッツを食し、
それらの不必要な部分は放って置いても自然と土に還るものばかりでした。
だから、食べ物の皮を道端に捨ててもいつの間にかに自然に還っていました。
しかし、そこに突如として、缶詰やビニール、ビンやペットボトルなど、
今まで島にはなかった輸入物資が「黒船」として現れたのです。
前号(第25話)でコスラエには学校教育で「食生活教育がない」と指摘しました。
環境に関する教育もしかりです。学校教育のカリキュラムにはありません。
そのため、我々、日本人が「ゴミ」と分別しているモノを、
コスラエの人々は平気でどこにでも捨てることが出来てしまうのです。
コスラエでは、コスラエ州政府のオフィシャル行事として、
「Clean-up Day」(クリーンアップ・デイ)が定期的にあります。
しかし、現実には「草刈」が中心で、
日本のような「ゴミ拾い」はあまり展開されていません。
コスラエ太郎がこのクリーンアップ・デイに参加し、
各家庭から出されたゴミを回収した際に気付いたことは、
家庭から出されているゴミは、植物の枝や雑草ばかりでした。
「グリーン・ウエスト(植物廃棄物)」と「一般的なゴミ」が区別されておらず、
コスラエアンのゴミに関する知識不足が如実に表れていると感じました。
では、コスラエはゴミ問題に関して、完全に遅れた島なのでしょうか?
それは違います。実はコスラエはミクロネシア連邦の中で、
最もゴミ問題に関して進んだ取り組みをしている島(州)です。
その代表例が埋め立て式ダンプサイト(ゴミ集積場)と
リサイクル・システムの導入です。
コスラエはミクロネシア連邦4州の中で先駆けて、
埋め立て式(福岡式)のゴミ集積場を建設し、
ビンや缶のリサイクル・システムを取り入れました。
空きビンや空き缶は1本につき5セントも現金が戻って来ます。
これらのシステムは今後、ミクロネシア連邦の他州でも導入される予定になっています。
何事も一歩ずつ、一つずつが大切だと思います。
この福岡式のゴミ集積場やリサイクル・システムも
細かい問題を突けば課題のあるシステムのようですが、
何はともあれ始めたことが重要です。
ゴミに関する問題も今後、日本やアメリカの国際支援団体が
学校を回って環境教育を行うという話も聞いています。
出来ることをコツコツと行うことは重要です。
一歩ずつの積み重ねがいつかは実を結ぶと信じています。
最後に余談ですが、コスラエ太郎もゴミ拾いを日課にしています。
「毎日」と言えばウソになりますが、
朝から観光局に出勤する日はわずか10分でも、
道端に捨てられたゴミを拾う活動を続けるようにしています。
その姿を見たコスラエの人々が、
少しでもゴミに対する問題を感じ、意識を持ってくれるよう、
そして、いつの日かコスラエが本当に「美しい島」と言われるよう、
願いを込めて、ゴミ拾いをしています。
2話連続の社会問題編もこれで終了です。
前号と今号は少々重い内容になってしまったかもしれませんが、
コスラエの現実を伝えることのできる立場として、是非お伝えしたいと思いました。
次号はコスラエの美しい海に生息する魚たちを紹介します!
それではみなさん、Kuht fah ohsun !!(またね!)
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