2019年6月3日に最新写真集「PLANET of WATERを発売した高砂淳二さんの写真展がニコンプラザ新宿THE GALLERYで開催されました。
会場は、今回の写真集のテーマの一部”WATER”に沿って水のせせらぎ音が静かに流れており、森林や川の近くにいるような気分とともに高砂さんの世界観に引き込まれていきます。
近年注目の“ウユニ塩湖”での撮影方法とは?
写真集の表紙を飾った写真は、南米・ボリビア西部にあるウユニ塩湖で撮影されたそう。ウユニ塩湖は、空を湖面に映し出す絶景が『天空の鏡』と呼ばれており、近年注目を浴びている神秘的なスポットです。
中央に写るフラミンゴは警戒心が強く、敏感な生き物なので、辺り一面障害物のないウユニ塩湖では、近寄るのが相当困難だとか。高砂さんはクラウチングスタートのようにしゃがみ込み、少しずつ距離を縮めて近寄っていったそうです。
ウユニ塩湖では夕方から夜にかけての時間帯がもっとも美しく撮影できる瞬間。昼間は太陽の光を遮るものがないので、白飛びしやすいのだそう。
スライドショーでは、タイムラプス機能を使った3,000枚以上の写真を組み合わせた動画も公開されました。満天の星が湖面に反射している光景は、息をのむほどの美しさでした。
ホエールスイムにはコツがある
場所は移り、トンガでの撮影話へ。トンガと言えばホエールスイムで有名ですが、現在クジラといっしょに泳げるのは、ニュージーランドの専門家の教えが活かされているからだそう。
高砂さんも撮影ではその教えから、後ろから静かに近づき、クジラが慣れるまでは等間隔に距離を置き、無理ないアプローチを継続することでクジラとの信頼関係を築いているのだそう。
高砂さんも衝撃を受けたプラスチックの環境問題
続いて、話題はクジラの話から、環境問題へ。
一頭のクジラから大量のプラスチックが出てきたことに、高砂さんが衝撃を受けたといいます。そのクジラは解剖の結果、栄養失調と判断されましたが、なんとも悲しい現実。
そのほかに海洋で生きるクジラ以外にも、アホウドリのヒナの胃から100円ライターなどのプラスチックが大量に発見された映像もありました。クジラも海鳥も、人工物をエサと間違えてしまうそうです。
高砂さんはこう警鐘を鳴らします。
近年、海洋生物が被害にあうプラスチック問題は世界的にも大きな課題となっていますが、その現状を目の当たりにしたことはあるでしょうか。
日本は1人当たりのプラスチックの排気量がアメリカに次いで2番目。拡大し続けているプラスチックゴミはリサイクルや焼却などの処理が追いつがず、ポイ捨てされた一部とともに川や海岸から海に流れ込んでしまいます。
地球の3分の2は水でできていて、常に循環し、汚したら必ず返ってくる。人間の影響で簡単に壊れてしまう生態系を守るには、人間が理解するところから始めなくてはならないと高砂さんは言います。
写真集のロケ地のひとつでもある、コスタリカでは環境に配慮した国づくりが進んでおり、飲み物はペットボトルの代わりに紙パックで販売されているそうです。生き物が暮らしやすい環境を整えてくれる人間は自らに害を与えないと分かったのか、手の届く距離まで近づいてくるナマケモノの微笑ましい映像もありました。
大阪会場 写真展は2019年7月18日から開催
ニコンプラザ新宿での写真展を終え、会場は大阪に移ります。トークショーは期間中の毎週土曜に開催されますので、ここでは紹介できなかった写真集の誕生秘話や、高砂さんが使用した撮影機材Nikon「Z7」についてはトークショーでお聞きください。
大阪にお住いのかたやお近くのかた、ぜひ写真展に足を運んでみてはいかがでしょうか
大阪展
会期:2019年7月18〜31日
会場:ニコン THE GALLERY大阪
トークイベント:2019年7月20日、27日(14:00〜15:00)