ヤドカリ

デザイン性がスゴイ!知られざるヤドカリの世界

老若男女だれもがその存在を知るヤドカリ。いっぽうで、その種類を1つでも言える人はごくわずかでしょう。そんなヤドカリの知られざる魅力とは? 伊豆大島のダイビングガイド有馬啓人さんに教えてもらいました。

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ゲストの一言から始まったヤドカリ観察

知名度はあるけれど、じつはよく知らない……。そんな微妙な存在のヤドカリにスポットライトを当てた第一人者が、〈伊豆大島ダイビングセンター〉の有馬啓人さんです。

ヤドカリ

〈伊豆大島ダイビングセンター〉代表の有馬啓人さん。広く深くを信条に生物の勉強とダイビングに勤しんでいます。学者級の知識とノウハウを持つヤドカリはもちろん、魚・エビ・カニ・貝類等、生き物全般に詳しい頼れるガイドさんです

ヤドカリに興味を持ったきっかけは、ゲストの一言でした。

「『あのヤドカリはなんという名前ですか?』と聞かれて、答えられなかったんです。珍しい種類ならともかく、ごく普通に生息するクロシマホンヤドカリでした。日々目にしている生き物の名前を即答できないのは、ガイドとして怠慢だと思い、そこからヤドカリ観察の日々が始まりました」

それが2003年こと。当時は、ヤドカリにまつわる資料も乏しく、自力で探し、調べるのは困難を極めました。そのうち、専門家の研究者や全国各地のガイドと連携を取るようになり、探求を続けました。最初はプロ意識から始めたものの、いつしかヤドカリの魅力にのめり込むようになったそうです。

クレナイゼブラヤドカリ

クレナイゼブラヤドカリ。はさみ脚と歩脚の赤と白の縦縞模様がおしゃれ

日本で見られるヤドカリは約200種

「注意深く海の中を見てみると、ヤドカリっておもしろいくらいどんどん見つかるんです。それにヤドカリは、被写体としても魅力的。ヤドカリの目を支える『眼柄』の部分は、種類によってボーダー、ビビッドカラー、水玉など色彩豊かで、デザインもおもしろいんです。コレクション感覚で探すのが楽しくなりました」

ムラサキゼブラヤドカリ

明るい黄色と濃い紫の組み合わせがかわいいムラサキゼブラヤドカリ

ホームである伊豆大島は、黒潮の影響を強く受けるため、温帯と熱帯のヤドカリが生息しています。日本で見られる約200種類のヤドカリのうち、100種類超が見られるという絶好のフィールドであることも功を奏し、ヤドカリ観察を続けること約10年超。有馬さんは新種発見にもたびたび貢献し、2014年には1つの集大成としてヤドカリのガイドブックを上梓しました。

「ヤドカリの魅力は、その未知数の高さです。世間によく知られた生き物なのにその種類やおもしろい生態がほとんど知られていませんし、未知のヤドカリがまだまだたくさんいます。じつは先日も新種のヤドカリを発見したばかり。誰でも新種の発見者となりうるロマンがあるんです」

多種多様なヤドカリを見分けるには?

ヤドカリは一部の種類を除いて、体色が安定している生き物です。そのため、色を元に調べていけば、ある程度の種類は同定することができます。

まず見るべきは、はさみ脚の様子。左のはさみ脚が大きい、または、左右ともに同じならヤドカリ科。右のはさみ脚が大きいなら、ホンヤドカリ科の可能性が高いです。

さらに細かい種類を見分けるには、はさみ脚と歩脚の模様、眼柄、最後に触角が判別基準になります。

アカヒゲヒラホンヤドカリ

左右のはさみ脚の大きさがほぼ同じ。ヤドカリ科のアオヒゲヒラホンヤドカリ。第1触角が黄色と青の縞模様なのも特徴

 

フルセゼブラヤドカリ

右のはさみが大きいホンヤドカリ科のフルセゼブラヤドカリ。ビビッドなオレンジ色が美しくダイバーにも人気です

 

ベニワモンヤドカリ

はさみ脚と歩脚の鮮やかな赤と白の縦縞模様が特徴のベニワモンヤドカリ(ヤドカリ科)

カザリサンゴヤドカリ

脚の模様が特徴的なカザリサンゴヤドカリ(ヤドカリ科)

トゲツノヤドカリ

第2触覚が羽状になっているのが特徴のトゲツノヤドカリ(ヤドカリ科)。さらに、左はさみ脚の掌部にヤドカリコテイソギンチャクをつけているのも特徴です

 

ニシキカンザシヤドカリ

カンザシゴカイ類が開けたサンゴの穴に住むニシキカンザシヤドカリ(ホンヤドカリ科)も第2触角に羽状の毛が生えています。摂食時にこの毛を利用してプランクトン等を捕まえます

おもしろ生態行動「ガーディング」

有名なヤドカリの宿替えなど、おもしろい生態は数あれど、有馬さんがオススメするのが「ガーディング」です。

ガーディングとは、受精卵を持ったメスを、オスがハッチアウト後に自分が交尾できるように、メスをはさみ脚でつかんで持ち続ける行為のことです。

歩くときも食事のときも常に持ち歩く様子は、どこか滑稽です。貝殻、触覚など、どの部分を持つのかは種類によって異なります。春先から初夏にかけてがよく見られます。

ウチウラエビスヤドカリ

写真左のオスが、写真右のメスの触角をつかんでガーディングしています。ウチウラエビスヤドカリ

 

カシワジマヒメホンヤドカリ

写真左のオスが、メスの宿貝をつかんで移動しています。カシワジマヒメホンヤドカリ

ヤドカリ撮影のシャッターチャンスは一瞬

壁の亀裂や石の下などでヤドカリを発見したら、もとの場所に戻してあげることを前提に、ヤドカリを撮影しやすい場所へ移動します。

そして貝の口をしっかりと自分のほうに向けて、一度引っ込んでしまったヤドカリが出てくるのを待ちます。待つ行為こそ、ヤドカリ撮影の神髄です。

姿勢は、ヤドカリを正面から捉えられるように、しっかりと身体を固定してできるだけ低くキープ。ピントはあらかじめ貝の上の縁に合わせておくといいでしょう。

はじめに、殻口から少しはさみ脚が見えてきます

 

眼が見えるところまで出てきます。驚かすとまた奥まで引っ込んでしまうので、ここでさらに待つことが重要ポイントです

 

はさみ脚、歩脚が伸びきった瞬間がシャッターチャンス!

 

ヤドカリを置くときは貝の向きにも注意。こちらの写真のように貝を伏せた状態だと、脚がはっきりと見えないので、貝の口をしっかりと自分に向けて撮影するのがコツです

日本初のヤドカリ専門書

有馬さんの著書であり、日本初のヤドカリ専門書です。全国各地のヤドカリ、 オカヤドカリを約200種を紹介しています。有馬さんをはじめ、全国のガイドが撮影した貴重な生態写真が盛りだくさん。ひと目で特徴がわかる図解付きです。

「ヤドカリ ネイチャーウォッチング ガイドブック」
著=有馬啓人 誠文堂新光社刊 定価2,800円(税別)

伊豆大島ダイビングセンター
〒100-0101 東京都大島町元町字北の山41-4
TEL&FAX 04992-7-5200
メール info@izuohshima-diving.com

お得なキャンペーン実施中
10月から伊豆大島ダイビングセンターでは、「勝手に軽減税率キャンペーン」を実施中。1日に3ダイブ以上した場合、通常消費税10%のところが8%に!高速船での往復だと、1日2本が限界の伊豆大島ですがナイトや早朝を含めた3ダイブでも適応可能です(ただし、インターバルを削った無理な日中3ダイブの要望はNG)。ショップから車で3分のところにある直営の民宿を利用すれば、さらにフレキシブルに楽しめます。

有馬さんは貝に関してもスゴイんです!

余談になってしまうのですが……、どうしてもお伝えしたい情報があります。

「世界の海の片隅に。」と題してマクロ生物にフィーチャーしたDIVER11月号。ヤドカリももちろんご紹介しているのですが、ヤドカリの前には「貝」をテーマにした記事を掲載しています。貝特集のトップページで紹介しているのは、希少種のオキナエビスガイです。有馬さんは、そんな激レアなオキナエビスガイの生態写真も撮影していることに加えて、なんとご自身の書籍「ヤドカリ」の215ページでは、オキナエビスガイを背負ったケスジヤドカリまで紹介しているではありませんか!!

オキナエビスガイ

DIVER11月号44ページでイラストで紹介したオキナエビスガイと、「ヤドカリ」の215ページです

今年8月には世紀の大発見も!

さらにさらに、今年8月5日には有馬さんが伊豆大島でスゴイ貝を発見していました。ダイビングでの発見例はおそらく世界初となるシワクマサカガイです。しかも、コゲクマカサガイタイプだそうです(と書きながらも、どのくらいの貴重度なのかが実感としてイマイチわからないのですが……汗)。

シワクマサカガイ

写真左は、口側から撮影したもの。写真右は、水管が触角の真ん中から伸びているところ

発見時の興奮は、伊豆大島ダイビングセンターのブログで!
https://izuohshima-diving.com/divelog/2019/08/06/

「日本の貝」の著者高重博さんと有馬さんは親交も深く、この種の同定をされたのも高重さんだそうです。

世界の海の片隅には、じつに驚くべき発見が満ちているんですね!ということを改めて感じさせてくれるエピソードでした。

※生物写真はいずれも有馬さん撮影によるものです。

AUTHOR

Kishimoto

DIVER ONLINE 編集部

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